【都議選】女性が振り返る選挙、そっぽ向く選挙【佐藤あつこ】
都民ファーストが圧勝した先の都議選。一方、自民党は34議席を減らすという、歴史的な惨敗との結果に。今回の都議選結果を中央区の事例とともに振り返り、これからの地域政治のあり方、都民ファーストへ望むことなどを、中央区議会議員の佐藤あつこさんが綴ります。
都民ファーストの会が圧勝する一方、民進党は議席を激減させ、自民党は歴史的大敗を喫する結果となり、都議会議員選挙は幕を下ろしました。
私の地元、東京都中央区は「保守王国」と呼ばれる、自民党の強い地域でした。
支持基盤は、町会や自治会、各種団体などで、多くは男性中心のコミュニティです。しかし、実際の中央区における人口構成は女性が男性を上回っています。
今回、中央区のひとつの議席に対し、5人が立候補しました。選挙以前から、「都民ファースト」と「自民党」の一騎打ちとされており、双方が「最重点選挙区」と位置付けました。
投票結果は
都民ファースト 2万5792票
自民党 1万7965票
と、約8000票の差がつき、都民ファーストが勝利しました。
■なぜ自民党は敗北したか
選挙期間中、不安でたまらなかったのは、目に見えない浮動票の多さでした。最も危機感を募らせたのは、女性票が取れないに違いない、という恐怖。
私自身も戦後55年体制から60年経った地方統一選挙で当選しましたが、中央区自民党では初の母親議員です。それゆえ、自民党の支持基盤における女性がいかに少数であるか、よくわかっています。
多くの方々から自民党の反省を促す厳しいご意見をたくさんいただきました。彼らは中央区の人口の約半数を占める子育て世代です。
私の元に届いた一通のメールをご紹介します。
「内閣高支持率が何年も続いたときでさえ、東京都自民党は古臭いと感じました。利権、権威主義、過度の土着、ゼネコンとの関わり……とても女性政策に明るいと思えません。佐藤さんも女性としてがんばられているのはわかりますが、率直に今の自民党の体質をどう感じていらっしゃるのですか? かつての国政がそうであったように、東京都でも自民党が一度下野して、生まれ変わった方が良いのではないか、と多くの女性が感じていると思います」
最初は匿名でいただいたメールでしたが、何度もやりとりするうちに、顔が見える関係になりました。匿名ではなく、多くの女性たちが堂々と自民党に意見できるような体制を、私は作りたいのです。
■女性が選挙の主導権を得て、堂々と意見できる社会に
この先、もっともっと女性が選挙の主導権を得なければいけません。メールにあるように、自民党が「一度下野してから生まれ変わる」が現実になったのですから。
女性施策や女性が活躍するコミュニティ作りなど、政治の大きな使命は、今ないものを作ろうとする人々や、社会をより良い方向に変えようとする人々を支援することにあります。
さて、先の表の自民党公認候補者は、町会や自治会、各種団体から広く支持されている、長年に渡って地域に密着する活動を続けてきた人です。地道な地域活動が中央区の安心安全に貢献しているのは事実です。
実際、選挙期間中は何度も、町会長などの地域有力者との会議を開きました。また、選挙戦に際し、おそらくのべ2000人と握手していると思います。ここでも圧倒的に男性が多数でした。
地域の有力者から「新住民」「子育て世代」「学生」へ
各種団体から「区内で働く人」へ
町会から「子育て世代」お孫さんのいる「おじいちゃんやおばあちゃん」へ
昔からの住民から「新しい住民」へ
このように描いていた裾野は広がりませんでした。都議会議員選挙前に報道された数々の不祥事も強い逆風でした。
地道に長年地域で活動したのは誰か? 本当は、このことをもっと、大いに議論したかった。
■「都民ファースト」という政党名の意味
次回こそは
地域のために成果を積み重ねてきたのは誰か?
政治家として何を実行して、何を実行したいのか?
という議論をしたいのです。
一方で、これからの4年間、私は都民ファーストに要望します。
なぜなら、「都民ファースト」というからには、まず「都民」が第一で「自分」は二の次以下であるからです。
今、都民ファーストは過半数の議席を占めました。地域の支持と負託により、都民ファーストが担保されているわけですから、今までの主張がすべて実行されるべきであり、厳しい言い方をすると、実現できないいかなる言い訳も通用しない立場になったのです。
もしも究極の二者である「都民」か「自分」かを選ばなければならないとき、自分は「犠牲」になっても「都民」を選ぶはずであると期待しています。
万が一、「都民以外のものがファースト」になったら、そのときにしっかりと指摘するのは都民であり、我々の責任でもあるのです。