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「友達以上恋人未満」な関係に耐えられない男性の弱さ 2/2


■友達以上恋人未満の「曖昧さ」が運んでくる不安

彼女とは、好きな食べ物も行きつけのカフェも週末の映画デートも共有している。でも、恋人ではない。彼女からは、過去の恋愛で失敗した話も理想の彼氏は「趣味を邪魔しない人」であることも、聞かされている。

毎日LINEで「おやすみ」を言い合うような仲なのに、俺は彼女の「彼氏」ではないの? 関係の曖昧さが、彼を不安にさせていました。

他の男にとられたくないのなら、もっと彼女と親しくなれるように努力することを考えれば良かったのですが、彼の場合はひたすら彼女の気持ちに集中していました。

毎日LINEで話すのはなぜか。サークルでもそれ以外でも変わらず仲良くしてくれるのはなぜか。他の男と楽しくしていても、俺のことを忘れないのはなぜか。

要は、「恋愛感情で彼女に好かれている」確信が欲しかったのですね。でも、目の前の彼女は俺以外の男にも笑顔を振りまくし、俺の知らない話で盛り上がる。その姿を目にするたびイライラして、彼女にもつい邪険な態度をとってしまう。

彼は混乱し、しばらく彼女との連絡を控えるようになりました。疲れるからです。

彼女に向ける好意が満たされない。
自分の思い通りに彼女は振る舞ってくれない。
「好きなのは俺だけかも」という不安が消えない。

これらが彼にとってはストレスであり、「100%好かれていると実感できない」自分を感じるたび、絶望感ばかりが心を満たしていきました。

不安なら、確かめてみればいい。彼女が向けてくれる好意の意味を、自分から探ってみればいい。関わっていけばいい。その「打開策」を思いつくことができず、ただ彼女からの行動を待つばかり。彼女から「確実な」好意が向けられるのを探すばかり。

こんなに苦しいのは、彼女のせいだ。

本当は好きなのに、恋人になりたいのに、「自分にとってネガティブな存在」となってしまった彼女に対して、心を開いて接していくすべを彼はなくしていました。

■「脅迫」で関係の進展を迫る弱さ

彼女との関係にストレスばかり感じるようになった彼ですが、好意を捨てることはできず、結局彼女から連絡がくれば相手をし、ふたりで食事にも行き、悶々とした時間を過ごします。

「俺のことをどう思っているの?」という不安はいつしか「俺を不安にさせるな」の怒りに変わり、彼女の口から他の男性の話題が出るたび、不機嫌さを隠さなくなりました。

その日ふたりで立ち寄ったカフェでも彼はいっこうに楽しそうな様子を見せず、そんな彼の変化に、「私、何か悪いことした?」と彼女は素直に尋ねます。

が、この言葉を聞いたとき、彼から出たのは「俺よりほかの男がいいみたいだし、俺たちの関係、もうやめる?」でした。

彼女はびっくりしてしまい、「俺たちの関係って、何?」と訊き返します。確かに淡い恋心のようなものは以前持っていたけど、自分といても楽しそうに見えない彼を見ていて、彼女は「これ以上好きになるのはやめよう」と思っていました。

「関係って、だから、今みたいにふたりで会ったりとか」

「あなたがそうしたいなら、いいけど」

彼女はそう答えるしかありません。「友達関係」を終わりにしたがっているのは何となく感じていたので、自分に友人としての魅力がないのだと彼女は思っていたのですね。

ですが、その答えが彼を激高させました。
「なんだ、君にとって俺たちの関係ってやっぱりその程度のものか」

「いいんだね? 終わりにするってことは、他人に戻るってことだけど」

「別に俺はそれでもいいんだけどね」

止まらない憎まれ口は、すべて気持ちと正反対のもの。

でも、長い時間一方的にストレスを感じ続けた心は、「恋人として付き合ってください」と素直に伝えるより、自分の思い通りに振る舞ってくれない彼女への憎しみが先に出てしまいます。

そんな彼の姿を目の当たりにして、彼女の中から彼に対して残っていた好意が完全に消えました。
「あなたこそ、終わりにしたがっていたじゃない。あなただって、『それでもいいんだけどね』って言える程度のものじゃない」

「そんな、脅迫みたいに言われたって怖いんだけど」

「他人に戻りたいならどうぞ」

「あなたよりまともな男なんて、たくさんいるから」

彼女はそう言うと、彼を残しひとりで席を立ちました。こうして、彼は本当の願いを自ら潰してしまったのです。

■心を開けない弱さが幸せな恋愛を遠ざける

彼は、彼女が出ていったドアを見つめながら、苦い失恋の痛みを感じていました。

「ああこれで苦しまなくて済む」と心を納得させようとしても、彼女から初めてぶつけられた自分を拒絶する言葉、初めて向けられた嫌悪感を浮かべた表情、どれも鋭い痛みばかりが彼を苦しめます。それでも、素直になれなかった自分を彼は認めることができません。

「俺がこうなったのは彼女のせい」。

自分の苦しみの責任は彼女にあるのだと、そのひとりよがりな心のせいで今までも女性とうまくいかなかったのだと、彼は気づきません。こんな男性は、心を開いて傷つくことを無意識に恐れます。

それが自分を守ることだとしても、「そっちから関係を進めてよ」と迫られる女性の痛みには無頓着になります。

もし、好きな男性がこんな態度を見せてきたら、考えたいのはまず彼が抱える不安です。「100%好かれていないとダメ」な彼らは、自分の満足だけを優先して、相手を傷つける発言や言動を繰り返します。

それを許せるかどうか、そんな扱いを受ける自分をよしとできるかどうか、彼の不安と向き合うには、相当の覚悟が必要です。好きだからこそ、曖昧な関係に耐えられない。でも、こちらから心を開くのは怖いから、女性のほうから関わってきてほしい。満足させてほしい――。

この途方もない願いは、一度受け入れてしまえば際限なく続く「弱さの連鎖」になることを、あなたはまず考えなければいけません。

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ひろた かおり

37歳で出産、夫と子どもの三人暮らし。何歳になっても恋愛ネタ大好物。恋愛相談家としてこれまで多くの男女から話を聞いてきた経験を活かし、復縁についてのアドバイスや不倫などさまざまな「愛のカタチ」について書いていきます。 人生...

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