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自分のギャラは自分で決めていい。“相場”に縛られすぎないで【鈴木秀樹×青木真也】

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プロレスラー・鈴木秀樹さんと、総合格闘家・青木真也さん。自らの肉体を武器に、リングという名の戦場を生き抜いてきた彼らには、意外な共通点がありました。それは「フリーランス」ということ。どこにも所属せず、自らの力で道を切り開き続けるおふたりに、「フリーランスのキャリア論」について語っていただきました。

自分のギャラは自分で決めていい。“相場”に縛られすぎないで【鈴木秀樹×青木真也】

■世間のものさしじゃなくて、自分のものさしを持つ

鈴木:最近、どんな業種でもフリーランスになる人が多くなりましたよね?

青木:確かに。でも、フリーランスで成功している人はどれくらいいるんだろう……。そもそも、どうして人はフリーランスの道を選ぶんですかね? 「好きなことだけをしたい」っていう考え方だと、ちょっと違う気がします。僕は、お金を出している側が絶対的に偉いと思っているんです。

鈴木:クライアントってことですよね。それは確かにそうです。

青木:お金を出している人から依頼を受けたなら、その人の言うことを聞くべきだと思います。そこで重要なのが、自分のものさしを持つこと。報酬と依頼内容を比較して、納得がいかないなら断ればいい。ただ、受けてしまったなら、最後まで責任を持ってやり遂げるべき。

この自分のものさしって、実は大半の人が持っていないと思うんです。多くの人は、世間のものさしで物事を判断してしまうから、苦しむことになる。

青木真也さん

鈴木:たとえば、ギャラの交渉をするときも、「◯◯さんはこれくらいもらっているから自分も」ってなりがちですよね。

青木:そうそう。日本社会って、押し付け合う社会だと思うんです。空気を読みすぎなんですよ。結婚だってそうですよね。結婚はするべき、離婚はしちゃいけない、みたいな。そういった同調圧力に苦しんでいる人が多い。だからこそ、本当に自分が欲しいもの、求めるものを把握しておかないと大変だと思います。フリーランスの場合は特に。ギャラも、周りの人の基準ではなく、自分はどれくらいの金額を求めているのかを理解した方がいいですね。

そもそも、僕はお金ではなく、「やりたいかどうか」で仕事を決めているんです。それが僕のものさし。

鈴木:最優先にしているのは、やりたいことなんですね。

青木:そう。逆にいうと、やり方が汚い人とは仕事をしない。

鈴木:汚い人とは?

青木:仕事相手に絶対的なリスペクトがない人ですね。「この人、僕のこと好きじゃないな」っていうのが伝わってきたら、やらない。逆に、相手のことを尊敬できて好きだなって思える場合は、なるべく受けるようにしてます。だから、まず「いくらでやってくれるの?」って言われちゃうと、ちょっと構えてしまう。

鈴木:話のスタートラインが違いますもんね。

青木:まずは、「あなたのことをこれだけ認めていて、だから一緒に仕事がしたいんです」という思いを語ってほしい。愛がないとお互いに不幸ですよ。

鈴木:それが青木さんのものさしなんですね。僕も仕事を受ける基準っていうのは、自分なりに持つようにしてます。お金の面でいうと、フリーランス1年目は手探りでしたけど、2年目に入ってからは、自分の実績をまとめてギャラを提示するようにしました。

青木:鈴木さんの活動を見ていて感じるのは、常に「他人がやっていないポジションを取りにいく」ということ。たとえば、これまで誰もやってこなかったような試合のスタイルを真っ先に確立すると、もうその人を使わざるを得なくなるんですよね。だから僕は、格闘技以外のところでも先駆者になりたいと思ってます。

■他の人がやっていないことを探す

青木:最近の論調だと、すぐに答えを知りたがる人が多いですよね。「どうやれば成功しますか?」「どうすればいい試合ができますか?」「稼ぐためにはどうしたらいいですか?」とか。でも、それって一時的な試験対策みたいなものでしかなくて。必要なのは、自力で知識を仕込んで、それを圧倒的な力に変換していくことだと思うんです。

鈴木:そこはみんなやりたがらないですよね。そこが一番大事なのに、とりあえず誰かに聞いて答えをもらおうとする。

青木:失敗するのが怖いからなんでしょうね。でも、最短距離なんてないんだから、コツコツ努力し続けていくしかないですよ。

鈴木秀樹さん

鈴木:僕はそういう質問をされた場合、「僕とは違うことをした方がいいよ」と答えるようにしてます。先ほどのお話でも出たように、どんな業界においても“先にやったもん勝ち”な部分はあると思うんです。

フリーランスになりたての頃、どうやって自分の名前を売ればいいのかわからなくて。そこで、先輩と試合をするときに、必ず先輩の顔を踏みつけていたんです(笑)。その行為自体に意味はなかったんですけど、とにかくインパクトを残して、ひとりでも多くのお客さんに覚えてもらおうと思って。それをやり続けたから、今があるのかなと。

だから、まずは他の人がやっていないことを探して、それを地道に続けていくことは成功へのステップといえるかもしれませんね。その「他の人がやっていないこと」は自分で見つけるしかないですけど。

青木:とにかく「やってみる」のは大事。僕も未だに新しいことを探して、チャレンジするように心がけています。新しいことに対して拒否反応を示す人間にはなりたくなくて。とりあえず、試してみる。

鈴木:やってみた結果、「やらなきゃよかった」っていう結論に達することもありますけど、それを知ることができただけでも成果ですよね。

青木:そうそう。まずは触ってみること。これはすべてのフリーランスにいえることだと思います。

■純粋に好きなことをやり続ける

青木:僕、本業がなんなのか、自分の肩書がなんなのかわからないんですよ。格闘技の仕事もあれば、プロレスの仕事もやる。番組を自分で企画するし、noteの連載オンラインサロンもやってる。

鈴木:格闘技選手って引退があるじゃないですか。それも意識した上で、現役時代から幅広い仕事をされてるんですか?

青木:セカンドキャリア的なことは特に考えていなくて、ただ「やってみたいかどうか」だけで決めてますね。鈴木さんは本業以外にどんなことをしてますか?

鈴木:プロレスを教えたり、本を出したり。自分が好きなエクレアを食べ歩く連載や、誰かの悪口を言ったりする仕事もありますね(笑)。

「自分をゼロにしてみたい」という気持ちが強くあるんです。これまで培ってきたものがまったく活かせない環境に身をおいてみたい。とはいえ、ここまでプロレスラーとして活動してきたからこそ、今があるとも思うんですけどね。

もともと、知らない世界に対する興味・関心が強かったんですけど、フリーランスになってからはそれが顕著になりました。

青木:僕も鈴木さんも、純粋に好きなことをやり続けているだけなんですよね。

鈴木:そうですね。こういう場所で発言することで格闘技界に還元したい、なんて考えたことはなくて、本当に好きでやっているだけです。何かに還元したいって思いは、ちょっと不純な気がします。それよりも、純粋に「好きだから」という気持ちで取り組む方がいい。

青木:裏があるような活動をしている人って、ちょっと詐欺師っぽく見られちゃいますしね。

鈴木:そうそう。あんまり深く考えずに、気になることがあればやってみること。フリーランスになりたいなら、とりあえずやってみればいいですし。「できるか・できないか」ではなくて、「やるか・やらないか」に尽きますね。

青木:フリーランスって、やらざるを得ない状況になってきて「やるしかない!」と決めた人がなるものだと思います。そうしてフリーランスになったときには、もうすでに半分成功しているものなんじゃないかと。

鈴木:あとはもう知らねーよって感じですね(笑)。

(完)

構成/五十嵐大
編集・撮影/池田園子

鈴木秀樹さんプロフィール

1980年2月28日生まれ、北海道出身。学生時代は柔道を経験し、U.W.Fスネークピット・ジャパンに入門。2008年、愛知県体育館での「GENOME7」でデビューを果たす。2014年にフリーランスに転向。以降、プロレスラーの枠を超え、幅広いジャンルで活動する。著書に『ビル・ロビンソン伝 キャッチ アズ キャッチ キャン入門』がある。Twitter(@hidekisuzuki55

青木真也さんプロフィール

1983年5月9日生まれ、静岡県出身。小学生の頃から柔道を始め、2002年に全日本ジュニア強化選手に選抜される。早稲田大学在学中に、柔道から総合格闘技に転身。大学卒業後に静岡県警に就職するが、2カ月で退職して再び総合格闘家への道を歩む。以降、フリーランスとして活動。主な著書に『空気を読んではいけない』『青木真也の柔道&柔術入門』など。Twitter(@a_ok_i

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DRESS編集部

人生を自分らしく楽しむ大人の女性たちに、多様な生き方や選択肢を提案します。

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