「自分の世界は自分で守る」自分が好きなふたりに聞いた自己肯定感の話【ものすごい愛×モンゴルナイフ】
「自分肯定感」ってどうすれば持てる? そもそも「自己肯定感が高い」ってどんな状態? 12月に著書『命に過ぎたる愛なし 〜女の子のための恋愛相談』を出版したものすごい愛さんと、人気ライターのモンゴルナイフさん。「自分のことが好き」だというおふたりに語っていただきました。
「自己肯定感」って言葉、よく耳にしますよね。
生まれもった性格のような気もするし、「今さら自信をもったり、ポジティブになるなんて無理……」と思ってしまうけれど、「自分を肯定する」って本当にそんなにハードルが高いものなの? そもそも、「自分を肯定できている」っていったいどんな状態?
DRESSでは「自己肯定感高く生きていくためのヒント」を見つけるべく、「自分のことが好き」というふたりの女性に対談を依頼しました。
対談いただくのはこちらのおふたり。
ものすごい愛さん
女性からの悩みにポジティブでパワーあふれるアドバイスで応える恋愛相談が人気のエッセイスト・ものすごい愛さん。Twitterでも10万人以上のフォロワーに支持され、昨年12月に出版した著書『命に過ぎたる愛なし 〜女の子のための恋愛相談』(内外出版社)では大切な女友達の背中を強めにバシバシ叩くように、痛快なアドバイスとエールを送っています。
モンゴルナイフさん
人気Webメディア『オモコロ』にてディレクター&ライターを務めるモンゴルナイフさん。底抜けの明るさで、振り切った企画の記事を世に送り出しています。
出会ったとたんに地元トークで意気投合し、対談開始10分まったく本題に入る気配のないおふたりでしたが、いざ「自己肯定感」について話し出すと、その会話には大切なヒントがたくさん詰まっていました。「自己肯定感」の正体がちょっぴりわかる5000文字、よかったらお読みください。
■「自己肯定感高め」なおふたり。その子ども時代は……?
ものすごい愛:モンゴルさんとは初対面ですけど、ちょっと話しただけで元気をもらえますね! さっそく毛穴がピリピリしてきました。ドクターフィッシュに心のアカ食べてもらってる感じ。
ものすごい愛:モンゴルさんは、子ども時代から自分のことが好きだったんですか?
モンゴルナイフ:私、自分のことを「かわいい」とは純粋に信じ切っていましたね。中学生のころ、友達に「ブス」って言われた時期とかもあったんですけど……「この人すっごい目悪いな!?」と思って……。
ものすごい愛:タフだ。
モンゴルナイフ:「私はこんなにかわいい存在なのに、なんでみんな気づかないのかな」って。今思うとそんな調子だからまったくモテなかったんですけど、みんなの様子がおかしいって思ってましたね(笑)。
私はお姫様だし、将来はどこかお城みたいなところに住むんだろうなと思ってたんですけど……。
ものすごい愛:吹きだして鼻水が出てしまいました。
モンゴルナイフ:でも、なかには「わからせようとしてくる勢」もいるんですよ。「あなたはブスなんだよ」って。でも、広瀬すずちゃんとか深田恭子ちゃんとか、みんなそれぞれ美の方向性が違うだけで、私は「私」という美の頂点にいると思ってました。
ものすごい愛:最高だな~! 他人の容姿についてとやかく言ってくる人が最低なのは言わずもがなだけど、どうしてそこまで思えたんですかね?
モンゴルナイフ:私、自分を肯定してくれる人に引っ張ってもらってきた人生だったんです。小さいころから、お父さんに「世界一かわいいよ」と言って育てられて。学校で「お前はかわいくない」と言われようと、一番大切な人たちが「君はかわいいよ」って言ってくれたんだから、それが”True(真実)”。
ものすごい愛:たしかに私も、他の人に引っ張ってもらった部分はけっこう大きいかも。母から、「あなたは世間一般で見たらきっと中の中だけど、お母さんから見たら世界で一番かわいいよ!」って言われてたから、他の人から「ブス」と言われても「私のことをかわいいって思ってくれる人もいるからべつにいいや」くらいに思えてましたね。
■「みなさんちょっと、自分に厳しいなって」
ものすごい愛:でも、「自分はなんてダメなやつなんだ」ってなってしまう瞬間も普通にありません? 私たちのようなタイプって「いつでも脳内ハッピー!」みたいに思われがちだけど。
モンゴルナイフ:全然ある! 人生、修羅だらけ。
ものすごい愛:そこは自己肯定感が高い人も低い人も何も変わらないと思うんですよね。ただ、そこから嫌なことを無理やり脳みそから「ギギギ……!」ってひっ剥がして、切り替えてるだけ。違いがあるとしたら、そこなのかなって。
モンゴルナイフ:自分になかなか自信を持てない方って、理想形がすごく高いところにあるのかもなあとも思うんです。でもそれはそれで、きちんと上を見据えられててすごいなあと素直に思います。私はちょっとのことですぐ自分を褒めちゃうから……。
ものすごい愛:いや、私も超甘いですよ。たまに、食器洗わなくちゃいけないのに面倒くさくてありえないくらい溜まっちゃうときってあるじゃないですか。私、「ここまできても洗わないって、逆に根性すわってんな」って自分を褒めはじめますからね。
ものすごい愛:「箸洗いたくないがためにわざわざ下のコンビニまで行ってお弁当買う私、メンタル強すぎない?」みたいな。もう逆に「いつまで洗わないでいけるのか」みたいな肯定感にシフトしていって……。
モンゴルナイフ:洗わない自分褒めちゃうのはさすがにすごい!(笑)
ものすごい愛:で、洗ったら洗ったで「あの量を洗いきった私ヤバイ」みたいな。どっちに転んでも結局自分を褒めるようにしてるんですよ。あんまり自慢できる話ではないですけど……(笑)、でもちょっとみなさん、自分に厳しいなって思います。
理想を高く掲げてストイックに頑張る人ってほんとうに素敵ですけど、そこで「私ってダメだ」って辛くなっちゃうくらいなら「そんなに無理しなくても大丈夫だよ」って思う。
モンゴルナイフ:私は「自分ってダメなやつだな……」って思っちゃいそうなとき、心のなかに棲んでるギャルに救われてますね。
ものすごい愛:ギャル、ですか?
モンゴルナイフ:自分で自分を肯定できないとき、心のなかに自分だけの「都合のいいギャル」を出現させるんですよ。『GALS!』の寿蘭(ことぶき・らん)みたいな。
ものすごい愛:寿蘭……私も憧れの存在でした……。
モンゴルナイフ:私、実はけっこう緊張しちゃうタイプで、イベントに登壇する前とか、原稿を提出する前とかも「ハア、ハア、大丈夫かな、やべえ」ってなっちゃうんですよ。だから、「大丈夫大丈夫、モンゴルchan最高だから~! ヨユ~でイケるっしょ!」みたいに架空のギャルに後ろから盛り上げてもらうんです。
イメージとしては、黒ギャルになった自分とか、『SNOW』とか『Ulike』でめちゃくちゃかわいくなった自分が後ろからイケイケで応援してくれる感じです。
「架空のギャルに、こんな風に後ろから盛り上げてもらいます」
ものすごい愛:ジョジョのスタンドみたい。
モンゴルナイフ:でも真面目な話、そうやって自分で自分をだますっていうのも大事ですよね。よしなによしなにやってくしかない。大人だから(笑)。
■「自分の世界の平和」は自分で作るしかない
ものすごい愛:でも、最終的にはやっぱり、「自分が自分を好きでいられる平和な世界」を作ることが大事なんじゃないかな、と思うんですよね。人は本当の意味で他人の人生に責任は持てないので、自分の世界の秩序は自分で守らなくちゃいけない。
モンゴルナイフ:たしかに私も、昔夫に「私ってかわいいと思う?」って聞いたら「ふつう」って答えられたので、「貴様ぁぁぁ! 次それ言ったら空中回転チョップぶちかます!」と言って暴れました。「今後は“ふつう”って思ったときは嘘でいいから“かわいい”って言って!」みたいな。今はおめかしとかすると、「かわいい」って言ってくれます。
ものすごい愛:自分で発注するスタイル。
モンゴルナイフ:「自分を好きでいられる平和な世界」を作るためにも、身近な人には自分の言ってほしいこと、やってほしいことは自分から注文していかないと伝わらないよなと思って。求めるだけじゃなくて、自分からお願いしておこうかなって。もちろん相手の気持ちも聞いてやりたくなさそうなことは強制しないけど!
ものすごい愛:でも私も、自分の世界を守るために、怒るべきときはちゃんと怒りますね。
モンゴルナイフ:どういうことですか?
ものすごい愛:絶対間違ってないと思うときは、目上の人とも「それ違いますよね」って最後まで戦ったりするんです。このあいだも居酒屋で隣になった大学生グループがすごくうるさくて。うるさいだけなら「酔っ払ってるな〜」と思う程度なんですけど、内容がその場にいる女の子へのセクハラだったんですよ。その女の子も困っている感じだったし、どんどんヒートアップしていってたんで「うっせーぞ‼︎ セクハラだぞ‼︎」って言いました。
モンゴルナイフ:かっこよ、スカッとジャパンじゃん。
ものすごい愛:「ここできちんと言わないと、自分が自分を好きでいられなくなる」みたいな感覚なんですよね。「こういう私は、私的にどうなの?」と常に自分に問いかけてるというか。私、自分のことめっちゃ好きなんですよ。めっちゃいいやつだし、明るいし。だからこそ、自分のことを「いいやつだ」と思い続けるために、「自分のことを嫌いにならない選択」を積み重ねていきたいんです。私のなかにはギャルはいないけど、「こうありたいと思える私」がいるんです。
モンゴルナイフ:かっこいいな~! そういう目線はなかったから斬新です。私は人から嫌われたくない気持ちが強くて、「人から好かれている自分」が好きなんですよね。あんまり怒りや文句を外に出せないタイプなので、怖い先輩に目をつけられて職場で毎日攻撃されていたられたときも、味方になってくれるまで「ネイルかわいいですね!」「メイク素敵です!」みたいに毎日褒め続けて乗り越えてました。
ものすごい愛:それもものすごくかっこよくないですか!?
モンゴルナイフ:働いてると謝りたくないのに謝らなきゃいけないことっていっぱいあるし、自分の心をぎゅっと潰したりすることもあるんですけど、それでも「ここで我慢した自分、立派だったな」とか、トイレの鏡見て「怒りたいの我慢してる顔もかわいいかったね……!」とか自分を励ましたりしながら、相手との調和を取れている自分のことが好きなんですよね。
ものすごい愛:同じ「自分を好き」でも、方向性は全然違いますね。面白いなあ。
モンゴルナイフ:でも、それでも一緒にいたらお互いよくないなというときは辛いけど少し距離を取ります! せっかく出会った以上仲良くしていきたいけど……自分の世界というか心は自分で守らなくちゃいけないのかなと思うようになったので。
ものすごい愛:わかります。SNSとかも、いやな言葉は即ミュートでいいと思うんですよ。もちろんいろんな考えの人がいていいし、知っておかなくちゃいけないこともあるけど、しんどい思いをしてまでわざわざ毒を舐めにいく必要はない。とにかく、他人の世界平和のルールに縛られないでほしい。
モンゴルナイフ:「結婚したほうがいいよ」! 「子ども生んだほうがいいよ」!「貯金したほうがいいよ」とかね! 貯金はしたほうがいいのか……。
ものすごい愛:「うるせえ! 知らねえ!」って思う。「それはあなたにとっての世界平和のためのルールでしょ!? なるほど! どうぞ! ご自由に! 幸せに暮らしてくださいね!」です。他人と比べちゃダメ。自分が楽しいか。それがすべてです。
モンゴルナイフ:やっぱ自分の平和がいいですわ。これが一番いいのよ。一番効くのよ。その日の終わりが楽しかったら、それでええのよ。
■おわりに
「自己肯定感の高いふたり」が話しているはずなのに、考え方が真逆のことも多々ありましたが、共通していたのは「自分を肯定しよう」と強く意識していたこと。何度も念を押すように「私たちもふつうに凹むし、自信なくなるし、自分を嫌いになりそうになるし、地獄はいっぱいありますよ」と話すおふたりを見て、「自己肯定感」は性格なんかじゃなく、「姿勢」なんだなと気づきました。
ものすごい愛さんの書籍『命に過ぎたる愛なし 〜女の子のための恋愛相談』(内外出版社)にも自分を愛するためのヒントがたくさん散りばめられているので、ぜひ書店で手に取ってみてください!
人に好かれ、自分のことも大好きになれる香り「CHANCE Eeau tendre」
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