【起業女性インタビュー #1】助産師からアロマトリートメントオーナーへの道のり
https://p-dress.jp/articles/2238大学病院で助産師として活躍した後、40歳でアロマトリートメントのサロンを起ち上げた西宮直美さん。病院内で患者さんのケアを行ううち、限られた時間内でのサービスには限界があり、さらに満足のいくサポートを提供したいと感じたそうです。西宮さんが安定した環境を飛び出し、起業した経緯についてお話を伺いました。今回は第1回です。
自分の好きを集めることで、心安らぐ部屋の作り方を教えてくれた空間プロデューサーの七種珠水(さいくさ たまみ)さん。実は彼女は、未経験の分野で、知識も人脈も経験も何もないところから起業したストーリーの持ち主です。今回は彼女が実践してきた、「好き」を仕事にする生き方についてお話しを伺いいました。
都内某オフィスのプロデュース現場で、アーティストのMikaさんと。
未経験の分野で、知識も人脈も経験も何もないところから、起業8カ月目でプロのインテリアコーディネーター900人中1位の家具購買成績を収め、現在は多くの富裕層や著名人の部屋、企業のオフィス、年間50室ものAirbnbをプロデュースするに至った七種珠水(さいくさ たまみ)さん(以下、ニックネームの「ナナさん」と表記)。そもそも起業のきっかけは何だったのでしょうか。
「何をしようかなと考えていたとき、たまたまママ友が持っていたマンションの空き部屋があったので、それをAirbnbにしたらいいんじゃない? って言ったんです。2015年頃だったから、今ほどAirbnbが知られていなかったんですよね」
「そうしたら彼女に『私はよくわからないからあなたやって!』って言われて、それでキレイに模様替えするなど、いわゆるプロデュースをしたんです。それが始まりでした」
「建築やインテリアの勉強をきちんとしたことはなかったんですけど、今まで1700泊以上してきたのホテル宿泊の経験や、自分なりの居心地の良い空間という視点で仕上げたら、それがすごい人気が出て、どんどん予約が埋まっていきました」
「ブッキングなどのゲスト対応も私がやっていたんですが、前職(客室乗務員)で徹底的に身についた”おもてなし”を心がけていたんです。それが良かったみたいですね。そこからありがたいことにいろんなお話が次々に来るようになって、『うちの専属になってくれ』ってお声がけも数社からいただきました」
実はアーティストMikaさんとはこの日が初対面。相手を大切にする姿勢はずっと変わらない。
「でも、あまりに忙しすぎて、自分が勉強したり準備したりする時間が本当になくて、毎日必死で仕事をこなしながら必死に勉強もしていました。今では個人の部屋だったり、オフィスだったり、いろいろなご依頼をいただけるようになってはいますが、それでもやっぱり毎日勉強だし、最初の勢いのまま走り続けている感じです」
思わぬところからそれまでの経験が活かされ、チャンスを掴んだナナさん。しかし、そのチャンスを掴み、活かすための努力も必死に積み重ねていきました。そこに「常にお客様の満足度110%を目指す」というこだわりの姿勢が加わって、現在のビジネス規模になっているのです。
続いては、起業やキャリアアップを目指す同世代の女性に向けてのアドバイスを伺いました。
「そうですね、アドバイスなんて言うとおこがましいですが、もう、みんな自分を解放していいと思うんですよね。だって明日どうなるかわからない、とも言われる時代。実際そうだと思うし、だからこそもっと自分中心になっていいと思うんです」
「よく『時間がない』って言うけど、でも実際は1日に30分くらいの時間って誰にでも絶対にあるし、どこかに1時間くらいの時間はあるんですよ。それを大事にして、その時間に自分の好きなことをやるとか、すぐにビジネスにつながらなくてもいいから、自分のやりたいことをやるとか、つまり自分の『好き』を解放していいと思うんです」
「だって、自分が一番大切じゃないですか。自分が活き活きして好きなことをやるほうが、子どもにとってもいいと思うし、子どもとの時間は確保しつつも、自分の好きなことはやって、それで『ママがこうして好きなことやれるのもあなたのおかげよ』って言ってあげたほうがいいんじゃないかな」
「我慢しなくてもいいんです。我慢しなくちゃって思うこといっぱいあるけど、本当はもっと解放していいんですよ」
寝室は大切な場所。クライアントが、心の安らぎを感じながら眠りにつけるように。
自分の好きを大切にして、起業という夢を現実にし、今なお挑戦し続けるナナさんに、他に大切にしていることを思いつくままに教えてもらいました。
「失敗してもいいというか、誰にでもいいときとわるいときって必ずあると思うんです。チャンスだって、私何度も取り損ねてきたんですよ。でも、だからこそ今は絶対に逃したくないって思ってて、何かにつながりそうって感じたら、多少疲れていても顔を出します」
「あと、人のご縁とか縁起をすごく大切にしていて、尊敬する経営者の先輩からのお誘いとかは極力乗るようにしています。そうすると、それをやるにも自分が健康でないといけないし、感性もクリアにしておかないといけない。だからこそ、常に正々堂々といるよう心がけています」
「あとはもう、とにかくやっちゃう(笑)。もちろん、勝算があると思えることですけど、でも、その勝算を感じちゃうレベルは人より低いかもしれない(笑)。それで痛い目を見ることもあるかもしれないけど、準備する時間もないから、できる人を探して協力してもらったり、やりながら勉強したりしています」
「最近、『児童養護施設の壁紙を変える』っていう新しいプロジェクトを始めたんですが、もちろんそんな経験はありませんでした。でも、『子どもたちに何かをしたい』っていう思いはずっと持っていて、それがようやくこのプロジェクトで形になって、実現の第一歩が踏み出せたんです」
「子どもの想像力ってすごいですよね。それを無限大に育んで、壁面アートを創るんです。子どもたちと、施設の皆様と、アーティストと、後援者の方と、ボランティアと、そして私たち。みんなでひとつの壁面アートを創る。まだ企画段階ですが、大切に進めていきたいと思います」
インタビューはナナさんがプロデュースしている都内の某オフィスにて行われました。クリエイティブで勢いのあるオフィスが、ナナさんの感性で更なるインスピレーションをもたらす空間へとデザインされていく様子は、その途中経過からすでにひとつのエンターテインメントのようにも感じられました。
作業中のオフィスでインタビュー。雑然としていても、クリエイティブな雰囲気が感じられます。
取材させていただいてひとつ思ったことがあります。それは、ナナさんは人の話を最後まできちんと聞く、ということ。
こちらの質問も、遮ることなく最後までうんうんと頷いて、すべて聞き終わってから、答えてくれます。人の話を最後まできちんと聞くというのは、実は当たり前にできることではありません。こういった器の大きさも、ナナさんを慕う人が多くなる理由でしょう。
飾ることなく、背伸びすらもナナさんらしい、「好き」を仕事にする生き方。でもそれは、子どもが寝静まった深夜の30分を大切にするところから始まっています。
自分を大切にする。1日30分でもいいから、自分の好きなことをする。その行き着く先には、きらきらと輝く人生と、たくさんの笑顔が待っているのです。
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