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自己嫌悪は毎日だし生きるのは大変。それでも「好きな自分」があるから生きるのは楽しい

自分が好きな自分を生きているときに感じる心地よさがある。いろいろなヒト・モノ・コトとの出会いがあって、世界が広がっている感覚になれるから。好きな自分でいられる時間を増やしながら生きていきたい。

自己嫌悪は毎日だし生きるのは大変。それでも「好きな自分」があるから生きるのは楽しい

■こんな自分は嫌いだ

パーティーや宴会にいるときの自分が好きではない。そもそも飲み会とか大勢の人がいる場が苦手だし、とくに初対面の人とちょっとした会話、何気ない会話をして楽しむスキルが低い。

誰かの結婚式に招かれたときも、隣に座るはじめましての人たちと、がんばって笑顔で会話をする。心のなかでは「お願いだから時間よ、早く過ぎて」なんて思っている。そんな自分はどこか情けないし、何かが欠落しているようで、ああ嫌いだなと思う。

すっぴんでどこかへ出かけるときの自分が好きではない。近所のスーパーやコンビニ、飲食店などへふらっと行くとき、「そこしか用事がないから」という理由で、メイクをしないことがある。

肌荒れはないし、眉は描かなくてもあるし、顔的に過不足はないけれど、やっぱりメイクをするのとしないのとでは、顔がまったく違う。素顔だときれいじゃないなと自覚しているから、堂々と振る舞えない。

じゃあ軽くでもメイクして出かけなさいよ、という話だが、そこを面倒がってしない自分、すっぴんに引け目を感じながら、レジで俯き加減にお金を払う自分は、ああ嫌いだなと思う。

■「今の自分、好きだな」だと思うとき

一方で、こんな自分は好きだなと思う。

自分で「いいヤツじゃないか」とまで、肯定しきっている。

趣味のプロレスや相撲を観戦しているとき。熱心に見ているときは、日々の細かいストレスやイライラを忘れて、現場にのめり込んでいる。集中している、と感じる。

プロレスラーには「ジェイク―!」「直矢ー!」とか、力士には「正代ー!」「阿武咲ー!」とか、推し選手の名前を現地で大声で叫ぶ。好きな選手を声援する、という自己満足に基づいた行為だけれど、誰かをいいなと思って応援している自分は好きだなと思う。


編集者/ライターとして誰かの話を聞いているときの自分が好きだ。会話のなかで適切な質問を挟めたであろうとき、取材者が「なるほど。それはですね」とか「ああ、思い出した」とか、ここだけの話的な内容を話してくれる。

インタビューは下調べも大事だけれど、「ライブ」そのもの。現場でいかに臨機応変に立ち回り、そこでの熱量を上げて、相手が奥底に抱える言葉を引き出していくかが勝負だ。相手の話をしっかり受けて、上手く引き出せたときの自分は好きだなと思う。


相撲好きな知り合いと一緒にいるときの自分も好きだ。相撲を見るようになってから、取材をしたり記事を書いたりするうちに、相撲をキーワードに趣味友達が増えた。彼らとは好きなものが同じ、という安心感があるから、自然体な自分でいられている気がする。

9割方、相撲の話をするのだけど、それが心地よい。肩書や性別、その他もろもろにとらわれず、ただ相撲が好きというだけでつながり、話が尽きない。いきいきと目を輝かせて話している(ような気がする)自分を俯瞰すると、楽しそうでいいなと思うのだ。

■好きな自分として過ごす時間があるから生きていける

毎日のように「あの瞬間の自分は嫌だ」と自己嫌悪に陥っている。たとえば、タイミングを逃して自分から元気に挨拶できなかったとか、店員さんにもっと大きな声でお礼を言えば良かったとか、現場で気配りが足りなかったとか、いろいろある。

連日、ただ生きているだけで、些細なミスや後悔をたくさん積み重ねてしまう。それは自分が未熟な人間で、不甲斐ないから。だから1日が終わったら嫌いな自分を振り返って、もう繰り返さないと誓うのだ。

でも、反省だけの人生だとつらい。自分の嫌いな顔は多いけれど、好きな顔もまあまああるから、それに支えられて生きている実感がある。生きていけば生きていくほど、苦しみや悲しみが伴うけれど、好きな自分として過ごせる場面も多いから、まだしばらくは生きていこうと思える。

好きな自分を生きているとき、目にする世界は明るくて、どこまでも広がっているように感じる。そこはヒトやモノ、コトとの新しく、魅力的な出会いにあふれているから。好きな自分でいられる時間を増やしながら生きていくのが私の願望。

画像/Shutterstock

1月特集「私の好きな、私と生きる」

池田 園子

DRESS編集長(2016年1月〜2020年1月)。

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