1. DRESS [ドレス]トップ
  2. ワークスタイル
  3. 「子連れ出勤」なんて本当にできるの? 実際にやっている会社を見学してみた

「子連れ出勤」なんて本当にできるの? 実際にやっている会社を見学してみた

Share

「子連れ出勤」を国が後押しする。そんなニュースが昨今話題を集めています。これに対し「子どもを連れて通勤電車に乗るのは……」「むしろ保育園を……」といった声も多いです。そもそも子連れ出勤はできるの? そんな思いで「子連れ出勤歓迎」を打ち出す株式会社CRAZYを見学してみたら――。

「子連れ出勤」なんて本当にできるの? 実際にやっている会社を見学してみた

国が「子連れ出勤」を後押しする、というニュースが連日話題です。私の周りは否定的な意見が大半でした。少子化対策担当大臣が企業を視察したとき、「乳幼児は母親と一緒にいることが何より大事ではないか」と発言したからです。

「幼い子は母親が育てるべき」という三歳児神話は、アメリカの国立小児保健・人間発達研究所(NICHD)の調査で否定されています。「母親による養育でもそれ以外の人による保育でも、子どもの発達にはほとんど差がなかった」という結果が出ているのです。

■「仕事にならない」と否定的な声もあるけれど

また、大臣が「新しい施設を整備する必要がなく、企業の規模にかかわらず取り組むことができる」と評価した点にも批判がありました。少子化が急速に進むことがわかっていながら新たな保育園を作れない、という国の本音が出たのでしょう。

だからといって企業にばかり負担を負わせるのは、仮に補助金が出たとしても無理があります。私の周りではこんな意見が聞かれました。

「幼い子どもを連れて満員電車に乗るのは、半端ないストレス」
「子どもが体調を崩したら、自分が早退しなきゃならないし、体調が悪くてぐずる子どもを長い時間電車に乗せて連れ帰るのは大変だし可哀想。やっぱり保育園は必要」
「うちの子は職場でおとなしくしていられないので、そのうち周りからも嫌がられそう。私だって、子どもを抱えながらじゃ仕事にならない」

狭い事業所内保育スペースから出られないのは、子どもだってストレスが溜まりそうです。子どもたちだけで好きなように遊べと言っても難しいでしょう。それは今の保育士さんの仕事の過酷さを考えてもわかることです。

そんな中、知人が働くウエディングプロデュース業などを手がける会社(株式会社CRAZY)が「子連れ出勤歓迎」というので、見学させてもらいました。結論から言うと、この会社では子連れ出勤の導入は、社長をはじめスタッフの多くが「良かった」と感じているそう。

■妻が専業主婦の男性社員もOKな「子連れ出勤歓迎」

社員数80名強のこの会社では、4月から数カ月の間に4人ほどの産休ママが戻ってきます。男性の子連れ出勤も歓迎で、妻が専業主婦でもOK。保育園ではこういう場合に預かってくれないので、子育てでストレスが溜まったお母さんに喜ばれているようです。

ちょっと話は飛びますが、皇帝ペンギンのメスは卵を産むと自分が餌を取りに行き、オスが残って卵や雛の面倒を見ます。メスが餌を持ってくるまでの間、オスはペンギンミルクという液体を口から出して子どもに与えるそうです。まるでオスの授乳! 

これは、彼らが自ら置かれた環境で生き残るには、この分担が最適なためでしょう。人間も、どちらがと決めずに、その家庭、その環境に最適な分担で子育てできると良いですね。

子どもと仕事の共有スペース(写真提供:CRAZY)

話をCRAZYの取り組みに戻します。そしてなんといっても、思うようにならない子どもを相手にすることはマネジメントの勉強になります。「結婚や育児で磨きがかかる「他者意識」はマネジメントの武器になる」でも書いたように、子どもに接することはチームで働く意識を変える機会になり得るのです。

この会社でも自分のキャリアを中心に考えていたスタッフが、周りとのバランスを考えて部下を育てられるようになり、マネージャーへランクアップする人もいました。

でも、最初からすべてがうまくいっていたわけではないようです。子どもがいるスペースが区切られてはいなかったころ、泣き声や扱いに慣れない社員には戸惑いもありました。ベビーシッターの手配も自分たちで行わなければならず、見つからない日は預けることができません。仕事が忙しくなると、やはり負担を感じていたそうです。

■「自分にとってのベスト」が選べることが大事

靴を脱いで過ごせる社内(写真提供:CRAZY)

そのような経験から、今ではきちんと仕切られた保育スペースでシッターさんに見てもらっています。子連れ出勤といっても、お母さんが子どもを抱えながら仕事をしているわけではなく、ママも周囲も仕事に集中できる環境を確保できているのです。

シッターの手配も、福利厚生の担当者がやってくれるようになりました。もともと自宅のように社員が過ごせるように、と作られたオフィスの中の靴を脱ぐスペースは、今では子どもたちが床を這い回るのにも大活躍しています。床材は社員皆でつるつるに磨いていて、素足でも心地よいです。

ちなみに、こんなに便利で会社が前向きでも、実際に子連れ出勤を選ぶのは半分以下だとか。通勤方法や距離には個人差があり、子連れ出勤が負担になることもあるのです。やはり一律ではなく「自分にとってのベスト」が選べることが大事なのですね。

ベビーシッターを雇う選択肢も、保育所に預ける選択肢も、自宅勤務の選択肢もある。同じように、子連れ出勤ができる環境が選択肢のひとつとしてあることは、確かに悪くありません。うまくバランスが取れる形になればいいのですが。

画像/Shutterstock

Share

蜷川 聡子

株式会社ジェイ・キャスト 執行役員。 インターネットメディア協会 理事 1972年生まれ。商社系マーケティング会社を経て、2002年入社。2006年の「J-CASTニュース」創刊時には営業部長として、創成期のウェブメディ...

関連するキーワード

関連記事

Latest Article