紫原 明子 さんが 2016/01/08 に更新
終わりを知っているふたりの暖かな二度目の結婚

終わりを知っているふたりの暖かな二度目の結婚

はじめまして、エッセイストの紫原明子と申します。結婚や離婚、シングルマザーをテーマにしたコラムをお届けします。 先日テレビを見ていたら、爆笑問題の田中裕二氏と再婚した山口もえさんが出ていた。田中氏にも離婚歴があり、ふたりは共に、二度目の結婚とのこと。

結婚 再婚 離婚 シングルマザー 紫原明子

はじめまして、エッセイストの紫原明子と申します。結婚や離婚、シングルマザーをテーマにしたコラムをお届けします。


 

先日テレビを見ていたら、爆笑問題の田中裕二氏と再婚した山口もえさんが出ていた。田中氏にも離婚歴があり、ふたりは共に、二度目の結婚とのこと。

山口さんが語るところによると、田中さんは「子供のことを一番に考えるもえちゃんが好きです」と言って交際を申し込んだのだという。そんな田中氏、無事結婚を果たしてからも、しばしば彼女に「僕のどこが好きになったの?」と尋ねるそうだ。彼女が「どこかなあ……」と考えていると「そうか、君は変わってる子だから僕のことを好きになったのか」と独自に結論付けているのだという。「彼は、普通の子が自分のことを好きになるはずがないと思ってるみたいなんです」と山口さんは言う。

このエピソード、他人事ながら、何だかとてもぐっときてしまったのだ。何を隠そう私にも離婚歴があり、現在はふたりの子を育てるシングルマザーである。離婚という選択は、その時点で最悪の状況を脱するための前向きな解決策である、と頭では理解していても、やっぱりふとしたときに、結婚を続けられなかったことを負い目に感じてしまう。疲れていたり、弱っていたりすると、私のこういうところがダメだったのかなと欠点を拾い上げては沈み込んでしまうし、いや、むしろこういうネガティブな思考に偏っちゃうところがよくないのかも、なんて、悪いスパイラルに陥ることだってある。一度心に落ちた影って、なかなか消えてくれないものだ。

だから、「自分のどこを好きになったの?」と結婚してもなお、しつこく山口さんに尋ねるという田中氏の気持ちに、痛いほど共感してしまったのだった。輪をかけて、彼には身長が低いという身体的特徴があり、お仕事上それが有効に働いたとしても、プライベートの恋愛ではそうはいかないことも少なからずあったのだろう。だからこそ、山口さんのように綺麗な人がどうして自分を、と、疑問に思ってしまうのかもしれない。

一方の山口さんは、メディアの報道によれば、一度目の結婚で色々と辛い思いをされたそうだ。DVや夫の逮捕の果てに、ふたりの子供を抱えて離婚。そんな彼女が、子供のことを第一に考えるあなたが好き、と思いを打ち明けた田中氏を選んだ気持ちも、やっぱりとてもよくわかる。母であり、かつ元夫とのゴタゴタで世間の冷たい視線を嫌という程浴びてきた彼女には、今更、自分をより華やかに彩るアクセサリーのような相手なんて、微塵も必要ないのだ。なぜなら誠実さ、寛容さといった内面性こそ、何にも勝る価値を持っているということを、身をもって知っているから。

これから結婚しようというほとんどの人は、当然その結婚が最初で最後だと思っている。目の前にいるこの人と、死ぬまで良好な関係を築いていけるものだと信じている。けれど、実際には人の価値観なんて日々どんどん変化していくものだし、そうでなければ死んだように生きていくより他ないし、お互いに懸命に生きているうちに、いつしかすれ違って、どんなに努力しても、どうしてもうまくいかなくなるときがある。終わりを決めるときは苦しく、決めてからも、やっぱり結構あとを引く。だけど、幸いなことに離婚したって私たちの時間は止まらずに流れ続けているわけで、あるとき思いがけずまた、新しい出会いが、ひょんなことから目の前に降ってくることだってある。

一度深く傷ついた人が、勇気を持って再び、誰かと深い信頼関係を結んでみようと決意したとき、過去の体験は全て価値ある糧となって、自分をより強く、賢明にしてくれる。一つの物語を最後まで見届けた者にこそ紡ぐことのできる新しい物語は、きっとより優しく、より暖かい。

関連する投稿


1:1.38の数字に見る、婚活女性の圧倒的「売り手市場」【ご勝手婚活特報】

1:1.38の数字に見る、婚活女性の圧倒的「売り手市場」【ご勝手婚活特報】

国立社会保障・人口問題研究所が昨年6月、18歳から34歳の未婚男女およそ5000人らを対象に実施した結婚、交際に関する調査結果が発表されました。男女共、意外に高かったのが結婚願望。一方、異性の交際相手がいない人の数は、前回5年前の調査から1割も増加。このデータ、あなたはどう見る?


自分にとって「今一番の最善」を選択する人生を【未婚の母という生き方 #4】

自分にとって「今一番の最善」を選択する人生を【未婚の母という生き方 #4】

独身で幸せな人、結婚して幸せな人、離婚して幸せな人、子どもを持って幸せな人……幸せの形は人それぞれだと気づいたJunさん。1年前に未婚の母になりました。自分も子どもも幸せで過ごせるなら、父母が揃った家族でなくてもいいし、そのときどきで最善の選択をしていけばいい――自らの経験を振り返り、思いを綴っていただきました。


子どもに幸せになってほしいなら、まずは母自身が幸せになろう【未婚の母という生き方 #3】

子どもに幸せになってほしいなら、まずは母自身が幸せになろう【未婚の母という生き方 #3】

40歳で未婚の母となった小檜山知萌子さん。産むという決意は固かったものの、ひとりで育てられるか不安に苛まれた時期も。そんな不安を乗り越えたのは、複数の収入源を作る仕組みを整えたときのことでした。


「女は何歳まで再婚できますか?」 ― 実録アラフィフ婚活記 ― 第9話

「女は何歳まで再婚できますか?」 ― 実録アラフィフ婚活記 ― 第9話

伊藤有紀、フリーライター。49歳と10ヶ月。10年前に夫を亡くしてから、女手ひとつで息子を育ててきた。1浪の末、息子が大学合格。ほっと安堵する以上に、子育て完了の寂しさがこみあげて。この先40年も続くかもしれない人生、ひとりで生きていける気がしない。それならと50歳を目前に控え、慌てて婚活を始めてみるが……。


再婚を考えているあなたへ〜お互いにお子さんのいるカップル編

再婚を考えているあなたへ〜お互いにお子さんのいるカップル編

離婚が珍しくなくなった昨今、再婚を希望して婚活する人も増えています。今回はお互いにお子さんを持つ方が再婚を考えるときの心構えについて、須野田珠美さんがレクチャーします。


最新の投稿


引越しで気づいた手放すことの大切さ

引越しで気づいた手放すことの大切さ

「気に入っているから」という理由で何かに執着していると、自分の人生はそれの延長上にあると考えてしまいがち。でも、実際そんなことはない。一度手放して、新たな一歩を踏み出すと、未来を拓いていける。小島慶子さんが大好きだったマンションから引越して感じたことはーー。


フルマラソンを走っても崩れない!必要なのは、テクニック

フルマラソンを走っても崩れない!必要なのは、テクニック

これから始まるマラソンの季節、綺麗に走りたい方は必見!


おしゃれ過ぎる男、実は苦手です……【甘糟りり子の生涯嫁入り前】

おしゃれ過ぎる男、実は苦手です……【甘糟りり子の生涯嫁入り前】

恋人にするなら、おしゃれ過ぎる男より「ちょいダサな男」の方がいい?!  


セーラームーンとサッカー少女【子ども向け番組のジェンダーバイアス問題を考える #2】

セーラームーンとサッカー少女【子ども向け番組のジェンダーバイアス問題を考える #2】

アニメ作品の中には明らかに「女の子向け」「男の子向け」のものがあって、それは社会が性別で子どもたちの世界を引き裂いていくひとつの仕掛けになっている――中野円佳さんが自身の「セーラームーンを観なかった」ことによる記憶を振り返りながら考えます。


本当の「思いやり」ができる人から、人生が好転していく

本当の「思いやり」ができる人から、人生が好転していく

夫や家族、地域のコミュニティや職場。様々なシチュエーションで人を悩ませるのが、人間関係です。誰かとの間に不協和音を感じていると、知らぬ間に大きなストレスを抱え込み、心身の不調をきたすことも。そんなとき、重く息苦しい状況を打破するための効果的な方法。それは、あなたの「思い」を相手の傍らへ「遣る」こと……。