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「考え方を見直す」だけでストレス対策になる

ストレスを感じやすい人は、対策としてまずは考え方を見直すことから始めましょう。ブレインケアクリニックの今野裕之院長が、精神的なストレスを和らげるコツを「認知の歪み」について解説しながら、ご紹介します。

「考え方を見直す」だけでストレス対策になる

現代人は多くのストレスに囲まれて生きています。とはいえ、ストレスに強い人と弱い人がいるのも確か。その差はどこにあるのでしょうか。また、どうしたらストレスに強くなるのでしょうか。今回は、精神的なストレスを和らげるコツをお伝えします。

ストレスも考え方次第

たとえばこんなシチュエーションを考えてみましょう。あなたは渋谷に買い物に出かけました。人混みの中を歩いていると、思いがけず友人の顔を見つけました。

嬉しくなったあなたは、友人に向かって手を振り、声をかけました。でも、なぜか無反応。一生懸命声を張り上げましたが、こちらを見ることもなく友人の姿は見えなくなってしまいました。

さて、もしあなたがこんな状況になったらどんな気持ちになるでしょうか?

「わざと私を無視したの?」と怒ったり落ち込んだりする人もいるでしょうし、「人が多かったから声が聞こえなかったのかな?」と思って気に留めない人もいるでしょう。

事実としては、「友人に声をかけたが、返事を返してくれなかった」ということだけですが、人によっていろいろな捉え方ができます。そして、その捉え方によって気分は大きく影響を受けます。

捉え方はもちろんその人の自由。しかし、もしあなたがネガティブな気持ちになりやすいとしたら、その原因のひとつは物事に対する捉え方かもしれません。

人にはそれぞれ考え方にクセがありますが、ネガティブになりやすい人は、否定的な考え方をするクセが強い場合があります。これを専門用語で「認知の歪み」といいます。

ネガティブになりやすい考え方のクセ:「認知の歪み」とは

認知の歪みには、以下のようなものがあります。

1)白黒思考:物事を白か黒かの極端なふたつの見方でしか考えられない。
例.ひとつ失敗をしただけで、「すべてうまくいかない!」と思う。

2)心の読みすぎ
例.人と話しているとき、あまり関心を示してくれないように思い、「この人に嫌われているに違いない」と思い込む。

3)感情的理論:自分の感情が現実を表している。それがあたかも事実のように思ってしまう。
例.「自分は不安でいっぱいだ。だから、何をやっても失敗してしまう」

4)自己関係づけ:何か良くないことが起こったとき、自分に責任がなくても、何でも自分のせいにしてしまう。
例.「会社のプロジェクトが上手くいっていないのは、全部私の責任だ」と考える。

5)極端な一般化:なにか一つ嫌なことがあると「何をやってもうまくいかない」、「どうせ自分はダメな人間だ」と結論づけてしまう。さらに極端に考えると「レッテル貼り」と呼ばれる。
例.友達に遊びの誘いを断られると、「みんな僕のことなんて、嫌いなんだ! 誰も僕のことが好きな人はいない」と考える。

6)心のフィルター:ひとつの失敗や良くないことにこだわってしまい、他のことに目が向かなくなる。
例.周りの多くの人が褒めているのに、ひとりの相手から言われた些細なことを気にしてしまい、「自分はダメな人間だ」と思ってしまう。

7)「すべし」思考:何かをする時に、「~すべきだ」、「~すべきでない」と考える。
例.「家族は私が体調が悪いのを察して、私のことをもっと大事にするべきだ」

8)完全主義:物事を何でも完璧にこなさないと気がすまない。少しのミスも許さない。
例.「テストで99点を取ることは、0点と変わらない」

9)誇大化と過小評価:自分の失敗や短所ばかりを大げさに捉えてしまう。反対に、成功したことや長所をほとんど評価しない。
例.「うまくいったところなんかどうでもいいんだ。失敗したところこそ気にかけなければならないんだ」

思い当たるところがある人は、気をつけましょう。

バランスの良い考え方が大事

「じゃあ、いつもポジティブシンキングでいればいいの?」と思われるかもしれませんが、それは大きな間違い。都合の悪いことを無視して無理にポジティブシンキングを続けていては、いつか破綻します。

たとえば、借金がたくさんあるのに「夏にはボーナスが出て返せるから大丈夫!」などとポジティブに考えてどんどん買い物をしてしまったら、いつか破産してしまうかもしれません。

このようにポジティブシンキングにも「都合の悪い部分から目をそらしてしまう」という危険な面があります。物事のポジティブな面とネガティブな面の両方を、バランスよく見られるようになるのが大事です。

考え方を見直し、ストレスを減らす対策

そこでおすすめなのが次のような方法です。なにか嫌なことや辛いことがあったとき、紙を1枚用意しましょう。そして、紙を4分割するように横に線を引きます。

まず、1番上のスペースには「実際に起きたこと」を書きとめます。2番目のスペースには「起きたことを裏付ける出来事」を列挙しましょう。

3番目のスペースには、「2番目のスペースに書いたことに対する反論」を書いていきます。一番下のスペースには、「2番目と3番目のスペースの記載内容を踏まえて考えられること」を書き出します。先の例でいえば、たとえばこんなふうに。

1番目のスペース:「街中で友人を見つけて手を振って声をかけたが、返事をしてくれなかった」

2番目のスペース:「大きな声を出して名前を呼んだ」「手も振っていた」「それほど遠い距離ではなかったのにこちらに気づかなかった」

3番目のスペース:「騒がしかったので声は届きにくかった」「人が多く、視界に入らなかった可能性がある」「こんなところで声をかけられるとは思っていなかったのかも」「何か考え事をしていたのかもしれない」

4番目のスペース:「人が多くて騒がしかったから聞こえなかったのかもしれない。名前を呼ばれても、まさか自分のこととは思わなかったのかな。もしかしたら、実はよく似た別人だったという可能性もある」

いかがでしょうか。こんなふうに書いて見ると、少し気持ちが楽になりそうな気がしませんか? 私たちは辛いことや嫌なことがあると、つい物事の否定的な面ばかりに目がいきがちになります。

このようにして紙に考えを書き出すことによって、自分の考え方を客観的に眺められる効果もあります。この方法は認知行動療法と呼ばれる、考え方の癖を修正するトレーニングをアレンジしたもの。ぜひ皆さんもやってみてください。

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セミナーのお知らせ

私が院長を務めるブレインケアクリニックでは、各種セミナーを行っています。詳細は当院のホームページ、またはFacebookページをご覧ください。6月9日には、できるだけ薬を使わずにうつ病を治す方法をお話しする予定です。

ブレインケアクリニック|新宿 四谷三丁目 心療内科 認知症予防

http://brain-care.jp

ブレインケアクリニックは丸ノ内線四谷三丁目駅から徒歩2分の利便性の高い場所にある精神科・心療内科のクリニックです。気軽にご相談ください。

今野 裕之

ブレインケアクリニック院長。精神医学とアンチエイジングに関する知識と豊富な臨床経験を背景に、体に優しい心の治療を実践。

博士(医学)、精神保健指定医、精神科専門医、日本抗加齢医学会認定医、美咲クリニック顧問、瞳美容研究所顧問、日本ブレインケア・認知症予防研究所所長。 著書に「最新栄養医学でわかった! ボケない人の最強の食事術」など。

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