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誰かと自分を拡張していく、という楽しみ

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私を形作る人たちのことが好きだから、私は私が好き。

誰かと自分を拡張していく、という楽しみ

「自分のこと、好き?」

昔どんな言葉よりも手触り感のあった、「自分が好きじゃない」という言葉に、年々共感できなくなっている。

数年前までは、誰に聞かれたでもないのに、深夜のTwitterに「自分のことが好きじゃないの」とか書いていたくせに。

そもそも、26年間生きている間に、包括的に語るべき「自分」というものがどんな存在なのか、皆目見当がつかなくなってしまった。より精緻に言えば、どうでもよくなってしまった、というのが正しいかもしれない。

ほんの3年前、電気を消したワンルームの暗闇で、孤独にiPhone 6を握りしめていた私はどこに行ってしまったのだろう。

Twitterにテキストをフリック入力した指先にこもった、私の途方もない絶望感は、時間と共に摩耗してしまったのだろうか。

■私を形作る人たちのことが好きだから、私は私が好き

私の真面目過ぎる自己肯定感を柔らかくほぐしてくれたのは、大人になってからできた、愛すべき友人たちだと思う。彼らのおかげで、最近思いを馳せるようになったのは、「誰かによって自分が拡張されていく面白さ」だ。

逞しくも美しい女友達が教えてくれた、脚の疲れないパンプスが、大事な人の前できちんと着飾る私をつくってくれた。

とてつもなく元気がなかったとき、友人が連れ出してくれたお笑い劇場が、大事な人が弱っているときに、「まずは笑わせてあげよう」と思える気遣いを教えてくれた。

私が感情的になっても、いつも優しく対応してくれるLINEの返信が、周りにいる人を大事にする人生を手に入れる方法を与えてくれた。

私という存在は、情報の粒の集合だけれど、それら一つひとつの粒子は、これまで出会ってきた人たちから少しずつ受け取ってきた“もらいもの”である。

大人になって、ありがたいことに本当に多くのコミュニティや素晴らしい人に出会う機会に恵まれた。出会うたびに感動し、付き合っていくうちに新しい世界に出会わせてくれるような人たちばかりだ。今の私は、今自分の周りにいてくれる人々によって形作られていると言えるだろう。

あの頃、忌み嫌っていた自分は、容姿や出自などデフォルトのスペックと確固たる思考の癖でできあがっていると思っていたけれど、今は違う。

息を吸って、吐く呼吸のように、誰かと生きる時間と、孤独に自ら創り上げる時間の繰り返しによって作られると思う。私は周りの人が大好きだから、周りの人が創ってくれた私を、今は愛せる。

■多様な自分を拡張するプロセスを楽しむ

そして周りの愛すべき友人たちのチャーミングなポイントが多種多様なように、彼女らのそばにいるときの私もまた、多種多様でよいはずなのである。

ある人の前では頼れるリーダーであっても、他の人の前ではだらしない自分でいい。高級店でも映えるワンピースを着た翌日は、安居酒屋で飲むためのスニーカーを履いていたっていい。明日は銀座が好きな私かもしれないけど、今は新宿ゴールデン街に行きたい。

日々の一瞬一瞬のなかで、「この人といるの楽しいなあ」と思う夜がある。誰かに会えないとき、「あの人と一緒にいる私に会いたいなあ」と思う朝がある。そんな日々の繰り返しに、最近は幸せを感じている。

そこにどうして統一性が必要なのだろう? 誰のために? あなたが楽しくて、私がうれしければ、それでよくない?

もし今、誰か大事な人に「自分のこと好き?」と聞かれたら、「わからないけど、あなたといる自分は好きですね」と答えると思う。

私はいつも、誰かといるとき、私が一番楽しくて、そしてあなたもきっと一番楽しい、そんな私を最大出力にしている。そこで、全体を意識したチューニングをするのは野暮じゃないだろうか。

包括的な自分の人格で生きる人生すべてを恨むことはやめて、いくつもの自分を乗りこなし、一度の人生の中で、いろいろな自分を生きよう。これからどんな自分に出会えるかということに、ときめきを感じよう。人生のきらめきは、一本道の人生じゃ、味わえないくらいに多彩なのだから。

Text/りょかち(@ryokachii
Photo/池田博美(@hiromi_ike

1月特集「私の好きな、私と生きる」

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DRESS編集部

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