1. DRESS [ドレス]トップ
  2. ワークスタイル
  3. 男性は育児休業を取得しづらい。代わりに選んだ「育休的起業」から見えてきたもの

男性は育児休業を取得しづらい。代わりに選んだ「育休的起業」から見えてきたもの

男性で育児休業の取得を検討する人はまだ稀。当然男女ともに取得できる育休ですが、デメリット的な側面が目立つのも事実。そんななか、西村創一朗さんは育休を取得する代わりに、会社を辞めて起業。自身の選択を「育休的起業」と名づけ、実践しています。

男性は育児休業を取得しづらい。代わりに選んだ「育休的起業」から見えてきたもの

株式会社HARESの西村創一朗( @souta6954 )です。
新卒で入社した会社を今年12月末をもって退職することになりました。11月30日で最終出社を終え、現在は有給休暇の消化期間中です。

■退職し「育休的起業」を選択した理由。

今回の退職のことを僕は勝手に「育休的起業」と呼んでいます。
その理由は至ってシンプルで、娘をはじめ「家族と過ごす時間をもっともっと大切にしたい」という根源的な欲求からでした。

「あのとき、もっともっと家族と過ごす時間を大切にしておけば良かった」と後悔してからではもう遅い。子育ては「期間限定」ですからね。過ぎてしまった時間は二度と取り戻せません。

「じゃあ、育休を取得したら良いのでは?」というご意見も当然ありますし、僕も育休取得を検討したことがあります。

ただ、育休を取得するならば、1ヶ月や2ヶ月ではなく、少なくとも半年や一年は取りたいと思っていましたし、復帰してから少なくとも2〜3年は働いて会社に恩返しをすべきだと考えると、あと2.5年〜3.5年は会社員でい続けることになり、あっという間に30歳を過ぎてしまいます。

「20代のうちに独立・起業に挑戦してみたい」という極めてエゴイスティックな自分の思いと「家族と過ごす時間を確保するために育休を取りたい」というこれまたエゴイスティックな自分の欲求の、二兎を追って二兎を得るための選択肢が「育休的起業」だったのです。

パパの胸の上でスヤスヤ。仕事の合間にある、至高の休息時間です。

■週2日は完全在宅ワークデイ

育休的起業のワークスタイルは、以下のイメージです。
・完全週休二日制。子どもの小学校や幼稚園のカレンダーに合わせて土日祝日はおやすみ。
・平日5日のうち、3日は外出デー。講演やセミナー、商談や打ち合わせなどの時間に充てています。
・残る2日は完全在宅ワークデー。娘と戯れながら、自宅で仕事。原稿の執筆や講演資料の作成、事業戦略の企画検討とか、一人で完結する仕事はこの日に集中させます。ちなみにこの原稿を書いている日はもちろん在宅デーです。

とはいえ、このワークスタイルを始めてからまだ2週間程度なので、この形がベストだとは思っていませんし、もしかしたら年明け以降は在宅ワークデーの比率を増やすかもしれません。

妻は昨年11月末、出産前に退職しているため、現在は専業主婦なのですが、妻のやりたいことの実現や、スキルアップの支援はできる限りしたいと思っています。年明け以降、僕の在宅ワークデイを活用して、Webデザインの専門学校に通う予定です。

仕事中もいつもデスクの下でパパにべったり。

■「カンガルーワーク」で人生初の子連れアポ。

そんな中、ひょんなことから「人生初の子連れアポ」の機会が早速訪れました。退職エントリを読んで下さったとある企業の人事役員の方が「ぜひうちのオフィスに遊びにきてください!」と声をかけてくださったのですが、ちょうどその日は妻が健康診断で、自宅で娘をみていなくてはいけない日でした。

ただ、奇跡的に自宅の近くにある会社だったのでダメ元で「子連れでお邪魔しても良いですか?」と聞いてみたところ「もちろんです!」と快諾して下さったのです。

まだ、都心で一日中連れ回すのは娘にも負担をかけてしまうので勇気が出ませんが、娘を抱っこしながら働く「カンガルーワーク」には積極的にチャレンジしていきたいと思っています。

記念すべき人生初の子連れアポ。娘はおとなしくお利口さんにしてくれていました。

■自分らしく生きられる「暮らしになじむ働き方」

最終出社を終え、育休的起業ライフをスタートしてからまだ2週間しか経っていませんし、試行錯誤まっただ中ではありますが、おぼろげながら見えてきたものがあります。

それは「くらし」と「しごと」の垣根が、どんどん溶け始めている、という感覚です。暮らすように働き、働くように暮らす。自宅で仕事をしながら娘と過ごす時間を大切にできる喜び。「ただいま!」と小学校や幼稚園から帰ってくる息子たちを「おかえり! 今日はどんなことがあった?」と迎えられる喜び。

「ワーク・イズ・ライフ」ではなく、あくまで「ワーク・イン・ライフ」。良くも悪くも、仕事は人生を充実させる要素の一つにすぎません。だったら、自分らしく生きられる「暮らしになじむ働き方」を追求したいものです。

限られた時間を「ワーク」と「ライフ」で奪い合うのではなく、ワークとライフの垣根が少しずつなくなっていくにつれて、「働く」の本来の意義「傍楽(はたらく)」に近づきつつあると思っています。

カイシャを通じて、ビジネスを通じて、お客さまを楽にする。家事育児を通じて、家族を楽にする。地域活動を通じて、地域の方々を楽にする。僕自身は、こうした営みの総称が「はたらく」だと思っているので、これからもより良い「はたらく」のカタチを模索し続けます。

子育てとキャリア。本業と複業。やりたいことがあるならば、二者択一の世界観でどちらかを諦めるのではなく、「二兎を追って二兎を得る」ためのアイデアを発明して、実践して、世の中に広げていきたいと思っています。

一度きりの人生。「あのとき諦めなければよかった」と後悔しないように、欲張りに生きていきたいものです。

西村 創一朗

1988年、神奈川県生まれ。首都大学東京法学系を卒業後、2011年に新卒で大手人材総合会社に入社し、現在は採用担当・新規事業企画を兼務する。本業の傍ら「二兎を追って二兎を得れるよのなかをつくる」をビジョンに掲げ、2015年に...

関連記事

Latest Article