衝撃のグラフ

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「まだ38歳」ではなく「もう38歳」。女性ホルモン分泌量が下がり、妊娠力がガクッと衰えるのは37歳と38歳の間です。今回は具体的なデータを元に、高齢出産について見ていきます。ある年齢を境に、急激にグラフに変化が表れています。

衝撃のグラフ

先月誕生日を迎えて38歳になりました。世間的には34歳と35歳の間に一つの区切りがあると思いますが、女性ホルモン分泌量が下がり、妊孕性(妊娠力)がガクッと衰えるのは37歳と38歳の間なので、38歳になった=同い年の患者さんに「私たちまだ若いですから」と言いにくくなったのです。
もちろん個人差も大きいのですけど、リプロダクション(生殖)ということを考えれば一般論としては、「まだ38歳」ではなく「もう38歳」という感じでしょうか。
 
さて、先日内閣府の少子化危機突破タスクフォースという会議に出席したところ、座長の国立成育医療研究センター不妊診療科の齊藤英和先生から衝撃的なグラフが資料として提出されました。
 
これは、生殖補助医療(体外受精や顕微授精)によって授かった赤ちゃん一人当たりにいくら費用がかかったか(一周期30万円として計算)、年齢ごとの平均をグラフにしたものです。30代前半で約150万円、40歳で372万円、45歳で3704万円、票にはありませんが47歳では2億3千万円となっています。「45歳でも3704万円かければ妊娠出来るのか」と思われる方もいるでしょうが、そうではなく、45歳では生殖補助医療お金と労力を投じても、123回に一度しか妊娠していないということです。(3704万÷30万=約123回)ほとんどの方はお金と労力をかけたけど赤ちゃんを産むことはできないという意味なのです。47歳に至っては、隕石が当たる確率、と言っていいかもしれません。
このグラフを見ると、42歳頃から急激に金額が上がっているため、妊娠を望んで不妊治療にトライする現実的ラインはやはりその辺りなのだなあ、と改めて思いました。以前こちらのコラムで、ギネスブック的な幸運例を除けば、妊娠可能年齢は42歳までということを書いたのですが(妊婦健診をしていると、42歳までの妊婦さんは時々いらっしゃいますが、43歳以上の方はまれに見かけるのみです)、妥当なラインだったということになります。
 
齊藤英和先生のデータによれば、昨今の「卵子老化キャンペーン」により、生殖補助医療を受ける平均年齢が下がったそうです。理由は、早めに不妊クリニックの門を叩く方が増えたことと超高齢で治療を続ける方が減ったことの両方ではないかと思われます。卵子老化キャンペーンがアラサーの女性たちの不安を過度に煽りを不必要に傷つけていることは見過ごせませんが、over 40の女性には、嬉しくはないものの妥当な情報提供だったと言えるのではないでしょうか。
 
とにかくグラフで見ると衝撃的な事実ですよね。次回は男性不妊ついて見てみたいと思います。

 

 

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宋 美玄

産婦人科女医・性科学者。現役産婦人科医として、都内の病院で診療に従事すると同時に、セックスや女性の性、妊娠などに付いて女性の立場からの積極的な啓蒙活動を行っている。

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