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離婚後でも養育費は請求できるって本当?弁護士に聞いてみた

子どもを持つ女性が離婚後、養育費が支払われなかった、養育費を請求し損ねた……といった声をよく聞きます。養育費は受け取って当然のお金です。子どものためにしっかり受け取るためのポイントを押さえておきましょう。

離婚後でも養育費は請求できるって本当?弁護士に聞いてみた

■離婚した後の養育費、きちんと支払われている?

勢いに任せて離婚してしまい、養育費の話をしなかったり、口約束のみでだんだん支払われなくなったり……。
本当は離婚した相手とは、これ以上もめたくないのが本音ですが、“養育費”についてトラブルが起こることがしばしば。
新しい生活をスマートに送るには、やはり離婚時に冷静に取り決めをする必要があるようです。

今回は、アディーレ法律事務所の篠田恵里香先生に、養育費についての不安・疑問をぶつけてみました。

■泣き寝入りが多い?養育費をもらえないシングルマザー

現在、養育費をきちんと受け取っている女性は、どのくらいいるのでしょうか?

実は、養育費を受け取っている女性は、だいたい20%程度です。

養育費について、法的には「父親である以上、子どもに自分と同レベルの生活をさせる義務」が当然にあると考えられています。

例えば、元夫(年収700万円)が、未就学児2人を育てる元妻(年収100万円)に支払うべき養育費の金額は、月額約9.6万円となっています。

養育費は基本的には、成人するまで支払い続けることが予定されていますので、この金額をあと15年支払い続けるとなると、合計1700万円超にも上ります。

金額面を見ると、侮れない額ですし、特にシングルマザーのお母さんにとっては、子育てしていく上に欠かせないはず。しかし、様々な事情で養育費を受け取れず、泣き寝入りを強いられているのです。

自分で稼いでいたとしても、子どもを育てていくには、まとまった額のお金が必要不可欠。養育費を確実に受け取るにはどうしたらよいのでしょうか。

■離婚後でも、養育費は請求可能!できるだけ早めの手続きを

離婚時にしっかり取り決めした方がいいとわかっていても、そうはいかないことも。
「とにかく早く別れたい! この状況を変えたい!」と焦り、しっかりと取り決めせずに離婚した場合、後から養育費を請求することはできますか?

取り決めをしなかったからといって、養育費が請求できなくなるわけではありません。

養育費は、父親として当然支払う義務があると考えられているため、仮に取り決めをしていなくても、離婚後子どもが成人するまでは、いつでも請求することができます。

任意の話し合いが成立しない場合は、「養育費請求調停」を申し立て、それでもまとまらない場合は、最終的には「審判」という方法で、裁判所が額を決めてくれます。

養育費は、取り決めをしていない場合は、基本的に遡って請求することができないので、請求を決心したら、早めに調停を申し立てることが大事です。

逆に、いったん取り決めをしさえすれば、裁判所の手続きによるものは10年間、公正証書や合意書といった場合は5年間、遡って請求することもできます。

離婚の際に、「養育費はいらない」と請求権を放棄したような場合でも、「養育費は子どものため」のものですから、親が放棄することは許されず、基本的には「放棄に関わらず後に請求できる」と考えられています。

別れた後からでも請求できるんです。やはり養育費は子どもを育てていく上で糧となるもの。「何もいらない!」と意固地にならず、しっかり検討しましょう。

■支払わないなんて、許さない!法を味方にしよう

取り決めもして、毎月支払われていたはずの養育費。ですが、だんだん延滞し、ついには支払いがゼロになるケースも耳にします。

もしも、元夫が養育費の支払いをしなくなったら……そのまま諦めるしかないの?

この場合、「どのようなかたちで養育費を取り決めたか」が重要になります。

口頭で決めた場合や、自分たちで作成した合意書の場合は、その約束に「強制執行力」がないため、給与や預金を差し押さえたりすることはできません。

仮に強制的に回収したいという場合は、あらためて公正証書や調停・審判といった裁判所の手続きをとる必要があります。

しかし、養育費を払わなくなった元夫がそのような手続きに協力してくれるとは思えないので、やはり当初から「強制執行力」を得ておくことが重要といえます。

養育費の金額について、調停で取り決めた場合や、審判・裁判で決定された場合、公証役場で公正証書を作成した場合には、「強制執行力」が付与されます。

したがって、途中で元夫が支払わなくなった場合には、「毎月定期的に」でも、「一度にまとまった金額を」でも、相手の給与や預金・不動産等の財産を差し押さえて、強制的に回収することができるとされています。

どうしても、支払う意思を見せてくれた元身内の相手に対して、裁判所を通して文書を作ることに抵抗を感じる人もいるかもしれません。

でもこれは、相手を信用していないのではなく、今後、お互いが嫌な思いをせずに過ごすために必要な手続きと考え、自分たちだけでなく法的機関に立ち会ってもらうようにしましょう。

■元夫が自己破産したとしても、養育費は別問題!

相手の経済状況に、いつ何時、どんなことが起こるか予想できません。ときには相手が自己破産してしまうことだって、あり得なくはないのです。

でも、そうなってしまったら、やはり養育費の支払いもストップし、なかったことにされてしまうのでしょうか?

元夫が自己破産をした場合、基本的には、借金や各支払義務など、すべての負債が原則として免責される(なくなる)ことになります。友人への返済や、残ったショッピングローンの返済なども、今後は返済しなくてよくなります。

しかしながら、養育費の支払い義務は、自己破産によっても免責されない(なくならない)とされていますので、自己破産の手続きに関わらず、請求をすることができます。数百万滞納しているというケースでも同様です。

ただ、金額については、「自己破産するような経済状況」なので、裁判所に対して養育費減額調停を申し立てられれば減額される余地があります。

養育費は、子どもの年齢や人数を基礎に、支払う側ともらう側の経済状況を考慮して決定されるものだからです。

養育費は、免責の対象外。これまで通りの金額とはいかないかもしれませんが、ゼロになるよりはマシではないでしょうか。

相手に追い打ちをかけるようで心が痛むかもしれませんが、子どもの成長は止められません。別問題だからと割り切り、お互いが納得する金額で支払ってもらいましょう。

養育費に関しては、離婚の際に、後の紛争を視野に入れて取り決めしておくことが重要です。

金額の妥当性や、合意を書面化する手続きについても、どの方法が好ましいか慎重に選択する価値はあるといえます。

離婚の際は、自暴自棄になって「何もいらない!」となってしまいがちですが、お子さんの将来のためのことなので、今一度冷静になって検討しましょう。法的な手続きでわからないことがあれば、弁護士などの専門家に相談することで、相手とのトラブルを防げることもあります。

協力:アディーレ法律事務所

DRESS編集部

いろいろな顔を持つ女性たちへ。人の多面性を大切にするウェブメディア「DRESS」公式アカウントです。インタビューや対談を配信。

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