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完ぺきを目指すのはやめよう。「パタニティーブルー」に陥らないために

多くの人は「マタニティーブルー」という言葉を耳にしたことがあるはず。これと対をなす形で、男性を対象とした「パタニティーブルー」現象もあります。でも、それを避ける方法はあります。28歳にして三児のパパである西村創一朗さんが解説します。

完ぺきを目指すのはやめよう。「パタニティーブルー」に陥らないために

「かっこいいお父さんになりたい!」
自分自身の父親に対する反骨心からか、幼い頃から「良いお父さんになりたい願望」が強かった筆者。その思いが高じて(?)「19歳で父親になった」僕も、気づけば28歳の誕生日を迎え、長男は小学2年生、次男は4歳半になり、今年2月には長女が生まれて「3児の父親」になりました。

19歳で父親になったときはもちろんですが、社会人になってからもずっと同年代で既婚・子持ちはほとんどおらず、寂しい思いをしていましたが、ここ1~2年は学生時代の友人や会社の同期などを中心に、同年代の結婚・出産ラッシュが続いています。

やっぱり同年代に「パパママ」が増えるのは嬉しいことで、結婚・出産のニュースをFacebookやLINEで知る度に喜んでいるのですが、「お父さん9年生」であるせいか、「新米パパさん」から相談を受けるケースも少なくありません。

■マタニティーブルーの男性版があるって知ってた?

最近の悩みの中でも圧倒的に多いなと感じるのは、いわゆる「パタニティブルー」現象。
出産後の女性が、突然悲しい気持ちになったり、わけもなく涙が出たり、不安で眠れなくなったりするなど、情緒不安定な気持ちになることを「マタニティブルー」と言いますが、いわばその「お父さんバージョン」です。「父性」を意味するPaternityとBlueを組み合わせた造語ですね。

「待望のわが子が生まれて幸せ!」なはずが、なぜか気持ちが落ち込んで、ユーウツな気持ちで胸が一杯になってしまう。一体どうしてこんなことになってしまうのでしょうか?

その理由は様々ですが、赤ちゃんが生まれたことによって、急激に環境が変化したことにココロやカラダが追いつかない場合に発症してしまうのだとか。オーストラリア国立大学の研究チームがまとめた調査によれば「パタニティブルー」の発症率は10人に1人と、日本人女性の2人に1人は発症すると言われる「マタニティブルー」に比べれば低いですが、近年「とある理由」で増加傾向にあるそうです。

■「意識高い系パパ」こそパタニティーブルーに陥る罠

その理由とは「イクメンブーム」です。もはやブームは過ぎ去り、20代から30代前半の男性にとっては、「男性も育児を楽しむのはあたりまえ」という価値観が浸透しつつありますが、長時間労働が常態化していたり、有給休暇すら取れない職場環境で、なかなか子育てに時間が割けていないのも事実。個人の意識やライフスタイルの変化に、カイシャがまだまだ追いついていないということですね。

「これからはオトコも子育てしなくちゃね!」と男性の意識は高まっている一方で、職場の意識は「お父さんになったなら、ますます仕事を頑張らないとな! ガハハ!」と完全にミスマッチを起こしている状態。
 
「理想の父親像」はどんどん高くなっているのに、実際のジブンは全然子育てに時間を割けていなくて、無意識に奥さんに対し「子育て、全然手伝えてなくてゴメン」と口走ってしまい「手伝う!? その程度の意識だからダメなのよ!」と火に油を注ぐ始末。

この「理想と現実のギャップ」に苛まれて、どんどん自分で自分を追い込んでしまい、気づけば「うつ」に近い状態になってしまう。こうして「パタニティブルー」に思い悩むパパ1年生の男性が増えているなと感じるのです。

■自然体で「笑顔で過ごすお父さん」が一番!

そんな同世代の男性たちからの相談に対して、いつも決まってお伝えしていることが、「無理はしないで。自然体で笑顔のお父さんでい続けることが、何よりも大事なことだよ」ということ。「何だかつらいな」と思ったら、ありのままに奥さんに「つらいんだ」と打ち明けてみましょう。

仮に意識に行動が伴っていなかったとしても、「そこまで私や子どものことを思ってくれていたんだ」と嬉しく思ってもらえるもの。無理せず、できる範囲で役割分担を明確にして、パパもママもカンペキは目指さず、良い意味で適当な自分を許してあげましょう。

そうするうちに、少しずつ気持ちがラクになってきて、「パパニティブルー」から晴れて卒業できます。「出口のないトンネル」はないのです。

「意識高い系パパ」であることはとても良いことです。でも、掲げた理想が高すぎるあまり、自分で自分を追い詰めてしまって、男性が暗い表情をしていたら、悲しむのは奥さんと子どもですよね。それでは本末転倒です。

「仕事も子育ても両立しているカッコイイパパ」という理想の状態をいきなり目指すのではなく、少しずつ少しずつ、階段を上っていけば良いのです。かくいう筆者自身も、まだまだ理想の状態には程遠いですが、「これでいいのだ」と思っていたりします。
もし、みなさんの周りでなぜか表情が暗い新米パパさんがいたら、ぜひ「子育て頑張ってね!」ではなく「無理しすぎないでね!」と声をかけてあげてくださいね。

西村 創一朗

1988年、神奈川県生まれ。首都大学東京法学系を卒業後、2011年に新卒で大手人材総合会社に入社し、現在は採用担当・新規事業企画を兼務する。本業の傍ら「二兎を追って二兎を得れるよのなかをつくる」をビジョンに掲げ、2015年に...

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