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家庭円満、夫婦円満の秘訣は、管理職時代に学んだ「信頼して任せること」

家庭円満や夫婦円満でいるコツって何だろう。パートナーや子供が思い通りにいかないからと、イライラしていては円満でいられるわけがない。でも「他人は自分の思い通りには動かない」が大前提だと理解してコミュニケーションを図れば、案外うまくいくもの。小田桐あさぎさんが自身の管理職時代に学んだことから振り返る。

家庭円満、夫婦円満の秘訣は、管理職時代に学んだ「信頼して任せること」

日本の女性管理職比率は6.6%と低い。そしてこの低さの一番の要因は、管理職になりたい女性が少ないことらしい。しかし、私は女性こそ管理職を経験しておくことが、後々の人生、とくに「家庭の運営」や「子供との接し方」に大いに役立つものであると常々感じている。今の私が心がけている子供本人に任せる育児や、夫や外注との協力体制の築き方はすべて、管理職に就いていた頃の苦い経験を通じ、学んだものだからだ。

私は今から4年ほど前に、当時勤めていた会社で営業とチームリーダーの兼任というプレイングマネージャー職へと昇格した。最初の1年は大きな壁にぶち当たることもなかったのだが、問題は翌年、自分と同じ営業職の新入社員が入ってきたときだった。

■上司の私が、部下の能力や自主性を奪っていた、と気づいた日

新卒として入社し、右も左もわからない彼の指導に当たることになった私は、「彼が1日でも早く一人前の営業として活躍できるように」「失敗をしたり恥をかいたりしないで済むように」と、本当に手取り足取りすべてを指導した。それこそ電話での応対の仕方やメールの書き方に至るまで、彼の行動を一つ残らずチェックし、自分が正しいと思うやり方へと、文字通りすべて改善させていたのだ。

しかし、そこまで時間と労力をかけているのにも関わらず、自分の思い通りの仕事をまったくしてくれない彼に、心底イライラしていた。仕事に対するやる気も情熱も見えない彼に、「あなたの人生の目標は何?」などと問い詰めたこともある。ここまで教えてもできないのなら自分でやったほうが早いと、次第に仕事を教えるのも面倒になり、失敗のない簡単な仕事だけを振るようになっていった。今考えれば、本当にひどい上司である。

こんな状態では信頼関係などまともに築けるはずもなく、彼との関係はどんどん悪化していった。ある日、いつもやる気のない彼が別部署のメンバーとはとても楽しそうに自ら仕事をしている姿を見て、私はようやく気がついたのだ。彼の能力と自発性を奪っていたのは、他でもない私自身だったということに。

■やり方は人それぞれ。自分の方法が正しいとは限らない

ちょうどその頃、自分の妊娠が判明した。どうしたって来年は彼の面倒を見られない。それならば、いっそ今から「私は既にいないもの」として彼に仕事をしてもらったほうが良いのではないか。もちろん最初は、彼は絶対に失敗すると思ったし、場合によっては取り返しのつかないことが起きるかもしれないと思った。

ただ、私が育児休暇に入ってから問題が起きるよりはマシだと考え、彼とも話し合った上で、今後はどうしても助けが必要なときだけ声をかけてもらい、基本的にはすべて自分で仕事をしてもらうようにした。そうしたら驚くべきことに、何も問題が起こらなかった(笑)。

客先の担当者にすべてをお膳立てしてもらいながら案件を進める彼を見て、心の底から感心したこともある。そう、人にはそれぞれに合ったやり方というものがあり、決して自分のやり方が正しいわけではなかったのだ。そこからは最悪だった彼との関係も、彼自身の仕事のクオリティも、劇的に改善していった。

■相手を信じて、任せてみることの大切さ

このとき私は、子育てや家庭の運営も同じなのではないかと、ふと思ったのだ。母親であり妻である女性は、家庭内での育児や家事においてはどうしてもリーダー格にならざるを得ない。そのときに以前の私のように、すべてを自分色に染めようとしたり、あれこれ口や手を出したりしてばかりでは、やはりうまくいかないのだ。

相手を信じて任せる、相手のやり方を尊重する。このようなアプローチは、夫との協力体制の構築においても、子どもとの接し方においても、とても大切なポイントなんじゃないかと気づいたのである。

とくに母親は子供に対しては、「失敗させたくない」という親心からついいろいろと手を出してしまいがちだ。一方で、世の父親は結構、子供に危ないことを平気でさせたりする。でも、このような「失敗するとわかっていても本人のやりたいようにさせ、失敗を通して自ら考えさせる」
という接し方こそが、本当の意味で人を成長させるものなのではないだろうか。

■他人は自分の思い通りには動かない、が大前提

夫に対しても同じである。男性に家事や育児を任せると雑すぎて驚くことも少なくないが(笑)、ここで夫を尊重し「これでも案外、なんとかなるものなのね」ということを、逆に私たち女性が学ぶことだってできるのだ。そうすることで夫との関係性も良好になるし、不要なルールに縛られていた自分自身に気づけたりもするだろう。

そんな具合に、よく言えば「信頼して任せる」悪く言えば「放任」をしていたところ、育児が得意な夫とすべてを自分でしたがる1歳8ヶ月の娘が育ち、私はとても楽ができている。まさに部下の教育と同じである。

「他人は自分の思い通りには動かない」

頭ではわかっていても、その通りに人と接するというのは、本当に難しい。しかし結婚生活や育児において、これは必ず乗り越えなければならない壁だ。私が5年間一度も夫と喧嘩したことがないのも、1歳8ヶ月になる娘に対し一度もイライラしたことがないのも、すべてあの管理職経験を通じて気づき、学べたことだと思っている。このように管理職経験は、多くの女性の人生にとっても確実にプラスになるものだと思うので、チャンスがあるならぜひチャレンジしてみてほしい。

小田桐 あさぎ

株式会社アドラブル代表。女性の魅力を覚醒させる講座や各種セミナーの主催、新時代のワーキングマザー像を提唱する執筆・講演活動などに幅広く取り組んでいる。一児の母。趣味は美味しいご飯とお酒と共に、夫や友人と人生について語り合うこ...

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