御朱印帳の使い方! 素朴な疑問と知っておきたい基礎知識
日本の伝統文化を通して、深い心の学びを促してくれる神社の世界。知れば知るほど面白い、神社や神様についての基礎知識。各地のおすすめしたい神社とその御朱印を、連載でご紹介していきます。今回は、御朱印帳に関する使い方と基礎知識のお話。神社が好きすぎて巫女としてご奉仕を始めた、巫女ライター・紺野うみが神社のたしなみを伝えます。
さて。いよいよ今回は、あなたがご自分の「御朱印帳」を持ち、実際に各地の御朱印をいただくときのために覚えておきたい知識などをお伝えしていきます! まずは、あなただけの御朱印を順番に印していただくための、大切な「御朱印帳」を見つけるところから始めましょう。
■自分と神様の絆を記録していく「御朱印帳」を選ぶ
神社・仏閣に足を運んでみると、それぞれのモチーフや色などを上手にあしらった、オリジナルの御朱印帳を作っているところが多くあります。もしも、あなたに特にご縁の深い神社やお寺があれば、そちらのものを選ぶというのもひとつの手です。もしくは、たまたま足を運んだ場所で、「このデザイン、とっても素敵!」という運命の出会いがあることも……。
そして、「御朱印帳」が手に入るのは神社・仏閣だけに限りません。今や御朱印帳は、なかなか「身近」なものになりつつあります。文房具店や書店、インターネットにも、個性豊かな御朱印帳を見つけることができますから、ぜひお気に入りの1冊を見つけてみてください。
いずれにしても、大切なのは、「ひとめぼれ」や「ときめき」のような「素敵!」と思える直感です。そういったものを選んだ方がより御朱印帳そのものを大切にできますし、他でもない「自分だけの御朱印帳」だと実感できて、喜びも倍増することでしょう!
■正しい御朱印のいただき方
前回『神社で神様とのご縁を結ぶ! 「御朱印」の意味と真のご利益』の記事でもお伝えしたように、御朱印はあくまでも「参拝の証」です。その神社にいらっしゃる神様と「ご縁ができたこと」を、私たちの目にも見える形で残すもの。
ですから、神社に行って一番に「よし、さっそく御朱印をいただこう!」というのは、それを考えると本末転倒だということがご理解いただけると思います。
まずはきちんと、神様に「参拝」という形で、ご挨拶をお願いします。神様にあなたのことを知っていただいた後、そのご縁の証を、あなたのお手元の御朱印帳に残していただくようにしてくださいね。
時には、ひとつの神社の敷地内に何社ものお社があり、必ずしもいただける御朱印が一種類だけとは限らない場合もあります。つまり、神社によっては、何社分も御朱印をいただけることもあるのです。
そのような場合でも、きちんと「お詣りした神社」のものをお受けするようにしましょう。これは、御朱印集めを「形だけ」にしないためにもとても大切なことです。
■御朱印帳の使い方と素朴な疑問
Q 神社とお寺の御朱印は、ひとつの御朱印帳に混ぜてしまってもいいの?
A このご質問に関して、私は、あまり神経質になりすぎなくてよいのではないかと考えています。
しかし、聞くところによると、稀に神社とお寺の御朱印が混在することを良しとしない神社やお寺があるようです。そのような場所に配慮して、あらかじめ別々に分けています、という方もお見かけします。さまざまな意見があることと思いますが、一番大切なのは、神仏とあなたの「ご縁」です。それぞれの方が、心を込めて一つひとつの御朱印を大切にしていれば、それが一番だと思いますよ。
Q 同じ神社で、何度も御朱印をいただいてもいいの?
A もちろんです! いつもお世話になっている神社で、参拝のたびに御朱印をいただいています、という方もよくいらっしゃいますよ。その神社の御朱印だけを書いていただくために、専用の御朱印帳を用意なさっている方もいます。
たしかに、そうすることで「あぁ、このときにもお詣りしたっけ」と、人生におけるその神社との関わりも振り返ることができますよね。そういったご縁の深め方も、とても素敵だと思います!
Q 御朱印のお初穂料(はつほりょう)は?
A 御朱印を書いていただくためのお初穂料(=神社にお納めするお金)は、300円~500円くらいが多いです。
時には「お気持ちで」と仰る神社もありますが、そのような場合に悩んだら、1ページにつき300円程度のお納めでよろしいかと思います。神社によっては、お釣りをたくさん用意できていないこともありますので、できればぴったりご用意しておいていただけると理想的ですね。
Q 御朱印帳が手元に用意できていない場合は?
A 時には、御朱印帳を持参するのを忘れてしまったり、急な参拝で手元にない、といった場合もあることでしょう。その際は、ぜひ御朱印の受付で「書き置き」があるかどうかをご確認していただければと思います。
あらかじめ紙に書かれている御朱印を拝受して、後でご自分の御朱印帳に貼り付けていただければ大丈夫。また、神社や受付時間帯によっては書き手が不在のこともあります。そのようなときも「書き置き」のみでお分けすることがあるので、それも覚えておいてください。
■一生をかけて大切にしていく
御守りや御札のように、「お納め」をするわけではない御朱印帳。「最終的にはどうすればいいのだろう……」と、素朴な疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私の想いとしては、御朱印は「あなた」が神様とのご縁をいただいた証なので、できれば皆様にそのご縁を、「一生」をかけて大切にしていっていただきたいです! 自分の身体がなくなるその日まで……。いいえ。たとえ身体がなくなったとしても、神様とのご縁は魂や心のつながりですから、ずっと続いていくものだと思うのです。
いただいたらそこでおしまい、というものではないのが「御朱印」です。粗末に扱わないことはもちろんですが、人生を通して大切に持ち続けていただければなによりです。時折開いてみれば、ご縁の一つひとつを再確認することができますよ。
生きていれば、いろいろなことがあるのが人生です。苦しいときや辛いときは、その絆を心の支えに。素敵なこと、うれしいことがあったら、御朱印を通じて感謝をお伝えすることもできます。あなたがいつでも心豊かに生きていくためにも、その存在はきっと力に変わることでしょう!
■御朱印を通じて「神社」を思いきり楽しむ
神社で皆様をお迎えしている神職の方々も、誰もが楽しく気持ちよくご参拝いただくことを願っています。それぞれの方が思いやりの気持ちを大切に、しかしあまり硬くなりすぎず、お気軽に神社へお運びいただければなによりです。
御朱印帳も、「私もやってみたいな」と思ったそのときから、ぜひ始めてみてください! 神様とあなたの「ご縁」。本来は目に見えないはずのその証も、あなただけの「御朱印」が証明してくれます。
御朱印だけに限らず、神社の魅力はさまざまな場所に隠れています。次回からは、まず東京の地に数ある神社の中から、私の好きな神社とその御朱印など、1社ごとに魅力をたっぷりお伝えしていこうと思います!
今後もぜひ、お楽しみください。
【神社のたしなみシリーズ】
◆◇◆神社と心◆◇◆
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◆◇◆神社と御朱印◆◇◆
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【巫女ライターの神社と御朱印めぐり】
◆◇◆東京◆◇◆
#1 東京の白蛇さま「蛇窪神社(上神明天祖神社)」
#2 五龍神のすまう田無の杜「田無神社」
#3 子育てと厄除けの八幡さま「大宮八幡宮」
#4 長い歴史とロマンが宿る「根津神社」
#5 太陽と月と海原の三貴子が鎮まる「阿佐ヶ谷神明宮」
#6 武蔵国を総べる社「大國魂神社」