不倫相手に本気になった既婚女性が、それでも離婚できなかった理由 2/2
彼女は、独身の彼と音信不通になるまで、不倫していることを誰にも打ち明けませんでした。親しい友人に話しても理解してもらえないだろうし、何より「責められるのが怖かったから」です。専業主婦で、夫は安定した会社で毎日働いてくれているのに、何で不倫なんてするのか。料理教室にも夫のお金で通わせてもらっているのに、申し訳ないと思わないのか。
客観的に見ても、自分のしていることは最低だと気づいていたのですね。セックスレスであることが不倫を正当化する理由にはなりません。それは夫婦で解決できる問題であり、夫以外の男性の体を求めること自体、間違っています。
ですが、それでも彼との関係をやめることができなかったのは、「許されない恋」に落ちた自分に興奮していたからです。「先はないんだからやめなくちゃと思っても、会いたい気持ちに逆らえなくて」と言っていましたが、制限された中で楽しむ肉体関係は、欲求不満だった彼女にとって手放したくない刺激でした。
セックスレスで月に2回程度しか愛してくれない夫と違い、少しの時間でも会えば必ず手を伸ばしてくれる独身の彼。「好きだよ」「愛してる」と何度もささやかれ、激しく求められるのは、まさに女としての喜びを再確認できる時間。忘れていた情熱を思い出させてくれる彼にのぼせ上がるのもわかります。
ですがそれは、自分が既婚者だからこそ感じられる興奮です。家に帰れば、夫との平凡で退屈な毎日が待っています。それがあるから余計に彼との情事が特別なものであることを思い知ります。最初から刺激が欲しいことを自覚していた彼女は、自ら興奮する機会を持ち、それに溺れて自分を見失いました。ですが、「許されない恋」の興奮は、いつまでも続かないのです。
■「許されない恋」の興奮は続かない
本当に独身の彼を愛していたのなら、夫に離婚を切り出すことはできました。夫を傷つけることになったとしても、不倫相手の彼と正々堂々と付き合える道を選ぶことだって、彼女は選択できたのです。それができなかったのは、いざ離婚という現実と向き合ったときに、自分が夫に与える痛みの大きさに気がついたから。
独身の彼への恋心より、そちらのほうが彼女にとって何倍も心を揺るがすものでした。彼への愛情が勝るなら、自分が夫に与えるダメージにひるむことはないでしょう。筋を通そうとした分、本気だったことも本当ですが、それ以上に自分がやろうとしていることがどれだけ夫を傷つけるか、その痛みの大きさが彼女を現実に引き戻したのですね。
夫を傷つけてまで手に入れる恋に、どんな価値があるのか。改めて考えさせられたとき、彼女の中で「許されない恋」の炎は消えました。
■既婚者の不倫は現実に戻ってからが苦しい
独身の彼より夫との結婚生活を選んだ彼女ですが、それでも、不倫をしたという事実は消えません。「一生をかけて償う」と彼女は言っていましたが、夫を裏切った自分のまま一緒に暮らすことは、決して楽ではないでしょう。
既婚者が不倫をやめて配偶者のもとに戻るとき、後悔と罪悪感は長い時間心を支配します。取り返しのつかないことになる前に、夫の大切さに気がつけて良かったと思いますが、不倫をした罰は彼女自身が苦しむこと。
「許されない恋」の興奮より、そちらのほうがずっと長く彼女の人生に横たわります。
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※ この記事は2017年11月4日に公開されたものです。