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留学で気づいた「Japanese Working Mother」という私らしい強み~起業に至る道

出産後に1年半勤めた会社を辞め、夫とともに自身も米国留学しようと決めた端羽英子さん。「子持ちで職歴の浅い私には“実績”なんてない」と悩むも、「Young Japanese Working Mother」であることを個性に変えてから、新境地が見えてきたのでした。

留学で気づいた「Japanese Working Mother」という私らしい強み~起業に至る道

前回の連載は、仕事って楽しい。「責任がある」と自覚すると仕事は面白くなるから。

女性のキャリアの悩みの1つに、「家族との生活を守り維持するために、自分のキャリアを路線変更するか? これまでの道を続けるか?」というテーマがあると思います。

私の場合は、乳飲み子を抱えながら、なんとか転職に成功。心から仕事を楽しいと思えるようになったときに、夫(当時)の留学が決まりました。上司が背中を押してくれたこともあり退職を決意。せっかくの機会なので自分も米国留学にチャレンジすることにしました。「ビザスク」を起業するまでの道のりの中で、連載4回目では「留学~シングルマザーとしての転職」までを振り返ります。

■アピールできる実績が何もない!?

米国ボストンに移ってから、右も左も分からないまま留学の準備を進めました。その中で最も大変だったのが、願書とともに提出する「エッセイ」を書くことでした。エッセイでは、これまでの実績をアピールし、もし合格できたらクラスにどのように貢献できるのかを伝えなくてはなりません。

しかし、私は、新卒で入社した会社は妊娠したことから1年で、出産後に入った会社も1年半で退職しています。自信を持ってアピールできる実績なんてないと、すっかり悩んでしまいました。職歴が浅くて、まだ小さな子どもを抱えている母親学生なんて受け入れてくれる学校があるだろうか? そう不安が募るばかりでした。

■「Young Japanese Working Mother」は武器になる

ところが、願書を提出したいと考えていた学校の見学会で、転機となる出会いがありました。案内してくれた米国人の女性学生に、エッセイで悩んでいると伝えたところ、「あなたには、Young Japanese Working Mother というキーワードがあるじゃない!」と笑顔で言ってくれたのです。

ともすると弱点だと捉えられがちな4つのキーワードが、ダイバーシティという観点で社会から必要とされ、組み合わせれば個性や強みになるという視点は、当時の私にとってとても斬新なものでした。

「私は、Young Japanese Working Motherである。その上で、こういうことがしたい」と伝えればいいとアドバイスをもらい、「自分は悪くないんだ。自信を持って頑張ればいいんだ」と心から思えるようになりました。

■最前線に立っている――確かな実感

結果、志望校に無事合格し、久しぶりに学生生活に戻りました。MBA(経営学修士)のコースでは、ゲストスピーカーとして著名な方の話を直接伺う機会も多く、「最前線に立っている」と毎日ワクワクの連続でした。もともと英語は得意ではありませんでしたが、ふれる機会が増えていくにつれて、自分なりの方法を見つけることができました。

技術戦略の授業で、「子ども用のおむつ」のマーケティングについて議論したときのことです。「米国では紙おむつでTVCMを打たなかったのはなぜか? そう、利用対象者が限られるのでマスCMは費用対効果が悪かったからだ。では日本市場に進出した際にTVCMを打ったのはなぜか?」

教授からの問いかけに、他の学生はなかなか答えが出せないなか、私はこう答えました。「日本では、姑や社会が紙おむつを使わせるなんてかわいそう……とみる風土があった。紙おむつが普及するには姑世代にも紙おむつはいいものだと思ってもらう必要があったから」。

すると、教授が「その通り! 新しい技術が受け入れられるためには、購入者以外の人にも良さを伝える必要がある。だから紙おむつでにっこり笑う赤ん坊のCMなんだ」と言ってくれました。Japanese working motherだからこそ答えられましたね(笑)。

■常識にとらわれない。ワーキングマザースタイルは自分でつくる

日本にいたときは、ワーキングマザーであることに対し、無意識のうちに社会的なプレッシャーを感じていたのかもしれません。お母さんと過ごす時間が少ない子どもはかわいそうと思われないように、手を抜かないようにしなきゃ、みたいな。

でもアメリカでは、たとえば幼稚園のお弁当も、冷えたパスタをジップロックに入れて持ってくる子もいますし、本当にダイナミックです。一方で、親子でのI love youとハグは日常茶飯事。「栄養はスプーン一杯で足りるのよ」「子どもが自分に自信を持つようにたくさん向き合って褒めてあげて」と幼稚園の先生から言われたのも新鮮でした。

お弁当は手抜きでも、たくさん愛情を伝えればいいかも、は目からウロコな手抜き方法の発見でした。「留学中の子育ては、大変だったでしょう?」と言っていただくこともありますが、多様な考え方に触れることで自分のワーキングマザースタイルを作っていくことができたと思います。

残念ながら卒業をするときには、シングルマザーになることが決まっていましたが、Young Japanese Working Motherも悪くないという経験から、工夫をすればなんとかやっていけるだろうという自信も出てきました。ですので、日本での転職活動中も、「シングルマザーとして、働きます」ということをはっきり伝えていました。

卒業後は、家庭の状況も理解してくれた、ユニゾン・キャピタルという投資ファンドで働くことにしました。

許容できるリスクは、リスクではない。私が会社をつくるまで~起業に至る道

https://p-dress.jp/articles/1836

ビザスク・端羽英子さんの全5回に渡る短期連載も最終回。「やらない後悔よりは、やる後悔」をモットーに過ごしている端羽英子さんが、起業当時の思いや未来について綴ります。

端羽 英子

ビジネスのことなら何でも1時間〜聞けるスポットコンサルティング「ビザスク」の代表取締役。「世界中の知見をつなぐ」をビジョンに、日々奮闘中。東京大学経済学部卒業後、ゴールドマン・サックス証券投資にて企業ファイナンス、日本ロレア...

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