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頭で考えない、心で感じる恋愛のすすめ【植村絵里×竹中功 対談#3】

「DRESS」コラムニストとしてもおなじみの植村絵里さん、元よしもとクリエイティブ・エージェンシー専務取締役で、『よしもとで学んだ「お笑い」を刑務所で話す』など著書も多い竹中功さんによる対談企画。#3では「頭で考えすぎず、心で楽しむ恋愛」をテーマにお話ししていただきました。

頭で考えない、心で感じる恋愛のすすめ【植村絵里×竹中功 対談#3】

「年収800万円超、身長175cm以上、上場企業勤務、見た目も◯――恋愛及び結婚相手としてはもちろん合格かなぁ。でも、気持ちはときめなかない……」。

SNSや恋活・婚活アプリで相手のプロフィールを眺め、書かれた情報から「アリ」「ナシ」を判断。どこか冷静な自分がいて、気分が高揚することもない。そんな「頭で進める恋愛」で行き詰まっている方へ――。

「頭で考えすぎず、心で楽しむ恋愛」をテーマに、「DRESS」著者陣としてもおなじみ、起業家の植村絵里さんと、『よしもとで学んだ「お笑い」を刑務所で話す』などの著書がある、「笑いのコミュニケーションのプロ」ともいえる竹中功さんとで対談していただきました。

対談#1「モテる女は「ボケを拾うスキル」を持っている」、対談#2「頼りない彼をいい男に育てる方法」に続き、ここでも恋愛のヒントを得てください。

■自分と関係性・共通項がない相手との出会いを恐れないで

植村さん(以下、植村):近年感じるのが、SNSの普及がコミュニケーションを便利にした一方で、弊害も及ぼしているということです。たとえば、実名制のFacebookだと、相手の情報をいろいろ見られますよね。

竹中さん(以下、竹中):生年月日や現住地、勤め先……あらゆる情報が公開されてますからね。

植村:出会った人の氏名でFacebookを調べてチェック――そういう習慣が当たり前になると、あらかじめ情報を知っていたり、何かしら自分と関連があったりする相手でないと、会話を進めるのが難しい……と感じてしまう人は多いんじゃないかと。

竹中さん:ほう。

植村:以前の私がそうでした。

竹中:何か変わったきっかけがあったんですか。

植村:今はお酒を飲まなくなりましたが、数年前までは飲むのが好きで、ひとりでバーに通った時期があったんです。そこでコミュニケーションの本質を教わってから、だいぶ変わりました。バーのカウンターで女性がひとりで飲んでいると、声をかけられることが多いですよね。初対面の男性との会話を楽しむ中で、「え、◯◯にお勤めなんですか! 私◯◯さん知ってます」みたいなことをポロッと言ったんですよ。

竹中:うーん……そういうこと言っちゃう人、いますわ(笑)。

植村:今となっては反省しかないです(笑)。男性が席を立ったタイミングで、バーテンダーさんから、「こういうところで知り合う方に、◯◯さん知ってます、みたいなことを言っちゃダメ。たとえ知ってたとしても、その男性と◯◯さんがどういう関係性か、お互いどう思ってるか、あなたはわからないでしょ? その発言をすることで、あなた自身が不利になることもあるよ」と、そっと伝えられたんです。

竹中:それはもっともですね。これはビジネスの場面でも言えることですね。

植村:ただ、この経験を通じて、自分とまったく関係・共通項がない人とプライベートに踏み込まずにその場だけ、お互い気持ちよく、楽しくコミュニケーションをすることは、とても人間的成熟が求められるなと感じました。

「○○さん知ってます」みたいな会話は相手が何を考えているのかな、どんなお話をしたらいいかな、など相手を感じたり察したりせず、頭も心も使わずに誰でもできますが、こういう会話している限り、大人の女性にはなれないわけです。

もし恋愛を始めたいなら、新たに人と会わないと、スタート地点にも立てません。そもそも動物は、自分と遠いところに位置する相手に対して憧れを抱く性質があります。だから自分と共通点がない人に出会うと、惹き合って、恋愛が成就する可能性が高くなるわけです。

■心で感じる前に、頭で相手の値踏みを始めるクセ

竹中:一方で、恋愛そのものに欲求を持たない人も多く、恋愛したい人は一体どうすればいいのかなぁとも思いますよ。

植村:いや、どうでしょう。……とは言っても、私がポッドキャストなどを通じて、積極的に恋愛相談を受けるようにしてるから、周りに恋愛したい人が多いように、感じているだけかもしれませんが(笑)。

竹中:植村さんのご本業は経営者で、エステティシャンですが、そもそもどういう経緯で恋愛相談を受けるようになったんですか。

植村:サロンでいろいろな人の肌を触っていると、その人の食生活や生活習慣がわかるんです。肌はすごく正直です。肌が荒れている人、吹き出物やニキビなどができている人は、やはり心に悩みを抱えています。

竹中:それは人間関係の悩み?

植村:はい。紐解くと、男女の関係が大半です。夫や彼、気になる人との関係……皆どんな形であれ、恋愛をしているんだなぁと、いろいろな方から相談を受けていて感じます。

竹中:相談される内容についてはどう感じますか。

植村:昔と比べると、ちょっと変わってきているなぁと思います。たとえば、はじめから当たりくじを引こうとする傾向がある、というか(笑)。学歴や勤務先、年収……先ほどのFacebookの話に戻りますが、コミュニケーションとらなくても、最初から“答え”が見えてるんですよね。極端な話、「相手に訊かないとわからないこと」がない。心で「この人、いいな」と感じて、会話を通じて一つひとつ尋ねていく……というプロセスを踏まなくなった。頭ですぐに相手の値踏みを始めるわけです。

■がんばっている自分を自分で褒めてみる効用

竹中:心で感じるんじゃなくて、頭で考える恋愛、というわけですね。

植村:頭で考えすぎちゃうから、動かないし、動けずにいるんだと思います。あまり考えすぎずに、感じるのが大事ですよ。

竹中:そういう「感覚」を失ったり、磨けなかったりすると、心で恋愛を楽しめないですよね。

植村:自分の心に敏感になる、心の声をきちんと聞く――そういったトレーニング法があればいいんですが……。

竹中:簡単な方法がありますよ。それは、がんばってる自分を褒めてあげること。僕、一昨年、35年くらい勤めた吉本興業を退社したんです。当時、周りから「ご苦労さま」といった労いの言葉や、「もう少し勤め続けてたらエラくなれたかも」みたいな言葉をかけられました。でも、なかでも一番ぐっときたのは、弟と知人から言われた「自分で自分を褒めときや」って言葉だったんです。

植村:あぁ、わかります……! 自分と対話して、自分をわかってあげる、認めてあげることで、体の不調が和らいだ経験があります。

竹中:自分自身を褒めるというのは、自分自身にインタビューする感覚に近いんです。

植村:『よしもとで学んだ「お笑い」を刑務所で話す』の中で、自分が自分に会いに行き、自分にインタビューする、といったお話が書かれていて。がんばってる自分とそれを認める自分は別人格、という考え方にも共感したんですよね。

竹中:人は多くの人と関わって生きていますから、「自分とのコミュニケーション」って、つい後回しになりがちです。でも、自分が自分に何か聞くクセをつけると、質問も答えも考えて感じるようになる。そのおかげで、対人とのコミュニケーションも上達するんです。自分と対話し、自分を知り、褒めてあげることは、自分の強みも弱みも知ることで、そういった経験をすればするほど、相手のこともよくわかるようになり、言葉も伝わるようになります。

植村:たとえ忙しくても、自分とじっくり対話をする時間を、1日の間に少しでも作ってほしいと思います。本日はありがとうございました!

(完)

Text/池田園子

『よしもとで学んだ「お笑い」を刑務所で話す』書籍情報

著者 竹中功さんプロフィール

1959年大阪市生まれ。同志社大学大学院総合政策科学修士課程修了。吉本興業入社後、宣伝広報室を立ち上げ、月刊誌『マンスリ―よしもと』初代編集長を務める。吉本総合芸能学院(よしもとNSC)の開校や、プロデューサーとして心斎橋筋2丁目劇場、なんばグランド花月などの開場、 映画『ナビィの恋』の製作に携わる。よしもとクリエイティブ・エージェンシー専務取締役、よしもとアドミニストレーション代表取締役を経て、 2015年7月退社。現在は企業の危機管理・コミュニケーションコンサルタントとして活躍。 株式会社モダンボーイズCOO。著書に『よい謝罪』(日経BP社)などがある。

『革命力:仕事と愛と運に恵まれる女性が考えている18のこと』書籍情報

著者 植村絵里さんプロフィール

1980年東京生まれ、聖心女子大学卒。クイックエステBeautiQ(ビュティック)創業者。 自己実現と出産育児を自由に選択でき、内面も外見も美しい女性があふれる社会作りをモットーに、28歳で起業し、日本初の女子大生ベビーシッターサービスを立ち上げる。300人以上の子供と200人以上の母親と関わる中で、まず母親や将来母親になる学生自身が、外見から自信をもち笑顔になることが社会の基盤に重要だと考え、2011年、美容サービスの価格や所要時間に不満をもつ、子育て中の母親、ビジネスウーマンのニーズをカタチにした全く新しいコンセプトのクイックエステBeautiQを創業する。著書に『私の離婚の理由: Embracing My Divorce』(Kindle)などがある。

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DRESS編集部

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