上司にキレた……後悔しない怒りの伝え方とは【大人の上手な怒り術#10】 2/2
■「嫌だ」という気持ちの上手な伝え方
さて、「伝える」と決めた場合には、どのような言い方が良いでしょうか。まず、相手を責めたり、感情的になるのはもちろんNGです。
「現状はこういう状態であり、そして今後はどうしてほしいのか」という要望を、穏やかに伝えると伝わりやすいでしょう。
以下のような例が望ましい言い方です。
「今の私の現状をお伝えしたいのですが、現在、私は〇〇の仕事を抱えています。Bさんと比べると、負担がかなり多いと思います。仕事の割り振りも検討してはいただけないでしょうか。〇〇の仕事は、今後Bさんにお願いしていただきたいのです」
また、上司から頭ごなしに、「君はやる気がない!」「使いものにならない!」など、こんなふうに言われて頭にくる! という相談を受けることもありますが、この場合も同じ。
この言葉は聞き流せない、と判断するならば、「やる気がない、とまで言われるとショックです。私なりに一所懸命取り組んできました。どのようなところがそう感じられたのか、教えていただけないでしょうか」というように自分の気持ちや、どうしてほしいのかを伝えてみませんか。
以前の記事「部下や後輩の上手な叱り方#4」で効果的な叱り方をお伝えしましたが、そちらで紹介したポイントと、怒りを表現するときのポイントは同じですので、そちらもぜひご覧ください。
■「伝える」「伝えない」を決めるのは自分自身

もちろん、感じた怒りを「伝えない」という選択もあります。このとき重要なのは、その判断は自分の責任において下すということ。
「上司は誰に対してもが高圧的だから言っても無駄! だから言えない」
「どうせ私のいうことなんて聞いてもらえないから言えない」
などと理由を相手のせいにするのではいけません。相手がどうあれ、「伝えられない」のではなく「伝えない」と自分自身が決めたのだという納得感が必要です。
「伝えない」と決めたのであれば、怒りは溜めることなく、その都度、流してしまいましょう。「なんであんな言い方をするんだろう」「納得できない」と思い返してイライラするのではなく、「こういう言い方する人がいるのね」と客観的に受け止め、流してしまうのです。「聞き流す」というスキルです。
すべての物事にいちいち反応していたら体がもちません。相手が怒りをぶつけてきたり、こちらが不快に思うことを言ってきたとき、過剰に反応せず、ときには聞き流すことも必要です。これができると、余計なことでイライラしなくなるでしょう。
■キレてもいい。キレ方に後悔があるならアンガーマネジメントを
アンガーマネジメントは、決して怒ってはいけないということではありません。怒りの感情を抑圧するのではなく、上手にコントロールし、怒りで後悔しないことを目指すものです。
「あんな怒り方しなければよかった」「あんなことで怒らなければよかった」「あのとき、怒っておけばよかった」と後悔しないよう、怒らなくていいことには怒らなくてすむように、怒る必要があることは適切な怒り方ができるようになれれば最高ですよね。
心の平穏と健康のために、アンガーマネジメントに取り組んでみてください。