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「家で働く。」――暮らし方の選択肢を増やす連載始めます

イラストレーター/アートディレクターの兎村彩野さんが2018年1月から新連載「家で働く。」をスタート。連載前に「家で働く。」をテーマに選んだ背景や「家で働く。」を実践してきた日々を振り返ります。

「家で働く。」――暮らし方の選択肢を増やす連載始めます

■「家で働く。」連載がスタートします

「家で働く。」の連載にあたりプロローグ。

2016年12月に「夫婦で一緒に働くこと」をテーマにした連載コラムの最終回を迎えました。編集長のサポートを受けつつ、人前で「書く」ということを体験し、思わぬ反響があり嬉しかったです。ありがとうございました。

たくさんの「LIKE」や「いいね!」「RT」「コメント」から、元気や勇気をもらいました。書くことが好きだと気づけました。たまに「遅刻でパンツの人」(詳しくは最初の方のコラムを読んでみてください)と呼ばれますが、わかりやすいのでウエルカムです。

連載が終わってこの1年、前連載の感想や私が書く記事で読んでみたいことを、タイミングをみながら友人に聞いていました。次に書くテーマをどうしようか考えていました。

年齢的にも、まわりは子育て中の友人が多く、「保育園入れなかった問題」は身近な声として聞こえてくるようになりました。他にも一緒にお仕事をしているクライアントのチームで産休のお休みにはいる人、産休から復帰してくる人、なかなかリアルな話を聞けました。

そんな中、祖母に病気が見つかり介護が始まりました。母が実家で祖母のお世話をしています。遠くに住むのでなかなか会えませんが、メールや電話で話を聞くようにしています。

私の周りでは性別に関係なく育児休暇を取得する友人も多く、SNSを通してその一部分を見せてもらうことができます。すべてではないかも知れませんが、それでも、変化する家族の形をいろいろな友人のパターンで知ることができます。

ニュースで読む保育園不足問題の話も家族の介護の話も、顔がわかる人の声で話が聞けるようになると、とても近くに感じるようになりました。そういう年齢に自分もなっていました。

■20年、「家で働く」人生を送ってきた

職業も違えば特技も違う。年齢も、性別も、住む場所も違う。思えば「家族」というものはどこにも正解のお手本はなく、自分たちで選択し、自分たちらしい「家族」になっていくものです。それがよりリアルになってきました。とくに今、変化のスピードは速く、選択肢も増え続けています。

「家族」の形も「個人」の形も今までにはなかった形がどんどん生まれ、工夫次第・物事のとらえ方次第では自由に生きていけるようになってきました。

折しもそんなとき、ニュースではリモートワークや在宅という働き方が少しずつ注目を集めるようになりました。在宅を認めたり推奨したりする企業も、業種によっては出てきました。

私が社会人として生きてきた20年は「家で働く」人生でした。家事と仕事の境界線がなく、人を愛することと、仕事を楽しむことは常に同じ時間の中に溶け合って存在しています。ゴミ捨てや掃除、朝ご飯の用意や洗濯と、締め切りまでに絵を描くことや、請求書を作り経理をすること、契約書を書くことに、優劣がなく、すべてが同じタスク表の中に入っていました。

どこかに通ったり、雇われたりではなく(※収入が足りなかった若い頃、バイトとの掛け持ち生活をしていたこともあり、「通う」「雇ってもらう」経験は少しあります)、ご飯を食べられるくらいに稼いで、お金と時間を自分らしく上手にやりくりし、自由を大切にして生きてきたように思います。私はもしかすると「自由」のために、「小さな経済」を選んだのかもしれません。

「小さな経済」と「小さな家庭」、これが私が選んだ選択肢でした。たとえば、家事と仕事の境界線をなくすこと、通勤時間を最小限にして使える時間数を増やすこと、好きな人と過ごす時間をたくさん作ること、他人とのコミュニケーションを大切にすること。

蓄積してきたノウハウが、新しい働き方を探している人たちのヒントになるかもしれないなと思うようになりました。

兎村彩野 家で働く

■変わり続ける、家族や個人の形。「家で働く」がひとつの選択肢になるといい

兎村彩野

Illustrator / Art Director

1980年東京生まれ、北海道育ち。高校在学中にプロのイラストレーターとして活動を開始する。17歳でフリーランスになる。シンプルな暮らしの絵が得意。愛用の画材はドイツの万年筆「LAMY safari」。

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