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家族という檻に苦しむ日本女性【生き方は多様化してきたけど、やっぱりひとりは寂しい?】

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「『家族』ってワードに死ぬほど縛られてますね、日本は。すべて家族でまかないきらなきゃいけない」

家族という檻に苦しむ日本女性【生き方は多様化してきたけど、やっぱりひとりは寂しい?】

「自分らしく生きていく」という言葉を最近よく耳にします。

でもこの“自分らしく”ってなんだかボヤッとしているし、わかりにくい。それに、誰かがその答えを教えてくれるわけでもない。実は、“自分”というものに向き合えば向き合うほど、深く、難しく、孤独な自分探しになってしまうものでもあります。

今回は、文筆家の小野美由紀(おの・みゆき)さんとラブジャーナリスト・中村綾花(なかむら・あやか)さんに、「女性がひとりで生きていくこと」をテーマに話してもらいました。



第1回:家族という檻に苦しむ日本

第2回:結婚しても「ひとり」であることからは、絶対に逃れられない

第3回:「プチ依存先」を増やせば孤独を受け入れられる

左・中村綾花さん。右・小野美由紀さん。

■生き方は多様化してきたけど、やっぱりひとりは寂しい?

小野美由紀さん(以下、小野):フランスは日本よりもずっと生き方・暮らし方が多様で、さまざまな家族の形があるように感じますが、「ひとりで生きる」ことについてはどうでしょう?

最近中村さんはcakesのコラムなどでも「孤独死」やパリでひとりで生きる日本人について書いていますよね。

中村綾花さん(以下、中村):なんだかんだ言って、ひとりで生きることが孤独で寂しいというのは変わらないと思いますね。だから、ひとりより、誰か一緒に「シェア」する人が欲しい! という気持ちは、フランス人を見てると手に取るようにわかる(笑)。

シェアという言葉を、この国に来てからよく聞きます。

小野:生活の中で、他人といろいろなものをシェアすること、例えばシェアハウスやカーシェアリングは日本でもすでに馴染みある概念になりつつあります。

中村:みんな寂しいのは世界中、どの時代でも一緒ってことですわなぁ。私はひとりでいることを辛く感じる方なんですが、小野さんはどうですか?

小野:私はそれはあんまりないかな。結婚にものすごくこだわりがあるわけでもない。むしろ、最近になって「ひとりに絞る」必要性をますます感じなくなってきました。それよりは、より”明るくふしだら”でありたい。

中村:ふしだら⁉ またそれはどういうこと(笑)?

小野:20代のころは「ひとりの人間と長く付きあって、末長くお互いを支えながら一生愛し愛されて生きる」のが幸せなのだと思い込んでいて、だからこそ、それができない自分に苦しんでたんですが、最近はそんなことで悩むのはバカバカしいと思って、開き直りました。

常時4〜5人くらいデートする相手がいて、たまに嫉妬されたり妬いたりしながら、先の見えない関係を楽しむほうが今の自分には合ってるな、と。人間関係って、本来は全てが1対1のオリジナルな関係のはずですよね。あえて関係を名前の付いた枠組みに入れずに、一人ひとりとの距離感と濃度を楽しみたいんです。恋人はいてもいいけど……。その関係にすがりつきたくはないというか。

中村:特定のパートナーと契約を交わして生活している既婚者の私から見ると、なんか羨ましい発言ですな。でも、どっちをとるか個人の自由ですよね。安定か、刺激か。

今の小野さんは、刺激を受け入れられるくらい「攻め」モードで生きているってことなのだと思います。私は、それにちょっと羨ましいなと感じながらも、なんだかんだ言って、特定パートナーがいる今の安定が、居心地がよいし、自分にも合っているとも感じます。
人それぞれ自分の人生なんだから、生きてるモードや、タイミングによってそれぞれやりたいように選んだらいいなと思いますね。

小野:結婚の幸せを否定するつもりはまったくない。ただ「独身生活を幸せに送る」ことと「いつか結婚するかもしれない」ことは何も矛盾しないなと思って。恋愛も結婚も、もう自由でいいと思うんですよね。人が決めた「幸せ」なんかに縛られる必要はない。

中村:今日、こう言い合ってる私たちも、来年はどうなってるかわかりませんからね。私だって離婚して、他のフランス人か日本人か、はたまた、どこかのまた新しい世界の男と新しい恋の冒険に乗り出しているなんて変化があったっておかしくない。小野さんだっていつのまにか結婚してたりする未来があるかもしれませんし。まだまだ人生長い分、何があるかなんて本人にすらわかりませんよね。

小野:結婚やパートナーシップの形も、また変わってきてますよね。大学時代の友人が最近「ポリアモリー的離婚」を決めたんですよ。子どもがいて、籍を抜いたあとも同居して、夫婦でお互い別のパートナーを持つことを話し合って決めたそうで。旦那さんとの関係も(友人として)良好だし、それを周囲に隠すつもりもない。「この考えを共有できたとき、私たち、最高のパートナーだなって思えたんだよね」って嬉しそうに話していて。

彼女にあまりにもフィットした選択だったので、その場にいた全員が納得しちゃって。「これが正しいパートナーシップだ」みたいなものって勝手にメディアが作り上げたお仕着せだったりするから、既婚だろうが独身だろうが、それぞれがそれぞれにとって心地良い関係を見つけていけば良いと思います。

■フランスの家族は昔の日本並みに保守だった⁉

小野:たとえ独身で生きてたって、本人が自分の生活に満足していて、かつ助け合える相手がいたら辛くはないと思うんですよね。でも、日本はこれまで家族単位が社会の基本だったから、そこから外れていることに対する罪悪感とか周囲の圧力がまだまだ大きい。

フランスはカップル文化ですが、シングルに対する社会の扱いはどうですか?

中村:基本はカップルでの行動が主ですね。シングルというのはちょっと目立ってしまうかも。家族の形で言えば、今でこそ子どもがいても未婚カップル、事実婚カップル……など、いろいろなパターンがありますが、昔はそれこそ日本に似てガチガチの家族担任もあったらしいですよ。

とくに保守的な家庭では、夫が家計を握ってているのが普通で、女性が家具なんかの大きな買い物にひとりで行くと、「旦那さんを連れて来なさい!」って追い払われたって、70代のマダムがそんな昔話をしてくれたことがあります。

小野:そうなんだ。いつ頃から変わったんですか?

中村:60年代でしょうか。当時の若かった女性たちが「女性の権利」とか、「ピル」の使用権に関して燃えるような勢いで戦ってくれたおかげで、今のパリジェンヌたちはのんきに、自分らしく生きている感じがしますね。

街頭インタビューしたことのある60・70代のマダムから「当時は自分が仕事をしたくて親の反対を押し切って戦った!」みたいな、武勇伝も聞いたことがあります。

小野:戦った歴史があるんですね。日本はまだピルすら薬局で買えないからなあ。戦う世代が必要なのかな。

話は戻りますが、カップル文化だと、ひとりで生きるのは大変そうですね。

中村:20代のパリジェンヌたちにシングルで生きることについて取材したとき、「『結婚』とかより、『彼氏がいない』『シングルでいること』がかわいそうだと思われて嫌だ」って言ってましたね。

小野:日本でも結婚はしなくてもいいって認識にだんだんなっている一方で、「パートナーがいない、彼氏もいないのは寂しい」と感じる人は多そうですね。

■フランスでは、介護は家族の役割ではない

中村:パリの下町あたりを昼前の10時とか11時に歩いていると、溜まり場カフェで暇な独居老人と思われるおじいさん、おばあさんたちが、ひとりでボーっとコーヒー飲んでる姿を見かけるんですよ。

夕方に集まる老人たちはグループになってて和やかなんだけど、朝から個々に集まってる人たちは、なんだか寂しくって、カフェ店内もむなしい空気が漂ってて……。

そうそう、フランス人のおじいちゃん、おばあちゃんたちは日本と違って、介護などを頼まないし、子どももほとんど介護をしません。子どもたちは親の介護のために、自分の仕事や人生を変えることまではしない。自分の人生が大切だから。だから日本で親の介護をしていろいろと犠牲にしている人たちみると、考えてしまいますね。

小野:そうなの⁉ それすごく面白いです。じゃあ、誰が介護を?

中村:基本、サービス委託。子育て時にベビーシッターを頼むように、使えるサービスなどがあれば利用していますね。

自分の手で介護したり、子育てしなきゃ悪いという感覚も、あまりないですね。むしろ、親側も「子どもに会いたい」という気持ちはあるけど、子どもにおしめを代えてもらうとか、想像すらしていないんじゃないかな。

小野:サービスは無料ですか? 社会保障?

中村:有料ですね、そこは。

小野:ふむ……でも、よく考えたら、介護って家事じゃないもんね。医療はプロに頼んで当たり前なのに、介護だけは家族のもの、って変な感じ。介護が「家事」に含まれている国って日本以外にどれくらいあるんだろう?

フランスでは、「介護=家族の仕事」ではなくなっているから、老後はむしろ怖くない、と。それは面白いな。

中村:その代わり、年金では払いきれない部分を子どもたちが手分けしてまかなったりすることもあるみたいだけれど。要は、家族とかの「情」でなんとかする問題でなく、お金を払って、サービスを受けることで解決する問題としてとらえられているのは確かです。

日本では、生き方、就職、結婚、子育て、介護……すべてにおいて、「〇〇すべき」があるから、下手したら死ぬまで縛られて生きていきかねないという。でも、本当は、介護だって嫁が絶対しなきゃいけないことでもないし。

小野:「家族」ってワードに死ぬほど縛られてますね、日本は。すべて家族でまかないきらなきゃいけない。

中村:気がついたら「家族」という制限に囲まれてしまう。
でも、これまでの家族という形じゃないとすると、どういう生き方が理想なんだろう?

小野:東大の安冨歩先生に以前取材した時におっしゃっていたのが、「男女ペアで家族を作る方が間違ってる」ということ。同性同士で家族を作って、恋愛やセックスを外で済ませたら一番心穏やかで済むのにって。それはちょっと面白い考え方ですよね。

中村:うーむ。それもちょっとどうかわからんけども、女も集まると怖いからなぁ(笑)。そして、面倒くさいし。

小野:まあ、平安時代とか、嫁の実家で子ども育てて通い婚だったじゃないですか。そっちの方が子育てが平和に済みそうだとは思いますけど……。家事も、育児も、恋愛も、男女ふたりだけで完結しようとすると結構ヘビーなんじゃないかと。相談役やヘルプ役がいないから。

中村:とくに人間が増える子育ては、人手が必要になりそう。

小野:親が近くにいなくて、かつサービスも頼めなかったらヘビーですよね。相談する相手もいなくて。そういう意味ではパートナーがいようといまいと、外に悩みや今抱えている問題を分かち合える人は必要だと思う。独身、既婚にかかわらず。

中村:それはたしかに。恋人ができるとすぐ友人と疎遠になる人がいるけど、それは結構危ないってことですね。

Text・構成/中村綾花


第1回:家族という檻に苦しむ日本

第2回:結婚しても「ひとり」であることからは、絶対に逃れられない

第3回:「プチ依存先」を増やせば孤独を受け入れられる

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DRESS編集部

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