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布ナプキンで「子宮が温まる」「生理痛が減る」は眉唾 2/2


■月経コントロールや布ナプキン信者の「独自の理論」に振り回されないで

前回のコラム「昔の人はできていた……のか?『月経血コントロール』を検証する」では、骨盤底筋(正確にはそのうちの恥骨直腸筋)を締め続けても、月経血はぴったりと膣の中にとどめておけないし、恥骨直腸筋を締め続けても体にとって良いわけではないということを書きました。

主に「そうだったのか! なんかおかしいと思っていたのでスッキリした」と、とても大きな反響をいただきましたが、「月経中に骨盤底筋を締めるようにすると生理が軽くなるのを実感する」との声もありました。「今までと違って体のことを考えた生活をしている」という意識がプラセボ効果を生み、痛みが軽く感じられることはあるでしょう(月経コントロールにしろ布ナプキンにしろ、月経困難症は変わらなかったという声の方が圧倒的に多かったですが)。

頻繁にトイレに行くようになったり、外陰部にあてるものによって経血の見え方が変わるので、経血が少なく感じるかもしれません(騙されたと思って月経カップを使ってみるとわかるのですが、カップで経血量を見える化するとびっくりするくらいちょっぴりです。ナプキンにべっとりつくとあんなに多く感じたのに)。

ですから、使うアイテムによって月経を「軽い」と感じることはあるかもしれませんが、月経コントロールや布ナプキン信者の「独自の理論」は医学的・生理学的に正しくないということは知っておいてほしいです。

■「コットンのナプキンで体や子宮が温まる」も誤り

生理で苦しむ女性

コットンのナプキンを使うと体や子宮が温まるということを謳って布ナプキンを販売しているところもあるようで、大変驚きました。コットンが温まる素材? コットンは冷えるからNGというのは登山家の間では常識です。コットンは一度濡れるとなかなか乾きません。濡れた衣類は触れている体から体温を奪い続けます。

以前、屋久島を一泊で縦走したときに、ガイドさんの指示をちゃんと聞かずにコットンのタンクトップとパンツで行ってしまい、汗で濡れた下着が冷たくて冷たくて非常に辛い思いをしました。もっと寒冷地のネパールのエベレスト街道をトレッキングしたときは、化繊とウールで暖かく過ごしました。

コットンが体を温めるという人は、コットンの下着を着て標高6000メートルのエベレストベースキャンプに行ってみてください。凍えて命を失うことになるでしょう。生成りのコットンの見た目が暖かいイメージであることから信じてしまう人もいるかと思いますが、そもそも人間は恒温動物で子宮は骨盤の一番奥の暖かい場所にあって冷えませんので、変なセールストークを信じないようにしましょう。

ゴミが出ない(持ち歩きは不衛生ですが)、かぶれにくいなど、良い面もある布ナプキンですが、信者によってありもしない体のメカニズムと効能が広められていることは大変残念です。こちらのコラムを参考に正味のメリット・デメリットを踏まえて、使うかどうか決めてくださいね。

※ この記事は2016年12月8日に公開されたものです。


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宋 美玄

産婦人科女医・性科学者。現役産婦人科医として、都内の病院で診療に従事すると同時に、セックスや女性の性、妊娠などに付いて女性の立場からの積極的な啓蒙活動を行っている。

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