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更年期は睡眠とどう付き合うか。睡眠薬を使うのは正しい?

不眠症は、更年期の女性が有する代表的な症状の ひとつです。年齢とともに、寝不足を感じることが多くなってきて、頭がボーッとしたり、お仕事にもプライベートにも影響が出たりしていませんか ? 以前のようにぐっすり眠りたい……。そう思ったら、この記事がお役に立てるかもしれません。

更年期は睡眠とどう付き合うか。睡眠薬を使うのは正しい?

■更年期になると、しっかり睡眠をとることが難しくなりやすい

「しっかり寝たのに、眠気が強い」
「疲れているはずなのに、これまでのように寝付けられない」



睡眠不足だと、仕事をしているときや家事をしているときなどあらゆる場面で、心身に不調を感じることを想像することができますよね?

睡眠は、日中の眠気やだるさなど身体の不調だけでなく、仕事の効率やモチベーションといった気持ちの不調や風邪を予防するための免疫、ダイエットや美容にも大きく影響しています。ですが、更年期女性の多くの方が睡眠障害を感じると言われています。これをきっかけに、睡眠へのこだわりが強くなったり、眠れないことが不安に感じてさらに悪化してしまうこともあるようです。

更年期には女性ホルモンが激減するだけでなく、子どもの独立や身体の衰えなど多くのストレスに直面し、さまざまな更年期症状が出現する中で、睡眠をしっかりとることがより難しくなっている状況がみられるようです。

参考:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-005.html

■どうして更年期になると寝不足を感じやすいのか ?

更年期の時期に寝不足を感じやすくなる原因としては、「更年期障害によるもの」と「加齢に伴うもの」の大きくふたつがあります。

原因その1.更年期障害によるもの

女性の身体は「月経」「妊娠・出産」「閉経」を通して、大きなホルモン変化があり、それに伴い睡眠も変調をきたしやすいです。ご自身でも振り返って考えてみたとき、これまで生理のリズムと眠気が連動していると感じてきた方も多いのではないでしょうか ? 更年期の時期になると、のぼせ・発汗・動悸・イライラなどの症状がきっかけとなり、睡眠の不調を引き起こす場合があります。

また、更年期の時期に女性ホルモンの影響を受ける変化のひとつに「自律神経系の乱れ」があります。

交感神経は、仕事をバリバリこなしているときや運動しているときなどに、優位になります。
リラックスしているときやまったりしているときなどには副交感神経が優位になります。

これらがバランスを保つことで、元気に頑張れたり、ゆっくり休息をとることができるのですが、更年期の時期は、このバランスが乱れやすくなります。

交感神経が勝手に優位になってしまう
「夜眠りたいのに眠れない」「深夜のホットフラッシュで目が覚めてしまう」

副交感神経が勝手に優位になってしまう
「日中なのに強烈に眠い」「朝起きたいのに起きられない」

という状態になりやすくなり、より寝不足を感じやすくなるのです。

原因その2.加齢に伴うもの

加齢に伴い、夜中に目覚めてしまったり、熟睡感が減ることは自然なことです。睡眠には、レム睡眠・ノンレム睡眠のふたつがあります。

レム睡眠
身体を休める眠り(浅い眠り)

ノンレム睡眠
脳を休める眠り(深い眠り)

一晩寝ている時間に、このふたつが交互に4〜5回繰り返されるのですが、加齢によってノンレム睡眠の最も深い部分が少なくなっていきます。また、年齢を重ねるごとに、レム睡眠・ノンレム睡眠のサイクルが不安定になっていき、「ぐっすり眠れた」と感じる「熟睡感」を低下させます。

更年期障害の症状が出ていないのに、睡眠の不調がある場合は、加齢によるノンレム睡眠(深い眠り)の減少が原因のひとつかもしれません。

■生活の中でできること

厚生労働省が睡眠障害対処のために出している指針があります。ぜひこの機会に、日々の生活の中で当てはまるものがないかチェックして、今日から実践してみませんか ?

1.睡眠時間は人それぞれ、日中の眠気で困らなければ十分
2.刺激物を避け、眠る前には自分なりのリラックス法を取り入れる
3.眠たくなってから床に就く、就床時刻にこだわりすぎない
4.同じ時刻に毎日起床
5.光の利用でよい睡眠
6.規則正しい3度の食事、規則的な運動習慣
7.昼寝をするなら、15時前の20~30分
8.眠りが浅いときは、むしろ積極的に遅寝・早起きに
9.睡眠中の激しいイビキ・呼吸停止や足のぴくつき・むずむず感は要注意
10.十分眠っても日中の眠気が強い時は専門医に
11.睡眠薬代わりの寝酒は不眠のもと
12.睡眠薬は医師の指示で正しく使えば安全

参考「睡眠障害の診断・治療ガイドラン作成とその実証的研究班 平成13年度研究報告書」(厚生労働省、同研究班、2002年)より

■睡眠薬って怖い ?

日々の生活を見直しても、忙しいときはどうしても睡眠時間を確保することが難しかったり、なかなかすぐに改善できないときもありますよね。

そんなとき、睡眠障害について、次の選択肢となるのは「睡眠薬」です。でも「なんとなく飲みたくないな……」と感じられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。癖づいてしまうなどの怖いイメージをもっている方もおられるかもしれませんが、また違った一面もあるようですよ。

まず、実際に更年期障害と診断をされた女性のうち、どのくらいの方が睡眠薬を処方されていると思いますか ? 実は、40〜60代まで、おおよそ20%の方は睡眠薬を処方されています。

更年期の眠さ

5人にひとりの方に処方されているということを考えると、頻度は多いように思えるかもしれませんが、更年期女性の約半数が不眠といわれていることを考えると、更年期で不眠症状があっても、睡眠薬を飲まない選択肢を選ばれる方も多いようです。

現在の不眠治療は、睡眠薬を用いた薬物療法が中心です。睡眠薬は一度使い始めると手放せなくなり、次第に量が増えていくので副作用が怖い。そう思い込んでいる方もいるかもしれませんが、最近の睡眠薬はそういう心配はありません。

かつて用いられていた睡眠薬は効果が強力な反面、副作用も強く安全性に問題がありましたが、現在広く使われている睡眠薬は不安や緊張・興奮をやわらげて眠りに導くので自然に近い眠りが得られ、副作用も少なく安心して使えます。

ただし長期にわたって漫然と使い続けるのはよくありません! 医師の指導の元に適切に使用することが大事です。

また、ドラッグストアで購入できる市販の睡眠薬も売られていますが、あくまでも短期間の使用に限られています。不眠症に対する治療効果は確認されていないので、自己管理で長期間飲み続けることはおすすめできません。主治医の先生の元、適切なお薬で調整してあげてください。

■病院に行くとしたら ?

病院で睡眠障害について相談すると、基本的に不眠のタイプに応じた「睡眠薬」を使うことが多いです。

また、更年期女性の不眠はうつ・不安との関係が強いため、併せて治療をおこなうことが重要です。不安やうつ傾向などがある場合には、「抗不安薬」や「抗うつ薬」を併用します。

そして、のぼせなど血管運動神経症状が眠りを妨げている場合には、「ホルモン補充療法(HRT)」が有効といわれています。適切な処方と管理が必要ですので、婦人科医に相談しましょう。

睡眠と関係のあるホルモンを調べた研究によると、更年期障害で行われるホルモン補充療法(HRT)により女性ホルモンのエストロゲンの投与をした人は、睡眠の質がよくなったという結果もあります。

以前のようにぐっすり眠りたい……。そう感じたときは、日々の食事や運動、生活習慣を見直すチャンスかもしれません。その中で、睡眠薬を使って寝不足を解消することは、安心して使うことができる選択肢のひとつです。
また、不安な気持ちがあなたの睡眠に影響を与えている可能性もあります。

もし睡眠障害で悩んでいたら、まず最初にこれまでのご自分の様子を振り返り、医師に相談してみるのがおすすめですよ。

医師監修プロフィール

大阪美容クリニック

院長 南 真実子

祖父や父が産婦人科医であったことから医師を志し、自身も大阪医科大学医学部へ進学。

卒業後、初期研修を経て大阪医科大学産婦人科教室に入局。主に腹腔鏡手術、不妊治療、周産期治療などに従事し、産婦人科専門医を取得。検診業務にも従事し、マンモグラフィー読影認定医を取得。女性がいつまでも健康で美しく輝いていられるよう、さらなる高みを目指して、美容医療、アンチエイジング医療を行う。大手美容クリニックで活躍後、2017年に大阪美容クリニックを開院。婦人科・美容皮膚科を通じて、女性をトータルにサポートできるよう診療を行っている。

たむ

看護師保健師、ライター、テレワーカー、隠れ貧血女子。新しい挑戦をすることをこよなく好んでいます。

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