獺祭とミッシェル・トロワグロの競演！二つ星シェフが日本酒に惹かれる理由とは？～コラボレーションディナー開催で見えてきた日本酒×フレンチの可能性

さる5月21日、ハイアットリージェンシー東京「キュイジーヌ[s] ミッシェル・トロワグロ」にて開催された、獺祭×ミッシェル・トロワグロコラボレーションガラディナー。一夜限りの贅沢なイベントから見えてきたのは、私たちも気付かなかった、日本酒の新たな魅力でした。今回のために来日したミッシェル・トロワグロさんのお話も交えながら、当日の様子を、日本酒部部長の浅井直子がレポートします。

さる5月21日、ハイアットリージェンシー東京「キュイジーヌ[s] ミッシェル・トロワグロ」にて開催された、獺祭×ミッシェル・トロワグロコラボレーションガラディナー。
一夜限りの贅沢なイベントから見えてきたのは、私たちも気付かなかった、日本酒の新たな魅力でした。
今回のために来日したミッシェル・トロワグロさんのお話も交えながら、当日の様子を、日本酒部部長の浅井直子がレポートします。

「（獺祭を醸す）旭酒造は“メゾン”として素晴らしい仕事をしているし、素晴らしいパッションが込められています。ご存知の通り、フランスと日本の食文化はまったく異なりますが、例えばシャンパーニュと和食のマリアージュは、既に試されている方も多いかと思います。であれば、その逆に日本酒とフレンチのマリアージュも成り立つのではないかと思いました」と、今回のコラボレーションディナーに至った背景を語るトロワグロさん。

造るお酒はすべて純米大吟醸という「獺祭」について、「お米を磨き上げたひとつひとつの銘柄が究極だと感じた」トロワグロさんは、「キュイジーヌ[s] ミッシェル・トロワグロ」のエグゼクティブシェフを務めるギヨーム・ブラカヴァルさん、支配人兼エグゼクティブソムリエのダミアン・マザーさんと共に、「究極」のお酒と合わせる料理を、丁寧に実験していったそう。
その結果、柑橘類の複雑な酸味を生かした料理を、お酒が受け止めてくれることに気付きます。そして、味だけでなく、「獺祭」が持つ繊細な旨みに合わせて、料理のビジュアルも品よく仕上げることを心がけました。

「そういう意味では、今回のコラボレーションディナーは、獺祭の味、イメージをいかに膨らませるか、寄り添っていくかをポイントにしています。このユニークな試みは、作曲家として新しい曲を作るようなもの。獺祭のお酒には透明感の中にひと筋の光を感じた」と、「獺祭」に合う渾身の6皿をクリエーションします。

例えば、フラッグシップモデルとも言える「磨きその先へ」は、「軽くスモークした鯵のメルババジルとグリーンマンゴー」を。「純米大吟醸磨き二割三分」には「アスパラガスのラケとコンディモン」、りんごのような酸味（トロワグロさんはそれを“マスキュラン”と表現）を持つ「純米大吟醸 50」には、「フォワグラのグリエリュバーブとヘーゼルナッツ」を。
相反する料理とお酒をあえて合わせるマリアージュもありますが、一皿ごとに、料理を口に含み、ワイングラスに注がれた「獺祭」を傾けると、今回のマリアージュは、そっと手を繋いでどこまでも自然に寄り添うな、心地よさ、和やかさ、軽やかさを感じます。旭酒造株式会社・桜井博志社長は「今までの日本酒とフレンチはお互いに歩み寄る努力をしてこなかったと思います。それに比べて今回、トロワグロさんがお皿で表現したのは、ここから新しい歴史が生まれる予感がする画期的なマリアージュでした」と語りました。

奇しくも、旭酒造は「獺祭」を携えて、今秋、パリに出店。
トロワグロさんにフランスにおける今後の日本酒の未来を伺うと「ポピュラーな存在になるまでには、まだまだ長い道のりがあると思いますが、日本文化が好きなフランス人だけではなく、“ナチュール”（自然）に対して興味のある層の心をとらえるのではないでしょうか」とのこと。この日、この特別なコラボレーションディナーの席に着いた総勢52人のゲストたちも、美酒×美食を堪能しながら、日本酒とフレンチの新しい未来をきっと感じたはずです。

ハイアットリージェンシー東京
フレンチレストラン「キュイジーヌ[s] ミッシェル・トロワグロ」（1F）
営業時間 12：30～13：30／18：00～20：30 火・水曜日定休（祝日を除く）
TEL.03-3348-1234（代表）
http://www.troisgros.jp/restaurant.html