喜田 直江 さんが 2016/12/14 に更新
「ヒダ、大きくない?」女性器の悩みやコンプレックスを深刻化させる一言

「ヒダ、大きくない?」女性器の悩みやコンプレックスを深刻化させる一言

女性器に悩みやコンプレックスを持つ女性は、何を機にそれらを深刻化させてしまったのでしょうか。今回は、身近な人や信頼している人からかけられた何気ない一言がグサリと刺さって、「私の女性器は普通じゃないのでは……」と悩むようになった例をご紹介します。

女性器 コンプレックス セックス

「女性器の悩みやコンプレックスは解消できる」「臭い、黒ずみ、ヒダの大きさ……女性器の悩みやコンプレックスはどう解消する?」に続き、今回は周囲の人たちからの何気ない一言で、女性器の悩みやコンプレックスを深刻化させてしまった女性たちのケースを紹介します。

■「元彼に引っ張られたの?」

「前から聞こうと思ってたんだけど、アソコ、元彼に引っ張られたの?」

付き合い始めて3ヶ月の彼にそう聞かれたというのは、20代半ばのAさんでした。

彼女自身、小陰唇のヒダが普通より大きめかもしれないという自覚はあったものの、人と比べることができないために「異常なほど大きいとは思わなかった」と言います。診察してみると、彼女の言うとおり、異常というほどではありませんが小陰唇のヒダはやや大きめでした。Aさんは言います。

「彼に悪気があったわけではなく、『ごめん、ごめん。ひどいよな。(元彼は)そんなに引っ張らなくてもいいのに。気にするなよ』と同情の言葉をかけてくれました。でもそんな事実はなく、私はヒダの大きさを指摘されたことに愕然とし、落ち込んでしまいました」

そしてその後、性器を彼に見られるのがイヤになり、だんだんと(セックスを)拒否するようになったそうです。結果、交際5ヶ月で破局を迎えてしまったそう。お付き合いをしていた最後の1ヶ月は彼から求められてもまったくセックスができなかった彼女。

彼にとっては何気ない一言だったと想像できますが、そこから彼女のコンプレックスは本格的に始まったのです。

■「ヒダが大きくて、やりづらい」

「お前のは、今までの彼女たちと違うんだよな」

とつぶやかれたという20代後半のBさんは、「私のアソコが人と違う?」と、それまで無自覚だったゆえに不安になったそうです。「え?」と聞き返すと、「いや、気にしないで」と彼。しかし、聞いてしまった以上は気になって彼氏を問い詰めたというBさん。

「私のはヒダが大きくてオーラルセックスがしにくいと言われました。そんなふうに感じていたのか、と思うと体から力が抜けて無気力に。普通と違う気持ちの悪いアソコを見なきゃいけない、触れなきゃいけなかった彼に申し訳ないという気持ちと、もう二度とアソコを誰にも見せるわけにはいかないという気持ちで頭が混乱しました。私のほうが頑なになってしまい、どうしても彼を受け入れることができませんでした。おおげさですが、女性であることをやめたいくらいの気持ちだったと思います」

彼は、最後まで歩み寄ってくれたといいますが、最終的にBさんは別れを選びました。
 

■出産後に膣のゆるみを感じる女性は珍しくない

クリニックを訪れる女性にカウンセリングをしていると、女性器コンプレックスの一端は医師にあるのではないか、と同じ医師として恥ずかしく、憤ることがあります。

たとえば出産後、膣のゆるみが気になる女性は多くいます。「尿漏れをするようになった」「お風呂からあがるときに膣から水が溢れた」「便の切れが悪くなった」「おならが止まらない」「尿から漏れる空気の音が気になる」など、その症状はさまざまで個人差はありますが、出産を経験すれば誰でも膣はゆるんでしまいます。出産をしても膣の入口の大きさはさほど変わらないのですが、内側がどうしても広がってしまうのです。

これは出産した子供の人数にもよりますし、初産の年齢にも影響があるようです。3人出産してもそれほどゆるみを感じない人もいますし、1人を出産してもずいぶんとゆるんでしまう人もいます。

若いときに産んでもゆるみが気になる場合もあれば、いわゆる高年齢出産でもそれほどゆるみを感じない人もいて、そのケースは実にさまざまです。いずれにしても、そうした悩みは、女性にとっては切実です。

■婦人科に相談するも、スタッフの心ない言葉でコンプレックスが悪化

女性器コンプレックスに陥るタイミングは、検診や婦人科診療にもあります。30代後半のCさんも医療機関での一言がきっかけでした。

「生理痛がひどくて病院に行って診察を受けました。筋腫か、最悪がんの危険性もあるということで内診をすることに。そのとき、先生が『あっ』と言ったんです。なんだろう?  見た瞬間に何かわかることがあるのかな? それとも何か腫瘍みたいなものが見えるとか? と思ったのですが、内診は終わり、支度をしていると看護師さんが小声で話しているのが聞こえました。『色がけっこうくすんでいて、ヒダがベロンベロンなんだって』。え?  これって私の話? と耳を疑いました。違ったのかもしれませんが、先生の『あっ』というつぶやきと看護師さんたちの会話がリンクして、絶対に私の話をしている……としか思えませんでした」

思い出すだけで「震えるほど、悲しい気持ちになります」とつらい体験を語ってくれたCさん。診察の結果、彼女の生理痛は重篤な病気を引き起こすものではありませんでしたが、代わりに心に深い痛手を追いました。

■なんとなく感じていたコンプレックスが、医療現場で浮き彫りに……

Cさん以外にも「婦人科にがん検診に行って、何気なく見たパソコンのカルテ画面で所見を『大きい』と(医師が)書いているのを見てしまいました」という経験をした人もいます。そんな所見は医療に関係ありませんから、同じ医師の立場としてこの行動はあり得ないと思いますが、これもまた現実です。

うすうす感じていたコンプレックスの輪郭を、医療現場ではっきりとさせてしまう――。残念ですが、医療現場には、心に痛みを持ってしまうような危険がいっぱいなのです。

実は、女性器コンプレックスが原因でがん検診に行けない女性は、想像以上に多くいます。セックスができない、自分に自信が持てないなども非常に悲しい現実ですが、コンプレックスによって、検診を受けられずに見つかるべき病気が見つからない、場合によっては命に関わることもあると思うと、医師としてどうにかしなければと深く思います。

30代半ばのDさんは「私のアソコはちょっとゆるめなのかな、と思うんです。というのも、今までの彼がみんななかなかイカない。遅漏っていうんですか? 全員がそうって、多分私のせいなのかなぁと思って。友達にも相談してみたけれど、気にすることないと……」

■ナーバスな悩みゆえに、誰にも相談しづらい現実

膣のゆるみの問題もまた、人とは比べられないゆえに自分指標になりがちです。加えて、非常にナーバスな問題ゆえに、他のコンプレックス同様、誰かに相談しづらい悩みでもあります。

ゆるみは、実は機械で検査できます。アメリカやヨーロッパの女性たちは、日常的に女性器の相談をし合うと聞いたことがありますが、日本では、こうした話は、相談するほうも、相談されるほうも、後味の悪い話になってしまいがちなところも悲しい現実です。

ある部分では家族より近しい女友達にも、なかなか理解されない女性器コンプレックスですから、ましてや家族に相談をするのは非常にハードルの高いこと。家族だからこそ話しづらいこともたくさんあります。

次回4回目のコラムでは、これらコンプレックスを手術によって克服した女性たちのエピソードをご紹介します。

Text/喜田直江
平成13年京都府立医科大学卒業後、産婦人科医として多数の分娩・手術症例を経験。平成15年形成外科医として、形成外科の基本から縫合の技術まで幅広く習得。平成18年大手美容外科にて美容外科・美容皮膚科全般を習得。とくに婦人科系の美容手術は、日本でも有数の症例数を誇る。平成23年10月、東京都中央区銀座でなおえビューティークリニックを開院。日本形成外科学会会員、日本性科学会会員、ビビーブ認定医、ウルトラヴェラ指導医。著書に『女性器コンプレックス 愛する人と交われない女たちの苦悩』などがある。

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