不便という重たい「荷物」とどう向き合う?【新田恵利 連載 #4】

不便という重たい「荷物」とどう向き合う?【新田恵利 連載 #4】

新田恵利さんが今感じている「不便」は老眼で目が見えづらくなったこと。老眼は手術を必要とする病気ではないけれど、明らかに不便を感じる瞬間が増えたという。どう老眼と付き合っていくのか、不便と向き合えばいいのか。


基本、私は荷物を持つのが大嫌い。女性にしては荷物が少ないほうだと思う。

化粧直しも仕事の日以外はまったくしない。化粧ポーチすら持っていない。

連泊の旅番組のロケでも、機内持ち込み可能な小さなスーツケースで事足りる。その中に自分でスタイリングした衣装に加え、コートまで入れていたときには、男性共演者たちから驚かれた。

若い頃、飲みにいくときも、コートやパンツのポケットに携帯と現金を突っ込んで出発。そんな感じで生きてきた私にとって、「加齢」がこんなにも大きな荷物になるとは想像もしていなかった。

もともとバッグは大好きでコレクションしていた時期もあった。それなのに持つのは嫌い。

昔、心理テストで「あなたにとって鞄とは?」という質問があった。

奥さんがいるにもかかわらず、遊んでいる男性スタッフはこう答えた。「大切なものを入れるだけのもの」。 新婚さんだった女性スタッフは「とても大事でなくなったら困るもの」。

ここでの鞄は何を表しているかというと、パートナーや異性をどう思っているか、だという。

ちなみに、私は当時「集めているけれど、持ち歩くのは面倒でイヤ」と答えた。ははは、若気の至りです。断じて、コレクションなどしておりません(苦笑)。

■病気じゃないけど……新田恵利さんが感じる「見えづらい」不便さ

話を戻すと、加齢はとても大きな荷物だ。ずっと視力が良かったので、眼鏡とは縁遠い生活だった。

目の良い人は老眼になるのが早いと言われているが、本当にそうだと思う。

日差しが強いと目が痛くなり、ショボショボするのに気づいたのが始まりだった。それ以降、季節に関係なくサングラスが必要になった。

次に、趣味のハンドメイドをするときだけ、シニアグラスが欠かせなくなった。眼鏡を作りにいったとき、同世代らしき店員さんが「いやぁ〜新田さんが老眼鏡かぁ。何かショックだなぁ〜」とつぶやく。

いやいや、ショックなのはあなたじゃなくて、私ですよ私。そのうち仕事にも支障が出てきた。

久しぶりの女優業。ほぼほぼ台詞は頭に入っているものの、台本を片手に動きをつけていく。

動きが複雑だったり、シーンを前後してるうちに台詞を忘れる。芝居を止めずに台詞を思い出そうと台本をチラ見したいのに、文字がダブって読めない。何てこと⁉︎

これじゃダメだと、シニアグラスの次に遠近両用の眼鏡を作った。三半規管が強くないのですぐに酔う。

慣れだというが、長時間かけ続けたことがないから耳まで痛い。買い物へいくと、値札が¥36,800にも¥88,300にも見える。間違えたら大変!

旅の最中は地図を片手に、サングラスからシニアグラスや遠近両用に掛け替える。アタフタと忙しない。

ああ不便。見え辛いことがこんなに不便だとは……。

■これからも不便な「荷物」は増えていくのだろう

バックの中にはシニアグラスか遠近両用とサングラス。ケースに入った眼鏡は、かさばることこの上ない。

他にもハンドクリームにデンタルフロス、頭痛薬とリップクリーム。どれも若い頃には持って歩かなかった。

バッグの中身は減るどころか増える一方だった。そこで1つでも荷物を減らそうと、遠近両用の調光レンズの眼鏡を作った。

紫外線の量によってレンズに色が付くのだ。使い心地もなかなかのもの。

年を重ねることが嫌だとは思わないが、つくづく不便だと感じさせられる。

そういえば、母が73歳の頃にちょっぴり高価なシニアグラスをプレゼントした。店員さんが「もうこれ以上、(視力の悪化は)進まないですよ」と言うから高価なものにした。

88歳の今、それはもう役に立たなくなっている。いくつになっても視力は衰えるようだ。

ああ不便。ほかにも不便と荷物は次々と増えている。

機会があれば「不便」をテーマにした連載をやりたいもの(苦笑)。

■新田恵利さんプロフィール

1985年、おニャン子クラブ会員番号4番でデビュー。翌年「冬のオペラグラス」でソロデビュー。その後、タレント・女優・作家としてマルチに活躍。趣味はハンドメイド・DIY ・旅行。現在は寝たきりの実母の介護をしながら、夫とチワワ2匹と共に湘南に暮らす。

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