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SNSのタイムラインは人柄のポートフォリオ

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SNSの使い方は決まっていないぶん、タイムラインには人柄が出ます。そのため、その人に仕事を依頼したい企業や個人は、相手のSNSを思いのほか丁寧に眺めているもの。イラストレーター/アートディレクターの兎村彩野さんの連載「家で働く。」第4回目では、SNSの使い方、向き合い方を詳しく綴ります。

SNSのタイムラインは人柄のポートフォリオ

インターネットやSNSの利用率がぐんぐん上がり、プライベートと仕事の境界線が少しずつ曖昧になってきてきました。SNSは24時間どこかで誰かによって更新され、人が暮らす姿が絵巻物語のようにつながって見えてきます。

昔よりも働く人の姿がよく見える時代になりました。どんな人がどんな場所にいて、どう働いているかが、インターネットやSNSを通して可視化されてきたように感じます。

常識やリテラシーも世代や環境で少しずつ変わり、情報の受け取り方が個人の感覚で大きく変化しています。基準が多様化したので、「みんながこう」という括りがなくなってきたように感じます。

■SNSは人柄が浮き彫りになるツール

「家で働く」を個人の小さな範囲で運営している場合、SNSは企業やファン、お客さまと直接つながるツールになります。

嬉しい声や応援がダイレクトに届く分、批判なども直接本人へ届きます。届く姿も可視化され、たくさんの人たちが見ることになります。

「この人と一緒に仕事がしたい」「この人の作品が欲しい」――そう思うとき、SNSで作り手本人の人柄も見ることができるようになりました。作品そのものだけではなく、作り手の人間性も売り上げに反映されることがあります。

作り手の言葉遣い、なにを発信している人か、趣味嗜好。シェアする記事で考え方や興味もわかりますし、普段どんなサイトの情報に触れているかも見えてきます。

SNSはある程度さかのぼってタイムラインを見ることができるので、数カ月・数年と長い範囲で生活や生き方を知ることも可能です。

■SNSの使い方に正解はないけれど……

企業やプロジェクトが誰かに仕事を頼むとき、相手がどんな人柄か知る必要があるため、SNSで人柄がチェックされることもあります。

大事な仕事を任せようとする相手の人柄が重要視されるのは当たり前。ただ、こんなSNSの使い方をしていれば「正解」というわけではなく、その企業が求めている人柄が、SNSを通じて伝わるかどうかがポイントになります。

フォロワーが多い人を好む企業もあれば、誠実な人を好む企業もあります。いいね!数だけでなく、言葉遣いやつながっている人とのコミュニケーションの仕方を気にする企業もあります。顔や名前を出ている人やペンネームを好む人もいます。ファンはダイレクトに作家本人の人柄に興味を持ちます。

■タイムラインは自分の人柄をまとめた「ポートフォリオ」

使い方に正解がないSNS。では、どのように使うと良いのでしょうか。数字もひとつの指数になりますが、数字を上げるためにテクニックに頼りすぎると、人柄の匂いがしにくいタイムラインになります。

チェックする側もSNSの使い方テクニックやハウツーを調査しているので、「あ、このアカウント、botを使っているな」とか「〜さんの使い方をマネしているのかな」と簡単にバレます。

そこで、少し視点を変えて、誠実に使うという使い方があります。「タイムラインは自分の人柄のポートフォリオになる」と意識してみると、どう使いたいかが見えてきます。

私の場合、この「誠実に使う」を意識するために、TwitterやInstagramに投稿した言葉や写真を真っ白のTシャツに印刷して着るイメージを常に持つようにしています。

そのTシャツを着て街の中を歩いても大丈夫かな? という基準です。画面の中と現実をつなげて考えると、その言葉は本当に必要か? 適切か? と感じやすくなります。

■私がSNSを使うとき、気をつけているポイント

・仕事や自分が関わった情報は丁寧に細かく発信する
・バズるテクニックより自分らしさを優先する
・自分の中にある言葉で話す
・書く力を育てるために、まず読む力をつける
・読む力をつけるために、編集が丁寧に入った言葉に触れる時間を長くする
・余計なことを言わない
・100%の本音も書かない
・善悪を決めない
・正論と少し距離をとる
・誰かが悲しむ言葉を使わない
・いろいろな角度や環境をたくさん想像して言葉が誤解されないか立ち止まる
・プライベートを投稿するのは4割まで
・怒りのエネルギーでSNSを使わない(怒っているときは落ち着くまでSNSをしない)
・寝不足のときは判断が鈍るのでなるべくSNSをしない
・画像はなるべくキレイで見やすいものを選ぶ
・写真に写り込んではいけないものがないかチェックする

■「自分は他人をどう見ているか」が伝わるSNS

SNSはとても繊細なツールです。人からどう見られるかを意識しつつ、SNSで透けて見えてくるのは「自分は自分をどう見ているか」「自分は他人をどう見ているか」なのかなと思います。

とくに「自分は他人をどう見ているか」がダイレクトに言語化されるので、誤魔化そうとしてもにじみ出てしまいます。かなり集中して、意識していないと、結果、誰かを簡単に傷つけることにつながります。

テクニックでコントロールしようとしても、人の内側にある言葉や価値観を心の近い場所からアウトプットできるのがSNSなので、自分が思っている以上に自分がはみ出ていると覚悟するようにしています。言葉を可視化するというのは、人柄の可視化になります。

可視化された人柄はアクセス数やいいね!数で計ることは難しく、数字の外側にアクションはないけれど、静かに見守っている人たちがいて、サイレントの中にこそ、深いつながりが生まれているように思います。

そこを信じて誠実な使い方をしていると、自分らしいSNSにタイムラインがゆっくり育っていき、その人らしさのあるタイムラインを探している企業や人、ファンに出会えます。

家で働いていると、とくに暮らしと仕事が溶けて混ざってきます。だからこそ、普段から「自分がどう世界を見ているか」を確認しながら、発信することが大切になってくるのかなと感じています。人柄には正解がなく、人と人は相性でつながってきます。人柄も立派なポートフォリオになるはずです。

(最後に)
こちらのコラムを書いた後、「では企業は実際にどこを見ているのか?」が気になったので、企業へ取材をすることにしました。現在調整中なので、記事がまとまったら、「家で働く」でご紹介します。

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兎村 彩野

Illustrator / Art Director

1980年東京生まれ、北海道育ち。高校在学中にプロのイラストレーターとして活動を開始する。17歳でフリーランスになる。子ども向けの絵(NHKおかあさんといっしょの「黒ネコダンス」や「ながぐっちゃん」など)や女性向けの絵、アウ...

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