銀座ママから盗んだモテるためのテクニック~中村綾花×小野美由紀【DRESS対談】
ラブジャーナリスト・中村綾花さんと文筆家・小野美由紀さんが『DRESS』を舞台に対談ををスタート。今だから気になる日本の恋愛についていろんなお話をお伺いしました。3回に渡る本対談。第2回のテーマは「銀座ママから盗んだモテるためのテクニック」です。
第1回:フランスから見た日本の不倫と婚活
第2回:銀座ママから盗んだモテるためのテクニック
第3回:自分のニーズに気づくと、息苦しい環境から抜け出せる
■自分の意見を言えば言うほど女はモテる
中村さん(以下、中村):小野さんは私から見ると、自分の意見をはっきり持って、周りの目を気にせず価値観にしたがって生きているみたいに見えますけど、それはなぜ? いつから?
小野さん(以下、小野):それは単純明快で、自分の意見をはっきり持った方がモテるからです。
中村:ほおー!
小野:私も中村さんと同じで、恋愛が全然できなかったんですよ! あまりにモテないので「どうやったらモテるんだろう」って謎を解明しようとして、大学入ってすぐ、六本木のキャバクラで働き始めたんですよ。18歳で、処女のまま。
中村:うんうん。著書の『傷口から人生』に書かれてましたね。
小野:18歳だと、若いから、顔面のプリントがそこそこNEWじゃないですか。にもかかわらず、まぁモテないんですね。まったく声がかからない。
でもどうにかしてモテたいから、今度は銀座のクラブに移ったんですね。そうしたら、60歳とか70歳のママ、チーママが、男をはべらせてるんですよ。1億のマンション買ってもらったとか言って。リーマンショックの前ですけど。
中村:おお。
小野:その人たちは、顔もすっごく綺麗ってわけじゃないし、周りに比べて若くもない。他のホステスのお姉さんたちも、40代とか50代の方が多くて、ドラえもんが着物着て出てきた、みたいな容姿なんだけど、なぜか男性を惹きつけて離さないんです。
なんか「もわーん」ってモテのオーラが出てる。18歳の顔面がNEWなだけの私はまったく相手にされないんですよ。そこで初めて「モテって顔とか年齢じゃない! その人の魔力だ」って。
かなり人生で大きなショックでした。
それで、私も魔力を磨く方で行ったら、モテ始めました。今31歳ですけど、18歳のときより全然モテてますね。
中村:どうやって魔力を磨いたんですか?
小野:魔力って、オンリーワン力だと思うんですよ。
中村:出た! フランス人が得意なやつです。
小野:その、60歳とか70歳のママたちは、見た目以外に、身のこなしだったり、色気だったり、茶目っ気だったり、優しさだったり、自分にしかない魔力をよくわかってるんですよね。それを磨いてる。
あとは、自分の意見をズバズバ言うんです。よく水商売のお姉さんが書いた「モテるためには聞き上手になりなさい」とか書いてありますけど、そこのママなんか、全然人の話聞いてないんですよ。
客の話を遮って、自分が幽体離脱した経験の話ばっかりしてる。でも、お客さんは面白がって来るんですよね。
私、水商売の女の人って男に媚び売って、機嫌とって稼いでるとばかり思ってたんですよ。でも、そうじゃない。トップになればなるほど男に媚びて従ったりしない。自分の「オンリーワン」の魅力をよくわかってるから、揺らがない。泰然自若としてる。
中村:今、聞いてて、パリジャン・パリジェンヌたちを見たときに感じたのとまったく同じだと思った! モテって、オンリーワン。というやつ。その人しかない魅力。私はパリで学んだけど、小野さんは、日本の男と女の、プロの現場で学んだわけだ。
小野:そうですね。それで、「自分の意見を言う=オンリーワン力=モテ」につながると気づいてからは、自分の意見を言うことにためらいがなくなりましたね。意見、言えば言うほどモテるからね。
中村:日本でも自分の意見を言えば言うほど、モテるというのが意外。私、けっこう自分の言いたいこと、言いまくってたけど、男たちは引いて行ったよ(笑)。
だから、「日本にいても、私はモテないわ」って思って海外に出たんだけれども。
小野:どんな意見を言ってたんですか?
中村:「そんなんじゃダメだよ!」って、居酒屋で、男たちにダメ出し。まあ、引きますよね。
小野:それは(笑)。
あ、1個思い出した。
銀座のママとかチーママは、男性に対して、めちゃくちゃ自分の意見を言ったり、これがほしいあれがほしい! って臆することなく言ったりするんですけど、言い方がうまいんですよね。
明るくさらっと言う方法をわきまえてて、あと、絶対に怒らない。
中村:大切ですね。
小野:日本人にとっての「意見を言う」って、異なる意見の相手を批判するとか、自分の正しさばかりを主張するとかって方に行きがちだけど、相手が男性にしろ女性にしろ、チャーミングな意見の言い方を自分なりに研究すれば、案外通るんだな、っていうのは銀座で学んだかな……。
中村:日本には、日本式の、意見の言い方がある。
小野:相手は否定しないけど意見は言う、みたいな。そっちの方が互いにストレスないですよね。
中村:なるほどな。そういうテクニックがあるんだな。これは、お金払っても知りたいすごい技だわ。だから、私は日本でダメダメだったんだ……。今気づいた(笑)。
小野:あはは(笑)。
中村:パリ在住の激モテしてる日本人女性がいて、その人はかなり太っちょなんだけど、バリバリの女王様キャラで、下僕のようなパリジャンたちが周りを離れないんだって。ひざまづいて、僕と別れないでください! みたいに泣きつくらしい。若い男が。
小野:その図、見える! 羨ましい。
中村:パリって、そういうモテの種類が豊富だなーと。「女子力が高い子がモテる」みたいなワンパターンじゃない。
小野:そうですね。種類がいっぱいあるのがいい。
■自分の基準をハッキリさせることで、モテ度がUPする
中村:日本で男性にダメ出しばっかりしてたのは、私自身に自信がなかったことの裏返しなのかもなー。強がって、全然素直になれてなかった。
小野:中村さん自身に、フラストレーションがあったんでしょうね。
中村:かなり欲求不満だった。それくらい日常にストレスがいっぱいだった。女性であるということに。
小野:日本にいると、女であることにストレスが溜まりやすいですよね。
中村:「モテ=他人からの見方を気にする」ことなのに、「自分の基準をハッキリさせることで、モテ度がUPする」って、なんか、すごい逆説的というか。気づきにくい視点ですよね。
小野:「他人の目を気にしてたら真に客観視はできない!」
中村:メモだ。メモ。
小野:というのが、銀座のお姉さんたちから学んだことなんですけれど……。でも、自分を知ったら客観視できて、どうやったらモテるのかわかりそうな気がする。そのためには、自分が本当は何を考えているのかはっきりさせることが大切なのかなと。
小野:中村さんもそれをしたんですよね? 世界に飛び出してみて。
中村:そう。パリに来たら、それをせざるを得なかったしね。世界婚活中は、手探りしながら、苦しみから逃れられる道を探してた。旅の先々でヒントを得て、最終的に「がんばることは、婚活ではない!」ということに気がつく。
小野:がんばることは婚活ではない!
中村:「結婚=幸せ」になれるってのは、あくまで日本社会の中にあるひとつの価値観でしかなくて、自分はどうしたら幸せになるの? っていう基準を自分の中に持たないと、永遠に幸せにはなれないぞと気づいた。
小野:そこで、自分を主語化したんですね!
中村:で、いま日本に帰ると聞いてもないのに、いろいろな編集者さんとか、初めて出会ういろいろな方が、自分の人生について語ってくれるんですよ。
小野:へー! すごい!
中村:「いやー、実は長いこと不倫してて、幸せなんですよねー」とか。
小野:不倫してて幸せ⁉
中村:「結婚失敗し合った同士で再婚したんですよー」とか。「子供できたら、夫がいらなくなってー」とか(笑)。なんだ、パリジャンだけでなくって、日本人だって、いろいろな人生があるけど、普段言わない、表に出さないだけなのねって。もっと、早く言ってほしかったわーって思う(笑)。そしたら、世界婚活なんかしなくったって気がつけたかも。
小野:日本には本音で語り合う文化がないから。だから匿名でツイッターとかに書くんでしょうね。
(第3回につづく)
Text/小野美由紀
構成/DRESS編集部 小林
【お知らせ】
9月17日(日)文筆家・小野美由紀によるクリエイティブ・ライティング講座が開催されます。
「身体を使って書くクリエイティブライティング講座」
http://onomiyuki.com/?p=3222
「コラムやエッセイを書きたい!」「文章で自分をもっと生き生きと表現できるようになりたい!」という方はぜひご覧ください。
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