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体だけ求められる関係にうんざり。不倫から卒業した女性の体験談 2/2


■体だけ必要とされる現実

既婚者の彼とは、部署の飲み会があった日、二次会が終わったあとでホテルに誘われ、あっさりと肉体関係を持ちます 。

「私の気持ちはバレバレだっただろうし、彼もその気があるのは何となく伝わっていたから。飲み会に参加したのも彼とそうなるチャンスかなと思っていたし、酔ったふりをしたらすぐにホテルに誘われたのよ」

男性の言葉を信じるなら、「女性とこうなるのは妻以外では君が初めて」と言う彼は、文字通り貪るように彼女の体を抱きます。しばらく彼氏がいなかった彼女にとっても、久しぶりの快感は刺激が強く、「帰る気が起きなくて泊まってしまい、次の日の朝も求められた」そうです。

それから、ふたりの不倫関係が始まりました。今までと景色は一変し、会社では彼の姿はひときわ眩しく見え、早くふたりきりになりたい気持ちを抑えながら彼女は仕事をしていました。彼から通りすがりにこっそり渡されたメモに「今夜、20時に」とあれば、それから夢見心地で過ごして時間を待ち、ホテルになだれ込んだあとは食らいつくすようなセックスを楽しんでいました。

「でも、ある日気がついたのよね、“そういえばホテルしか行かないな”って。会社のお昼にランチは行くけど、夜は会えばホテルに直行で、出るときはもう時間が遅いからそのままバイバイして。で、彼に『たまには食事も行きたいな』と言ったら『食事してからホテルに行っていたら、時間がなくなるよ』と返されて、“あれ?”ってなって。“え、セックスが目的なの?”って」

その最初の違和感は、それから少しずつ彼女を苦しめるようになります。休日は会えないから平日の夜だけ、ふたりきりで過ごせる貴重な時間だけど、ひたすらホテルでセックスしかしない日々。おしゃれなお店にご飯を食べに行くこともなければ、ドライブのような恋人らしいデートもない。

「待ち合わせはいつもコンビニの駐車場なんだけど、ホテルに行く前にご飯を済ませておかないと、会っているときにお腹が空くのね。だからおにぎりを買ってクルマで食べていたら、何だか虚しくなってきて。『好きだよ』とは行為の最中に何度か言われるけど、それってセックスだけじゃない? 体しか求められないって、私は彼の何なんだろうとか考えちゃって」

彼女にこう言われたとき、「それが不倫だよね。既婚者が独身の女性に手を出すって体が目的だろうし、本当にあなたのことが好きなら奥さんと離婚するでしょう?」と返すしかありませんでした。

彼女に対して恋心があるのなら、セックス以外の時間も作るだろうし、奥さんと離婚する選択を考えるのが筋を通すこと。それをせず、ただ欲望を満たすために彼女に「好きだ」と吐けるのが、不倫を続ける男性の本音です。

セックスをする前は、彼女が喜ぶ言葉や態度を見せて気分を良くし、自分もその気があるように振る舞う既婚男性のやり方はよく耳にします。そしていざ肉体関係を持ってからは、それをメインにした時間しか持とうとしないのも、誠意のなさのあらわれ。

派遣社員ならば期間限定だからいずれ会社を去る、だから隠れて不倫関係を持っても自分にダメージはないだろう。男性がここまで考えていたかはわかりませんが、話を聞いていればそんな邪推も簡単にできます。彼女が期間満了になれば、会社を離れて「もっと安全に」不倫を続けられる。そんな既婚男性の都合のよさが伝わるようでした。

それが現実なのだと、彼女は第三者に言われて改めて気が付きます。

体だけ必要とされる恋愛

■不倫は自分が疲弊するだけの、不毛な関係

最初、彼女がこの男性に向けたのは、純粋な恋心でした。仕事の面でもプライベートでも、優しく接してくれて心地よい時間を与えてくれる。それが独身の彼女には抗いがたい魅力になり、愛情を覚えてしまうのも仕方がないといえます。

ですが、「たまたま既婚者を好きになっただけ」と腹をくくったところで、彼女の愛情が報われることはありません。体だけを求められる現実は、それを変えたくても既婚男性が許さないからです。

彼女は、自分の上で息も荒く腰を動かす男性を、「私のことをタダでやれる女くらいに思っているんだろうな」と感じたとき、はっきりと不倫をやめようと思った、といいます。

「好きだったけど、セックスしか頭にないあの人を見ていたらどんどん冷めていって。結局、私が疲れるだけじゃない。こいつのためにコンビニのおにぎりを食べる惨めさとか、昔『コンビニ弁当は体に悪いから』って言われたことが今さら憎くなって」

そう思ったらすべてが虚しくなり、彼女は派遣期間が終わる前に男性に別れを告げました。「引き伸ばしてもいずれ期間満了で関係も終わるんだけどね、我慢できなくて」と笑う彼女は、今はまともな恋愛がしたいと婚活パーティーに張り切って参加しています。

不倫は、既婚男性の都合よく存在させられることを受け入れてしまえば、ただ自分が疲弊していく関係です。一度抱えた愛情はなかなか捨てられませんが、それでも、そんなつながりに嫌悪感を覚える瞬間があるのなら、その違和感に従うのが正解だといえます。

不毛な関係は、みずから断ち切る勇気を持つことが、何より自分を救う道。彼女は自分を愛する選択ができたことで、これからは幸せな恋愛ができると信じています。

※ この記事は2019年10月10日に公開されたものです。

ひろた かおり

37歳で出産、夫と子どもの三人暮らし。何歳になっても恋愛ネタ大好物。恋愛相談家としてこれまで多くの男女から話を聞いてきた経験を活かし、復縁についてのアドバイスや不倫などさまざまな「愛のカタチ」について書いていきます。 人生...

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