川崎貴子さん×夫 マサヒロさん夫婦対談・前編「“この人は異星人”だと思えば夫婦の会話は減らない」
https://p-dress.jp/articles/1432相手選びから関係の維持まで、結婚に悩む男女への的確なアドバイスが光る川崎貴子さんは、昨今各種メディアに引っ張りだこである。『愛は技術 何度失敗しても女は幸せになれる。』、『結婚したい女子のための ハンテ…
川崎貴子さん(プロフィールは文章末尾に記載)と夫マサヒロさんの対談の続編。前編「“この人は異星人”だと思えば夫婦の会話は減らない」 に続き、後編では幸せな結婚生活を送るために必要なコミュニケーション法をより具体的にに掘り下げる。
著書『愛は技術 何度失敗しても女は幸せになれる。』、『結婚したい女子のためのハンティング・レッスン』や女性媒体での連載が大好評で、女性からの高い支持を得る川崎貴子さん。自身は一度の離婚を経て、今は8歳年下の夫と共に2人の娘を育てている。今回、初の夫婦対談が実現!下記の記事は前編。
川崎貴子さん×夫 マサヒロさん夫婦対談・前編「“この人は異星人”だと思えば夫婦の会話は減らない」
https://p-dress.jp/articles/1432相手選びから関係の維持まで、結婚に悩む男女への的確なアドバイスが光る川崎貴子さんは、昨今各種メディアに引っ張りだこである。『愛は技術 何度失敗しても女は幸せになれる。』、『結婚したい女子のための ハンテ…
川崎貴子(以下、貴子):あとね、普段からマメに会話をしていることの何がいいって、お互いの今のメンタル状況、今現在の考え方をすぐに理解できる点にあるんです。触れるもの、体験するもので人はどんどん変化していくので、「いつも一緒に暮らしているから」という理由だけで相手を理解することはできません。こまめな会話を繰り返して、日々のアップデートを見逃さないこと。
川崎マサヒロ(以下、マサヒロ):お互いのメンタル状況の共有ができていると、たとえば指摘したいことがあったとしても、「あ、今日はこういう状態だから伝えるのは週末にしたほうがいいな」など、タイミングを読みやすくなるんですよ。
貴子:お互いの色々な感情を常にシェアしていると、相手がキャパオーバーしているときに提案しないで済むんですよね。
マサヒロ:昔は、思ったときに思ったことを言っていました。でも、「今は私、こういう状況なの。だから今、家のことを言われても対応ができないの」と言われて、少しずつ学びました(笑)。
貴子:私がプライベートで一番時間を使っているのはあなたとの会話であって、私は今週忙しくてほかに手が回らないこともすでに話しているんだから、その情報を活用してくれ、と(笑)。
――メンタル状況を把握して伝えるタイミングがわかって、じゃあいざ何か指摘したい、となったときに上手な伝え方はあるでしょうか?
貴子:「あなたの落ち度について指摘しています」という態度ではなく、「“二人のこと”として“提案”」するのがいいと思うんですよね。二人で私たちの家庭を作っていく上で、こうなりたくない? だから、ここの部分をこういうふうに変えてみない? という言い方をする。あと、「感情の一言添え」もしてください。そうじゃないと、仕事みたいになってしまうから。ロジカルに伝えつつ、「聞いてくれてありがとう」とか、「ごめんね、少し悲しくなっちゃったから言ったの」と一言だけ添える。
――もし、一言添えるどころか、怒っているなど感情が高ぶっていて二言も三言もネガティブな感情をワーワー言いたくなってしまうときはどうすればよいでしょう?
貴子:私も怒りっぽいから、過去にはワーッと文句をぶつけてしまったことももちろんありました。ですが、そういう言い方をしたときって、伝わらないまま徒労感しか残らなかったんですよ。ぶつかり合いによって関係性が強化することもありますけどもね。
あと、感情的になりたいときのクッションとなるようなルールを決めておくのもいいですよ。うちはね、「米蔵タイム」があるんですよ。
――こめぞう?
貴子:私が、米蔵じいさん、という架空のおじいさんのキャラクターになりきって、「ワシは今こうだと思っているのじゃ~」、「ワシはこうされるのは嫌なんじゃ~」と怒り出すんです(笑)。
――(笑)。不満をお茶目に言うと、聞くほうも受け入れやすいですよね。
マサヒロ:貴ちゃんがある日突然、おじいさんの口調でしゃべり出して、「誰ですか?」って聞いたら、「米蔵じゃぁぁぁ!」って。そこから、定番化しました(笑)。
――米蔵じいさんという知り合いがいた、とかではないですよね?
貴子:全然。私の創作キャラクター(笑)。彼は江戸っ子じいさんで、言いたいことを言うのです。
――ほかに、夫婦生活をよい方向に向かわせるキーポイントはあるでしょうか?
貴子:頭の中の「夫婦バイアス」を取り払うことかなぁ。私は、最初の結婚で失敗した後、自分は結婚に向いていなかったな、と実感したんですよ。一番の被害者は娘で、休みの日に娘を公園に連れて行くと、お父さんに肩車されている子を羨ましそうに見ているんですよ。それで、娘にはかわいそうなことしたなぁ、とずっと思っていて。夫と知り合ったときも、私から電話番号を聞いてアタックしたわけだけど、結婚相手がほしいというよりも、パートナーがほしかったんです。
――離婚した後、再婚に臆病になる方は多いですよね。
貴子:結局、(現)夫とは一緒に暮らしているのに婚姻届を出さないと、「内縁の夫」みたいになるのが申し訳なかったのもあって、結婚に踏み切りました。それが自然な流れでしたし。
結婚はもういいやと思っていたのは、最初の結婚相手とは、結婚する前まで何年もずっと親友のような関係でうまくいっていたのに、結婚した途端に関係性ががらっと変わってしまったと私は感じたからなんです。もちろん、向こうも私に対してそう思っていたと思う。それって多分、お互いに理想の夫像や理想の妻像があったのが原因。つまり、「夫婦バイアス」があったんですね。
――妻と夫とはこういうものである、といった“期待”でしょうか?
貴子:そう。それまでの恋人時代の人格を無視して、夫婦としての理想を相手にぶつけてしまう。たいていの夫婦が、各々の結婚観をすり合わせないで結婚しているから、自分が育った家庭環境などで刷り込まれた夫婦像が「当たり前だ」と思ってしまっている。
――たとえば、専業主婦の母親のもとで育った男性が結婚したら、共働きだったとしても、妻に専業主婦のような役割を期待してしまう、などが起こるのでしょうか?
貴子:そうだと思います。共働きだからと頭でわかっていても、心の底では妻が仕事ばかりで家事をあまりしてくれていないと、寂しく感じてしまう可能性が高いです。逆も然りで、夫なんだから、と女性も多くの理想を夫に投げてしまいます。「夫なんだから当たり前でしょ」と。
マサヒロ:理想像かぁ……。僕はそういうの全然なかったですね。
貴子:夫の場合は、母親が働いていたり、周囲に働く女性が多かったりで、そもそも仕事と家庭を両立する女性、に違和感がなかったのもあるかもしれません。
――相手選びの段階で、育った家庭環境まで条件に含めるのは難しいこともあるでしょうし、内心の理想像が現実とは異なるけれど結婚した夫婦もいるかと思います。その場合はどうすればよいのでしょう?
貴子:まずは理想像のバイアスが自分や相手にあるのかどうかを知ること。もし理想像が根づいているなら、それをアンインストールしなければなりません。そのためには、二人の生まれ育った環境、二人の家をどうしていきたいのか、を細かいところまで話し合って二人の新しい価値観を作っていくしかないかと思います。
――やはりここでも基本は会話なのですね。
マサヒロ:あと、相手がやっていることを可能な限り自分も体験してみるのも大事だと思います。家事を自分でやってみて初めて、こんなに大変だったんだ、と感情を共有できるので。僕は最初、全然料理ができなかったんですが、料理本を渡されて、中を見たら貴ちゃんが好きな料理にマルがしてあったんですよ(笑)。それでやってみて料理の大変さを知ったし、作ったことがないとどんなに手の込んだものを作られてもわからないものだと実感しました。
貴子:現在うちは私が料理担当で、母が洗濯で、夫が掃除担当なんです。だけど、夫は以前料理をしてくれていたから、私が作った料理に対して、これ作るの大変だったでしょ~、クミン入ってる? などと言ってくれるんですよ。ひと手間かけているのをわかってくれると作り甲斐もあるし、嬉しいんですよね。
マサヒロ:今は、ダンサー時代の体幹トレーニングを生かして、ストレッチ関連の仕事をするようになりました。そうすると、貴ちゃんの仕事の大変さがわかるようにもなりました。
――「こんなに私は家事(仕事)を頑張っているのに」と嘆くのはよくある話ですが、「こんなに」の部分は言葉で言うだけだと伝わらないと思ったほうがいいですね。
マサヒロ:特に家事ってわかりづらいんですよ。やるとキリがなくて大変なのに、目に見えてお金や成果物ができあがるわけではないから、人から評価もされづらいんですよね。
マサヒロ:貴ちゃんはロジカルに整理して話す人だけど、ロジカルなだけじゃなくて、良い感情は思ったときにすごく伝えてくれるんですよ。「素敵だね」、「ありがとう」とか、娘たちに向かって「うちのパパ、カッコいいでしょ?」とか。
――すごい! イタリア人みたいですね。
貴子:思ったことしか言わないけどね。
マサヒロ:そういうのも、褒めるところは褒め合おうね、と、結婚した当時から二人で決めています。
――このインタビュー中の1時間も、本当に自然とお互い褒め合っていらっしゃいますよね。
マサヒロ:妻から受けたトレーニングの成果です(笑)。
貴子:(笑)
マサヒロ:付き合い立ての時期は誰でも「かわいいね」とか言うけど、だんだん恥ずかしくなっちゃって言わなくなりますよね。そこを何度も「言うべきだ」と指導されて、実際に貴ちゃんは僕をたくさん褒めてくれるので、あ、自分もやらなきゃ、って思って。
貴子:思ったことはまず自分が実践して見せます。
――山本五十六みたいですね。
貴子:まさに。「やってみせ言って聞かせてさせてみてほめてやらねば人は動かじ」です。
会話をする、提案の仕方やタイミングを工夫する、相手を思いやる、褒め合う。対談で出てきたキーワードは、こうして一言にまとめてみると、至極シンプルで決して特殊なことではない。だが、当たり前のことを当たり前にできる夫婦は、果たして世の中にどれくらいいるだろうか? 川崎家の基礎にあるこまめな会話は、夫婦生活の“チューニング”。チューニングされた川崎夫妻の対談は、説得力はもちろん、同じ空間にいるだけで心地よいと感じたのだった。
構成=朝井麻由美
1972年生まれ。埼玉県出身。1997年に働く女性をサポートするための人材コンサルティング会社(株)ジョヤンテを設立。女性に特化した人材紹介業、教育事業、女性活用コンサルティング事業を展開。女性誌での執筆活動や講演多数。著書に『結婚したい女子のための ハンティング・レッスン』(総合法令出版)、『私たちが仕事を辞めてはいけない57の理由』(大和書房)、『愛は技術 何度失敗しても女は幸せになれる。』(KKベストセラーズ)、『上司の頭はまる見え。』(サンマーク出版)がある。2014年より株式会社ninoya取締役を兼任し、ブログ「酒と泪と女と女」を執筆。婚活結社「魔女のサバト」主宰。女性の裏と表を知り尽くし、フォローしてきた女性は2万人以上。「女性マネージメントのプロ」「黒魔女」の異名を取る。10歳と3歳の娘を持つワーキングマザーでもある。
いろいろな顔を持つ女性たちへ。人の多面性を大切にするウェブメディア「DRESS」公式アカウントです。インタビューや対談を配信。