ピルやミレーナなどを活用し、排卵をなくしたり、月経を軽くしたりというと「自然な状態ではない」と感じる人もいるのでは。でも、そもそも毎月の月経こそ、内膜を作っては剥がして……と、子宮を酷使している状態。本当に子宮に優しい生活ってどういうもの? 宋美玄先生が解説します。
産婦人科女医に「月経がない」理由
月経=1週間ナプキンをあて続ける生活、はあたりまえではありません。月経のない暮らしや月経があっても出血量が少ない産婦人科女医たち。彼女たちは一体どうしているの? 宋美玄先生が解説します。
前回は月経期間を風通し良く過ごす「三種の神器」についてお話ししました。月経カップはあまりにも快適で、試してみられた方からは「目からウロコ」「もっと早くに出会いたかった」という声を多数いただいております。装着も2〜3回で慣れる方がほとんどです。(私もそうでした)
月経カップと出会った後、「これはナプキンかぶれに悩む方などにおすすめだ」と思い、産婦人科医の友人知人に情報をシェアしました。すると、ある程度予想された返答が……。
「試してみたいけど、月経がないから試せなくて残念」
男性、閉経後、という方たちは当然月経がないのですが、30代40代の女医さんも普通に月経があるという方は稀でした。
「ピルを飲んでいるから月経でほんのちょっとしか出血しない」
「ディナゲスト(子宮内膜症の薬)を飲んでいるから月経がない」
「ミレーナ(避妊や重い月経の改善のために子宮内に入れるホルモン付き器具)を入れているから月経がない」
■今月、月経いつくるの……?ハラハラしないで済む生活は選べる
解説しますと、経口避妊薬である低用量ピル(同じ薬剤が重い月経の改善や月経不順の治療に使われることもあります)を内服すると月経が軽くなることが期待でき、出血量が非常に少なくなることも珍しくないです。軽くなるだけでなく月経が開始する日をずらしたりするのも簡単なので、子作りをしていない産婦人科女医で飲んでいる人はとても多いです。私も20代から7年間飲んでいました(女医は一般女性より高率で飲んでいるというデータもあります)。
ディナゲストとミレーナというのは共に黄体ホルモンが主体のもの。子宮内膜という受精卵が着床したり、剥がれ落ちると月経が起こったりする部分が薄くなっていくので、使い始めて何ヶ月かすると全く出血しなくなっていくというものです(私もミレーナを入れて非常に快適です)。
結局月経カップを使ってみたという産婦人科医は、妊活中だったり授乳中だったりでそういった薬を使っていない女医たちでした(彼女たちも月経カップをとても気に入ってくれました)。逆にそういった事情でなければ、月経をそのままにして毎月1週間近くもナプキンをあてるというような、月経がいつくるかわからないでハラハラしながら過ごすような生活を、産婦人科医は選んでいないということです。
月経の煩わしさがあたりまえだと思っている人は「え、そんなことしていいの?」「自然のままがいいんじゃないの?」と思われるかも知れませんね。
次回は子宮にやさしいのはどんな状態なのかお伝えしますね。
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