不眠症で悩んだとき、病院では何科にかかればいいの? 「不眠症で困っているときに受診するなら精神科か心療内科」と話すのは、ブレインケアクリニック院長、精神科医の今野裕之さん。医師に症状を説明する際のポイントについても教えていただきました。
不眠症の治し方。医師がすすめる7つの習慣 2/2
■体をリラックスさせる神経の活動を高める
体をリラックスさせる神経「副交感神経」の活動を高める方法(自律訓練法)をご紹介します。ベッドにゆったりと横になり、少しだけ口を開きましょう。
まずは「気持ちがとても落ち着いている」と頭の中で繰り返し、気持ちが落ち着いてきたなと感じたら、今度は「両手両足が重たい」と繰り返します。
すると、実際に重く感じてきますので、最後に「両手両足が温かい」と繰り返しましょう。温かいと感じてきた頃には、自然と眠くなってきていると思います。
■市販の睡眠薬を使ってみる
市販の睡眠薬の多くは、抗ヒスタミン作用といって、アレルギーを抑えるお薬と同じメカニズムのものになります。じんましんや花粉など、アレルギー症状を起こすヒスタミンには覚醒作用があり、それを抑えることで眠くなる仕組みです。
ここまでご説明してきた方法を試してみても、眠れないようであれば、睡眠薬を試してみるのもひとつの方法です。それでも不眠が治らないときは、医療機関へ相談した方が良いかもしれません。
というのも、眠りにくくなる病気が隠れているかもしれないから。もしそのような病気があれば、きちんと治療すれば不眠も改善されます。
■医療機関で処方される睡眠薬
医療機関で処方される睡眠薬は市販のものとは異なる作用を持つ、ベンゾジアゼピン系という薬がメイン。作用時間によって以下のような種類があります。
・短時間作用型睡眠薬(睡眠導入剤):寝つきをよくするための、作用時間が短いお薬です。
・中〜長時間作用型睡眠薬:夜中目が覚める、朝早く目がさめるタイプの不眠に使うお薬です。
また、最近では新しい作用を持つ睡眠薬も販売されるようになりました。
・メラトニン受容体作動薬:メラトニンと同じような作用のお薬です。より自然な眠りが得られる新しいタイプの睡眠薬です。
・オレキシン受容体拮抗薬:覚醒作用のあるオレキシンという物質の働きを抑える睡眠薬です。夜中に目が覚めたり、朝早く起きてしまったりするタイプの不眠に効果が期待できます。
ネガティブなイメージもある睡眠薬ですが、正しく使えば心強い味方になります。不眠を放っておくより、薬を使ってしっかり眠った方が良い場合もあります。
その他、私のクリニックでは症状に応じて酸棗仁湯、帰脾湯、柴胡桂枝乾姜湯、抑肝散などの漢方薬を処方したり、光療法をお勧めしたりすることも。いろいろな治療法がありますので、どうしても眠れなくて困ったときはあまり悩まず、早めに医療機関へご相談くださいね。
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ブレインケアクリニック院長。精神医学とアンチエイジングに関する知識と豊富な臨床経験を背景に、体に優しい心の治療を実践。