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更年期のイライラや不安。気分がふさぎ込みがちなときの対処法は?

コロナの影響もあり、働き方が変わったりストレス発散場所が少なくなったり……。環境の大きな変化とともに、ときにはイライラや不安を感じてしまうものです。実は、更年期の時期はよりイライラや不安感など憂鬱な気分になりやすい時期でもあります。もしあなたが今感じていたら、ひとりで抱え込まず、できることを探してみませんか?

更年期のイライラや不安。気分がふさぎ込みがちなときの対処法は?

■更年期のイライラや不安

どんなときもポジティブでいたいですよね?

それなのに、「特別な理由も無く暗い気持ちになったり」「以前は興味があったものが楽しめなくなったり」「些細なことにイライラしてしまったり」。そんなイライラや不安を感じたことはありませんか?

女性ホルモンの変化を受けて、気持ちの揺らぎを感じる女性は少なくありません。うつ病が女性に多いことは世界的な傾向でもあります。

その中でも特に気をつけたいのが、更年期の時期です! ここで一旦立ち止まって、自分の心の中を見渡してみませんか?

参考:https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/01/s0126-5b2.html

■PMS(月経前症候群)と似ている?

イライラや不安を感じるタイミングを考えたとき、女性がまず最初に思い浮かぶのは、「PMS(月経前症候群)」ではないでしょうか。
生理前についイライラしたり、不安に感じられたりすることってありますよね?

女性は一生のうちに、PMS(月経前症候群)やPMDD(月経前不快気分障害)、妊娠、出産後、更年期と、イライラや不安を感じやすい時期をたくさん経験します。
共通点は、エストロゲンやプロゲステロンなど、女性ホルモンの変化です。

しかし、PMS(月経前症候群)と更年期障害の症状の現れ方、影響の仕方には、大きく違いがあります。
あなたが影響を受けているのはどちらですか?

PMS(月経前症候群)

月経の10日~数日前から、腰痛や腹痛、乳房痛、むくみ、便秘、下痢、吐き気などの身体症状やうつ状態、イライラ感、不安感、過眠などの精神症状が出ることがあり、月経開始とともに症状が軽くなる特徴があります。月経が始まる前に起こるなど月経周期と連動しているなら、PMS(月経前症候群)が影響しているのかも。

更年期障害

月経周期に関係なく症状が現れており、ほてりやのぼせ、めまい、動悸、トイレが近くなる、手足の冷え・しびれ、頭痛、肩こり、腰痛、倦怠感、耳鳴り、目のかすみ、息切れ、食欲不振、腹痛などの更年期障害特有の他の症状も感じられている場合は、更年期での身体の変化が影響しているのかも。

■更年期のイライラや不安に影響があるのは?

更年期の時期に、イライラや不安を感じやすくなる理由として、女性ホルモンの影響も加えて大きく3つ挙げられます。原因はひとつではなく、複数あるかもしれません。

原因その1.自律神経系の乱れ

更年期に、卵巣機能が低下すると、女性ホルモンは急激に減少します。閉経すると、徐々にゼロに近づき、卵巣からはほとんど分泌されなくなります。女性ホルモンは脳の視床下部によってコントロールされている関係で、同じく視床下部で管理されている自律神経にも影響が出て、イライラや不安感を感じやすくなります。

原因その2.女性ホルモン(エストロゲン)の減少

閉経に伴って女性ホルモンのエストロゲンが急激に減少すると、脳内の神経伝達物質セロトニンが不足します。エストロゲンには、脳でのセロトニン活性を高めて、不安や焦燥感を抑える役割があります。エストロゲンとセロトニンは同調して動くため、エストロゲンが欠乏するとセロトニンも減少します。

セロトニンは、「幸せホルモン」とも呼ばれ、興奮や怒りなどの感情を抑えて精神のバランスを保つ役割を担っているため、不足すると、心の安定が崩れ、イライラ、不安、悲しみ、怒り、恐怖、緊張など、さまざまなネガティブな感情が暴走しやすくなり、うつ病の症状にも重なります。

エストロゲンが急激に低下するのは、更年期の時期だけでなく、月経前や出産直後も同様です。男性よりも女性の方がうつ病を発症しやすいことの理由のひとつとして、女性が脳内でセロトニン不足を起こしやすいことが挙げられます。

原因その3.生活や家庭での役割の変化

子どもの成長や巣立ち、夫婦関係や介護の問題などで生活は大きく変わりやすいです。

結婚や就職、進学などで子どもが親元を離れ巣立っていくことは喜ばしいことですが、一方で「母親」としての役目が終わってしまったことへの寂しさが喪失感となってうつ状態に陥ることもあります。これは鳥の雛が巣立っていく様子にたとえて「空の巣症候群」と呼ばれます。

また、自らの身体の老化を強く意識してしまったり、老後の生活への不安を感じたり、心理的、社会的背景の複雑な絡み合いを受けて、ストレスを感じやすい環境にあることも忘れてはいけません。

■まずは自分でできることを

1.食習慣を見直す

日々の食習慣を整えることも、イライラや不安のためにできることのひとつです。

例えば、糖質に偏った食事(スイーツやパスタ、カレーライスなど)や早食い、欠食など習慣化し、血糖値の乱効果を引き起こすと、イライラの原因になります。血糖値が急上昇した分、血糖値を下げるためにホルモン・インスリンが過剰に分泌されることで、今度は血糖値が急降下し、食後4〜5時間後には低血糖になります。急な血糖値の低下は、身体にとって危機的状況のため、自律神経のうち交感神経が優位になってイライラの原因となります。

また、セロトニンの材料となるたんぱく質、生成に必要な鉄、マグネシウム、亜鉛などの栄養素を、しっかり摂ることがおすすめです。

2.良質な睡眠

睡眠には、ストレスを受けたときに分泌されるホルモンである「コルチゾール」の分泌量を適正化し、ストレスから回復させる働きもあります。イライラや不安することが多かった日は、気持ちの回復のためにもしっかり睡眠をとることがおすすめです。

3.ストレス発散・運動

一定のリズムを繰り返す運動をすると、心の安定に繋がる「セロトニン」の分泌が高まります。特に、ウォーキング、ジョギング、サイクリングのような一定の動きを繰り返す運動は、セロトニンの活性に適しています。また、意識して行う呼吸法もリズム運動のひとつです。ストレッチやヨガは呼吸法を取り入れているため、これらもセロトニンの活性化が期待できます。

よかったら、ここでご一緒にヨガのポーズをひとつチャレンジしてみませんか? 子どものポーズは、心と身体に安らぎを与えるポーズです。

1.足の親指を重ねない状態で正座の姿勢をし、背筋を伸ばす。

2.両手を前方の床につく。

3.息を吐きながら、手を前にすべらせるように、骨盤から上半身を前に倒し、おでこを床につける。

4.首や肩の力は抜き、背中や腰は丸くなった状態で柔らかく保つ。体の重さに身を任せるようにリラックスする。

4.家族や友人に話をする・お薬の助けを借りる

心の不調を感じることが多くなったり、長期間症状が続く場合は、ひとりで抱え込まず、誰かに相談したり、病院やお薬の力を借りたりすることももちろん選択肢のひとつです。

■病院に行くとしたら?

イライラや不安など、精神的に不安定な状態が二週間以上続いたり、「変だな」と感じたとき、まずご家族やご友人など周りの方に相談してみてください。 そして、婦人科や精神科に相談してみることをおすすめします。

セルフケア方法を取り入れても、イライラの悩みが改善しない場合は、まずは気軽に婦人科を受診してみてください。エストロゲンを補充するホルモン補充療法(HRT)をはじめ、漢方療法やカウンセリングなど、症状やその方にあった治療を選択します。いくつかの治療を組み合わせて最適な治療法を主治医の先生と見つけていきます。

そして、更年期障害の症状はうつ病の症状とよく似ており、判別が難しいとも言われています。精神神経症状が強い場合には,「不安神経症」「睡眠障害(不眠症)」「更年期うつ病」という病名の方がふさわしいこともあり,婦人科のみならず心療内科や精神神経科での加療を必要とする場合があります。

イライラや不安については、自分でなんとかできると感じられれやすい症状かもしれません。強く自分の意識を持つことで、もしかしたら乗り越えられることもあるかもしれません。しかし、身体の変化として、イライラや不安を感じやすくなっている中で、毎日自分の意思だけで頑張っていると、どうしても心身ともに疲れが出てきてしまします。

まずは、生活の中でできることや新しい習慣にトライすること、そして周りにいる方を頼ることは、あなたのひとつの良い選択肢になってくれるかも。

医師監修プロフィール

更年期
大阪美容クリニック

院長 南 真実子

祖父や父が産婦人科医であったことから医師を志し、自身も大阪医科大学医学部へ進学。

卒業後、初期研修を経て大阪医科大学産婦人科教室に入局。主に腹腔鏡手術、不妊治療、周産期治療などに従事し、産婦人科専門医を取得。検診業務にも従事し、マンモグラフィー読影認定医を取得。女性がいつまでも健康で美しく輝いていられるよう、さらなる高みを目指して、美容医療、アンチエイジング医療を行う。大手美容クリニックで活躍後、2017年に大阪美容クリニックを開院。婦人科・美容皮膚科を通じて、女性をトータルにサポートできるよう診療を行っている。

たむ

看護師保健師、ライター、テレワーカー、隠れ貧血女子。新しい挑戦をすることをこよなく好んでいます。

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