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結婚=子ども? 好きな人と同じ人を好きになるということ

結婚して子どもを産んで発見した大きなことは、好きな人と同じ人を好きになること、結婚願望はないけど子どもが欲しいという人には少し考えてほしい。

結婚=子ども? 好きな人と同じ人を好きになるということ

 前回考えた「結婚=幸せ?」のひとつの答えとして、結婚=子ども、と考える人もいる。「結婚願望はないんだけど、子どもが欲しいから……」という話はよく聞くだろう。

 私はあなたが好き、あなたも私が好き。制度に保障してもらわなくてもそれで充分!でも、子どもは違う。私が全力で愛して守ってやらなくてはいけない子どもが、社会的に割を食う立場になるなんて、あってはならない。だから、結婚して法的に家族になることが必要なの。一見すると、現実的で筋の通った意見に思える。結婚は、生まれて来た子どもを守るための選択……確かに今の日本ではそうだろう。

 私が結婚して子どもを産んで発見した一番大きなことは、好きな人に好かれる喜びも素晴らしいけど、好きな人と同じ人を好きになることはさらに素晴らしいということだった。パートナーに対して、誰かを愛しているあなたが好き、っていう視点が生まれる。それは劇的にふたりの関係を豊かにしたし、他者との複眼的な向き合い方を学ぶ機会でもあった。夫であるあなたと、父であるあなたと、人としてのあなた。その視点は同様に子どもに対しても「あなたは誰?」と問う。

 正式な家族で、正式に子育てするのが親の責任、もちろんそうだろう。でもその前に、家庭は夫や子どもと「出会う」場なのだ。その視点が欠けたまま、隙のない子育てをしようとすることが、本当に子どものためなのか。結婚願望はないけど子どもが欲しいから、と言う人に出会うたび、子どもこそが自分の専有物という意気込みを感じて、ちょっと怖くなる。

 もっとも、その家族との出会いの場が戸籍を共にする関係に限定されることを不自由だと思う人がいるのも分かる。結婚していないカップルの子どもも安心して生きられる社会の方がいい。結婚したら女性は働かずに家庭を守るべきと答えた二十代が多数派だったことは、制度上の標準とされて来た家族像から外れたら、どこにも行き場がなくなってしまうという不安の表れかもしれない。

小島 慶子

タレント、エッセイスト。1972年生まれ。家族と暮らすオーストラリアと仕事のある日本を往復する生活。小説『わたしの神様』が文庫化。3人の働く女たち。人気者も、デキる女も、幸せママも、女であることすら、目指せば全部しんどくなる...

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