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自分のニーズに気づくと、息苦しい環境から抜け出せる~中村綾花×小野美由紀【DRESS対談】

ラブジャーナリスト・中村綾花さんと文筆家・小野美由紀さんが『DRESS』を舞台に対談をスタート。今だから気になる日本の恋愛について、いろいろなお話をお伺いした、3回に渡る本対談。第3回のテーマは「息苦しい環境から抜け出す方法」です。

自分のニーズに気づくと、息苦しい環境から抜け出せる~中村綾花×小野美由紀【DRESS対談】

第1回:フランスから見た日本の不倫と婚活

第2回:銀座ママから盗んだモテるためのテクニック

第3回:自分のニーズに気づくと、息苦しい環境から抜け出せる

■「和」を大切にする=自分の意見を持たない、ではない

中村さん(以下、中村):みんな、ひっそりと、自分の鎧の中で本音を温めたり、隠したりして生きてるというか。小野さんは、そういう鎧は意識してる?

小野さん(以下、小野):私はそういうのが我慢がならないから、物書きになりましたけれども。あとは、意見を我慢しないために、「前向きなフィードバック」をくれる人と付き合うようにする。
相手が異なる意見を言ったときに、頭から否定したり、または意見を言ったこと自体に嫌な顔をする人とは付き合いません。もしくは言い方を工夫する。その人が受け入れられそうな言い方にして、しれ〜っと。

そうすると、「みゆきちゃんの意見面白いね〜」って男しか周囲にいなくなる……。とにかく「前向きなフィードバック」をもらえることに全力をかける。

中村:小野さんと会って感じたのは、マイペースで一見、不器用に生きてるように見えるけど、上手く生きるテクニックのカギをいろいろ握ってること。感心する。

編集部:横から失礼します。小野さんの「自分の発言で、自分にとっても相手にとっても、ハッピーな環境をつくる」って考え方がすごいですね。 今の日本人(僕も含めて)その一歩目を踏み出すのが難しそうですが。

小野:うーん、でもそれって結構簡単ですよ。自分を主語にして話せばいいだけですよ。相手を否定したり、環境とかを主語にしないで「私はこう思う」って言い方をするだけで、なんか前向きに聞こえるんですよ!

中村:「自分を主語」が今回のキーワードですね。

小野:日本人は「和」を大切にする文化っていいますけど、それって決して「意見を持たない」ことではないですよね。意見を持ってても「和」は達成できますよね。
フランス人だってケンカはするし、全然意見が噛み合わないってこともあるけど、仲良くやっていけるカップルとかはそうじゃないですか? 中村さんの旦那さんも、すっごく個性的で主張が強いですよね。

中村:そうですか? でも、なんてこの人と結婚したんだろう? みたいな、全然意見が違うってことを発見したり、4年経っても未だにケンカするから、わからないものですよ。そもそも私、恋愛苦手ですからね。

■小悪魔力が高いフランス人男性

小野:恋愛苦手な中村さんがこの人は! って思えた相手なんですね。旦那さんは。

中村:ケンカしてるときは、もうしっくりどころか、破壊寸前で、なにこれ⁉ と思うけどね(笑)。そういう綱引きが度々ありつつ、まぁ、でも、一緒にいたい、という気持ちはあるから、しょーがねーな、という……。

小野:結婚の決め手はなんだったんですか?

中村:彼が私を見てる部分が、他の誰にも見えてない部分だった、というのにびっくりして。なんで私と一緒にいるの? と聞いたとき、その答えが「学校の教室の端っこで、ひとりで本を読んでる感じがしたから」って。私の暗黒時代のこと、話したことなんて一度もないのに

小野:おお。

中村:「なんで、この人、見えてるんだろ?」って。透視か⁉ と。いじめに遭ってたころの映像ですね。

小野:すごい。旦那さん、なんで見えたんですかね……。

中村:わかんない。でもそれが、この人だったら大丈夫という最後のオシになったんだろうな。あとは、1年一緒に同棲してみて、お金の使い方とか、家族との付き合い方とかいろいろ見ていく中で、自分が絶対無理と思うところはなかったし。

まあ、でも、それもいつ別れるか、先のことなどわからないです。

小野:そう言えちゃうのが良いですね。中村さんは出会ったときから旦那さんが好きだったんですか?

中村:第一印象は、まったくタイプじゃなかった。異性としては意識してなくて、話をしていくと、あー東京にいる男友達の中にいても、おかしくないなー、自然、というのが翌日の印象。

小野:ドキドキとかより、安らぎ?

中村:まず、太ってたからドキドキしなかった(笑)。でも、最初に手を触れた瞬間には、恋に慣れてないからドキドキしました。

小野:どういう感じで、向こうからだったんですか?

中村:2回目に会った時に、ヒゲがすごかったから「ちょっと触ってみたい」って言ったんですよ。まあ、こんなこと日本男子が相手だったら、私もまず言わないんだけど、フランス人のヒゲというのに好奇心が掻き立てられて言ってしまった(笑)。

そしたら「じゃあ、手も触ってみる?」と。

小野:小悪魔力高いですね旦那さん……それ日本のキャバ嬢がやるやつですよ。

中村:自分から罠にはまっていったという……。そういうの、日本人男性は怖がってやってくれないですよね? そういう点では、彼もパリの男だなぁ。

彼の名言は「女は面白い話をすれば簡単に口説けるけれど、その先、続けるのが難しい」。全然続かなかったらしく。私が初めて長く続いたらしい。落とすのは得意だけど、続けるのは難しい……。

小野:え、そうなの?

中村:でも、そういうパリの男は多くて、数カ月付き合っては次、また次、という感じ。

それで、長く続いたら、子供ができて、その先も続いたら、じゃあ、アパート一緒に買うか、結婚しようか、という流れです。

小野:自然ですね。日本みたいに、一度付き合ったら一蓮托生! 感はないですね。

中村:そうそう。結婚や子供はその先にある選択肢と制度でしかない。続くかどうかも、つきあってみないとわからない。結婚とか子供っていう目的から逆算しても面白くなさそう。

小野:そうですよね!

中村:だから、いろいろな男との間の子供がいるフランス人女性もたくさんいるわけで。子供はできたけど、その先は続かなかったわなーみたいな。

小野:でもそれでもいいですよね。社会保障がしっかりしてれば。

中村:動物ですよ。社会制度にしっかり守られた動物です。パリジャンたちは(笑)。

小野:「パリは、社会制度の檻がしっかりしている動物園」。日本もそうなってほしい〜!

中村:そう守ってもらえるように、国民が国に対してうるさく言うし、なにがなんでも権利を守らせるしね。

■自分のニーズに気づくと、息苦しい環境から抜け出せる

小野:日本もこれだけ離婚が増えてるんだから、子育て支援をしっかりしてほしいですね。

家族で子供の面倒を全部見るっていうのがまず無理だってことに気づかないと。男性ひとり、女性ひとり、子供ひとりから数名っていうユニット自体がもう崩壊してるよ。

中村:社会のハードと、中に生きてるソフトの人間が、ものすごく、合ってない日本。

でも最近、そういう不満を声に出したり、自分ができる範囲で動き始めてる人は増えてきている気がします。

小野:うん。中村さん、それ言ってらっしゃいますね。

中村:やっぱり、おかしいと気がつくこと。まずこれが第一歩。

で、今日小野さんが言っていた「自分の意見を言ってみること」かな。言うのが難しければ、まずは自分はどう思うかを、自分に聞いてみる。

小野:うん。自分のニーズに気づくと、「あれ? なんかこの環境違う」ってなりますよね。

中村:それに自信がなければ、見渡してみると、自分と同じように「あれ?」って思っている人たちが、周りにも案外たくさんいるから、お酒でも飲んで本音と体験を聞き出してみる。

サンプル収集だと思って。日本人は酒飲まないと言わないからね(笑)。

それで、自分なりの、心地よさを追求して、少しずつ環境をそちらに持っていくのがいいと思う。

日本は、フランスに比べたら、多様性って意味ではまだまだかもしれないけど、1億2000万人も人がいるんだから、絶対に自分と同じ意見の人や受け止めてくれる人はいるはずですよね。

小野:うんうん。

中村:小野さんはきっと、その心地よい環境づくりのヒントを知ってるんですよね。

小野:私も、合わない場所からは秒で逃げますね(笑)。

中村:それはとても大切! 無理しないこと! 「これ違う」って思ったらソッコー逃げる!

あと、やっぱり百聞は一見にしかずなので、もう、どうにもこうにも「わー!」となるほど苦しくなったら、1カ月でも3カ月でも、旅行ビザの範囲で旅してみるといいんじゃないかな。

まったく違う価値観のある外に出てみるのはすごくおすすめ。緊急時の処置方法になりますが。

小野:そうですね〜。旅行だったら誰でもできるしね。ちょっとだけでも、外に出ると違いますよね。

日本って、本当に世界の片隅で、超ちっちゃくて、変な国だなぁってしみじみ思いますもん。日本自体が変な国だから、別にそれに無理に合わせて生きるこたないなと思いますよ

編集部:自由という言葉は英語で「フリーダム」ですが 本来は「自ずから由(よ)る」といって「主体的に自分を主語にして動く」ってことですからね。外の世界に足を運ぶことで、そういった感覚が身に着くのかもしれません。

小野:へぇ〜。そうなんだ。

中村:パリジャンたちはみんなフリーダムで人生を謳歌しているように見えるんだけど、それも「自分に由(よ)ってる」からなんだろうね。

海外でも日本でも、凝り固まってる感じがふわーっと解けてくような感じを一瞬でも味わえたら、少しは変わると思うから、苦しさを感じたら一度は外に出て、価値観の違いを感じてみるのはいいかもしれませんね。

Text/小野美由紀

構成/DRESS編集部 小林

【お知らせ】
9/17(日)文筆家・小野美由紀によるクリエイティブ・ライティング講座が開催されます。
「身体を使って書くクリエイティブライティング講座」
http://onomiyuki.com/?p=3222
「コラムやエッセイを書きたい!」「文章で自分をもっと生き生きと表現できるようになりたい!」という方はぜひご覧ください。

DRESS編集部

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