森林 原人さん×はあちゅうさん対談・後編「セックスとお笑いは似ている。受け手がのめり込んで、反応すればいいセックスになる」

森林 原人さん×はあちゅうさん対談・後編「セックスとお笑いは似ている。受け手がのめり込んで、反応すればいいセックスになる」

森林 原人(もりばやし げんじん)さんとはあちゅうさん対談の後編。男女にとって普遍的なお悩みのテーマともいえるセックス。今回も、8000人の女性とセックスをしてきた人気AV男優・森林 原人さんをゲストに迎え、セックスで幸福になるためのヒントについて哲学的観点で語っていただきました。


■レス解消のカギは、セックスしたら「都度忘れる」こと

はあちゅう(以下、は):前回は、セックスを家庭に持ち込むことの難しさについて森林さんの見解を伺いました。

森:あれは僕の真面目な意見ですけど、僕たち男優が「じゃあ外にセフレをつくればいいじゃん」って気軽に言っても、それは現実的ではないとも思うんですけどね。

は:一般的な感情としては、パートナーに裏切られたってことになりますしね。他の相手とセックスをする以外に、セックスレスの解消には何が必要だと思いますか?

森:前提として、双方にセックスレスを解消したいという気持ちがなければ難しい。まずは少しでもいいから、残り火みたいなものに訴えかけていくしかないですね。それを踏まえて1つ目は、セックスをしたら、その都度忘れること。

は:忘れてしまっていいんですか?

森:前向きな意味でね。良かったセックスも悪かったセックスも忘れる。良かったセックスを思い出すと、ちょっと前と違ったとき「あれ?」と思ってしまうし、悪かったセックスを覚えていると「もうしたくない」ってなるでしょ。だから、この瞬間のセックスにのめり込むことだけに集中する。そして終わったら、またスッと日常に戻っていく。そうすると翌朝には、なんとなくお互い機嫌よく過ごすことができたりするんです。

は:なるほど。ほかには何がありますか?

森:ストライクゾーンを増やすこと。加点方式で考えて、どんどん年をとっていく相手を年々良くなっていってる、というように捉えていかないと、若い人のほうがいいってなっちゃうから。長く一緒にいると精神的には愛着が増えて愛しさが増していくと思うんですけど、肉体面でも相手に興奮できる点を増やしていくこと。出産してしぼんだおっぱいもまたいいね、とか。あとは、できるだけ習慣づけをして、毎週日曜日の午前中にセックスをする、と決めるとか。間が開いてしまうと面倒になるし、どんどんきっかけがつかめなくなってしまうんですよ。

■愛は瞬間的な状態の積み重ね

は:週に1回はしたほうがいいっていうのは、セックスという行為が愛の誓いを意味する、ということになりますよね?

森:うーん……。矛盾するようだけど、セックスを愛の誓いと考えること自体が、前編で言った「思考優位」になっちゃっていますけどね。僕は愛っていうのは、結婚届けにサインをするみたいな約束ごとじゃなくて、瞬間的な状態の積み重ねだと思っているんですよ。

は:愛は瞬間的な状態の積み重ね……! メモしますね!

ペンとノートを取り出して書き出すはあちゅうさん


森:セックスによって、瞬間的に「愛」という状態になれると僕は考えていて。でもそこで未来が保証されたと考えちゃうと、依存になってくる。セックスに意味づけをすることで、純粋な行為ではなくなってしまうんです。愛っていう状態を目指してセックスしようとすると愛にはなれないけど、セックスがしたくてセックスをすると愛になれる。

は:なんだか哲学的ですね……。

森:たとえば、そこまで好みのタイプじゃないのに、言葉には言い表せないけどなぜかこの人に惹かれちゃうみたいな人がいるとして。その人とセックスをして心地良ければ「あれ、この人好きかも?」みたいな感じで高まっていけるんです。さっき話したセックスレス解消のための習慣づけも、きっかけは義務っぽくて面倒でもいざ始めてみたら雪崩式に「嫌じゃないかも、気持ちいいかも、愛しいかも」みたいに高まっていける。

は:確かに、そうかもしれません。

森:映画やドラマの中で描かれる、優しさに溢れた愛の証っぽいセックスがみんなのイメージとしてあると思うんですけど、それは絶対じゃなくて。セックスそのものに2人でのめり込めれば、どんなかたちでも最終的に一体感や全肯定感を得られると思うんです。

■セックスの盛り上がりを決めるのは受け手側

は:その瞬間にのめり込むことが大事なんですね。ちなみに森林さんは、いいセックスってどんなものだと思いますか?


森:これは男女関係なく、「反応すること」ですよね。セックスの盛り上がりを決めるのは受け手側なんです。芸人さんに聞くと、同じ話をしてもお客さんのノリによって盛り上がり方がガラッと変わるそうですよ。同様に、セックスでも受け手側の反応次第で、攻め手側も盛り上がれたり萎えたりする。そのために必要なのが共感力です。セックスにおける共感力とは、自分の快感を素直に表現したうえで、相手を思いやる想像力のことです。サービスをしているだけじゃなく、自分もその行為にのめり込めるかどうかで、セックスの盛り上がり方は何倍にも変わってきます。

は:一方だけがんばっても、盛り上がらないということですね。

森:もちろん。僕は女性からセックスの相談を受けるコラムを連載しているんですけど、本当は片方だけじゃなく、カップルで同じ話を聞いてほしいんですよ。セックスの価値観は人それぞれ違うから、ある程度一致させておかないとどんどんズレていっちゃうんです。相手の提案も受け入れつつ、自分の話もしつつ……ってなれたら、初めてお互いが楽しめるセックスができる。ただし、共感したからといって相手のすべてをわかったつもりにならないこと。セックスは孤独の克服につながるけど、孤独を完全に克服することはできないと知っておくことが大切です。

は:よくわかりました。森林さんはいま37歳ですよね。今後の目標としては、どんなことを考えていらっしゃいますか?

森:男優としての寿命って、最近の傾向では50歳くらいまで延びているんです。だからその後、残りの人生をどう過ごすか、っていうことなんですけど。この仕事に就いたことで、社会的信用とか仕事の選択肢は狭まったけど、代わりに得られたものは大きいなと思っていて。

は:他の仕事では絶対に得られない、特殊な経験ですものね。

森:だから、プレーヤーとしてパンツを脱ぐことがなくなっても、性との向き合い方、セックスと人間の関わり方について、人生を通して追求していきたいですね。AVを制作する側にまわるのか、資格を取ってカウンセラーになるのか、まだ具体的には決まっていないんですけど。世の中にはセックスをこじらせて悩んでいる人が本当にたくさんいる。そこに、ニーズはあると思っています。セックスってどんなに賢いヤツにも難解だし、弱っているときには優しいから、みんな他人事じゃいられないはずなんで。家庭のなかで、カップルの間で、もっとちゃんと向き合ってセックスについて話せるような環境をつくるべきだと思っていますし、そのための手助けができるなら本望ですね。


(完)

構成=波多野友子

■森林 原人(もりばやし げんじん)さんのプロフィール

1979年5月26日生まれ。37歳。AV男優歴17年。
モテない鬱屈した人生に嫌気がさしAV男優に応募。20歳から37歳に至る現在までAV男優一筋。出演本数1万本。経験人数8千人。巨根で、セックスするとすぐに好きになっちゃう性分から“純情バズーカー”と言われる。趣味は読書、好きな作家は池田晶子。初の著書『偏差値78のAV男優が考える セックス幸福論』を6月15日に発売。

Twitter:https://twitter.com/avmoribayashi

■はあちゅうさんのプロフィール


ブロガー・作家。慶應義塾大学法学部政治学科卒。在学中にブログを使って、「クリスマスまでに彼氏をつくる」「世界一周をタダでする」などのプロジェクトを行い、女子大生カリスマブロガーと呼ばれる傍ら、レストラン、手帳、イベントをプロデュースするなど、幅広く活動。2009年電通入社後、中部支社勤務を経て、クリエーティブ局コピーライターに。2011年12月に転職し、トレンダーズで美容サービス、動画サービスに関わる。2014年9月からフリーで活動中。
月額課金制個人マガジン「月刊はあちゅう」、オンラインサロン「ちゅうもえサロン」「ちゅうつねサロン」などを運営。著者に『疲れた日は頑張って生きた日 うつ姫のつぶやき日記』(マガジンハウス)、『とにかくウツなOLの、人生を変える1か月』(KADOKAWA/角川書店)、『自分の強みをつくる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)『恋愛炎上主義。』(ポプラ社)『半径5メートルの野望』(講談社)など。雑誌、オンラインメディアなどでの連載多数。催眠術師資格を保有する。

ブログ:http://lineblog.me/ha_chu/
Twitter:https://twitter.com/ha_chu

この記事のライター

人生を自分らしく楽しむ大人の女性たちに、多様な生き方や選択肢を提案します。

関連する投稿


発信者は「万人に好かれよう」と思わなくていい【ジルデコchihiRo×渋木さやか 対談】

発信者は「万人に好かれよう」と思わなくていい【ジルデコchihiRo×渋木さやか 対談】

ジャズバンド「JiLL-Decoy association」のボーカルを務めるchihiRoさんがホスト役となり、同じく「ものづくり」に携わる方を招き、ものづくり、クリエイティブをテーマに語らう本対談企画。第5回では、ヨガライフアドバイザーの渋木さやかさんをお招きしました。


コンプレックスは隠さず、笑いに昇華するのも“芸風”です【主婦ブロガーこだまさん】

コンプレックスは隠さず、笑いに昇華するのも“芸風”です【主婦ブロガーこだまさん】

私小説『夫のちんぽが入らない』で鮮烈なデビューを飾った主婦ブロガーのこだまさんが、新作『ここは、おしまいの地』を上梓。自身が“おしまいの地”と呼ぶ集落に生まれ育ったこだまさんに、田舎やコンプレックスをテーマにお話を伺いました。


セックス嫌いな男性っているの? 実は最近増えてます

セックス嫌いな男性っているの? 実は最近増えてます

「セックスが嫌いな男性っているの?」と疑問に思う女性は多いかもしれませんが、実は最近「セックスが嫌い」と公言する男性が増えているのです。「男はセックスがしたい」というイメージが強いですが、なぜセックス嫌いの男性が増えているのでしょうか?


「落語」という男社会で道を開く――日本初の女流落語家・露の都さんインタビュー

「落語」という男社会で道を開く――日本初の女流落語家・露の都さんインタビュー

華やかな着物で高座に上がり、噺ひとつで客席に笑顔が咲く――。日本初の女性落語家として活躍する露の都(つゆのみやこ)さん。男の世界であると言われていた落語界に入門し、今年3月で芸歴44年を迎える。女性としてどのように仕事に向き合ってきたか、話を聞いた。


セックス嫌いな女性が苦手を克服する方法

セックス嫌いな女性が苦手を克服する方法

セックスが嫌いだと感じている女性は、意外と少なくありません。今回はセックスが嫌いになってしまう理由を自己分析し、セックス嫌いを克服する方法をご紹介します。セックスに抵抗を感じる女性は、ぜひ参考にしてみてくださいね。


最新の投稿


出産後の出張はどうしている? 先輩バリキャリママに話を聞いた【アラフォーで産む#7】

出産後の出張はどうしている? 先輩バリキャリママに話を聞いた【アラフォーで産む#7】

外資系企業勤務の私が出産後も仕事を継続する上で一番のハードルになるのが、出張について。今回は先輩ママに「いったいどうしているの?」をテーマにお話を聞きました。


開運力のある手相「向上線」&「希望線」で夢をつかむ!

開運力のある手相「向上線」&「希望線」で夢をつかむ!

手相で「開運」を表す線の代表といえば「向上線」と「希望線」です。どちらの線も、開運して成功をつかむことができる運をもっています。向上線では開運の時期がわかりますので、その時期を目標にして頑張りましょう。希望線は夢をもつことで開運力が高まります。まずは夢や目標を見つけましょう。


汚いものを吐き出した分だけ愛されなくなる

汚いものを吐き出した分だけ愛されなくなる

同性に好かれるのは一体どんな女性なんだろうか。難しいことは考えなくていい、実はとても簡単なこと。でも、その簡単なことができないから、みんな悩んでいる。


デキる女が実践する! 職場での「話し方」4つのポイント

デキる女が実践する! 職場での「話し方」4つのポイント

職場ではいろんな立場の人とうまく協力関係を築いて仕事を進めていく必要がありますよね。でも、人によってコミュニケーションの取り方も違うし、難しいと感じる人も多いと思います。今回は、相手の立場とシチュエーションによって変えるべき話し方や行動のポイントをご紹介します。


【心理テスト】彼に贈りたいネクタイのデザインでわかる束縛度

【心理テスト】彼に贈りたいネクタイのデザインでわかる束縛度

今回は、彼にプレゼントしたいネクタイのデザインから「あなたの束縛度」がわかる心理テストをご紹介いたします。女性が男性に贈るものとして、今も変わらず愛されているが「ネクタイ」ですよね。実は、どのネクタイのデザインを選ぶかによって、あなたが彼をどれだけコントロールしたいかがわかるのです。