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DDTプロレス観戦【DRESSな女の初体験 #1】

プロレスブーム再燃か、といわれる昨今。プロレス好き女子(通称:プ女)も増えているという。実際どんなものなのか、『プロレスという生き方』を読んで気になった編集長・池田がDDTプロレスの興行を観戦してきた。

DDTプロレス観戦【DRESSな女の初体験 #1】

年齢を重ねるごとに趣味嗜好は確立されてゆく。そうなると新しいものに手を出さなくなってしまうことも。「私は◯◯には興味ないと思う」と決めつけたり、食わず嫌いをするのはもったいない。「大人として初体験を楽しむ」をテーマにお届けするシリーズ企画です。第1回目はプロレス観戦。

5月29日、後楽園ホールにDDTプロレス主催の「Audience 2016」を観にいった。人生初のプロレス観戦である。

この日、何度も驚くことになるのだけれど、まず最初に目についたのは女性客の多さ。しかも、きちんとした一眼レフを構えて、真剣に写真を撮っている女性が目立つ。近年のプロレスブームとはこのことか、とリアルを見た気がした。

2つめの驚きはしっかりつくり込まれた映像が流れること。リングでは「前説」が行われ、いよいよオープニングというときに、スクリーンに映像が映し出される。カッコいい。どうやらDDTプロレスには映像班がいるそうだ(帰宅後、DDTプロレスの公式You Tubeを見ると、同団体を率いる高木三四郎社長がそう話していた)。

3つめの驚きは選手が入場し、リングに上がる度に場外からリボンのようなものが投げられること。どんな仕掛けかわからなかったのだけれど、それが空中でフワーッと広がり、舞い、色鮮やかで美しいのである。選手のイメージカラーや好きな色にもとづくのか(?)、一人ひとり色が違うのも興味深い。こちらも後でググるとリボンではなく、紙テープだった。

とにかくたくさんの紙テープがリング内でわしゃわしゃと絡まり、それをリングの周りで控える練習生とおぼしき若手たちがものすごい速さで回収する。中にひとりグレーのTシャツを着た目立つ若者(Tシャツの上からもたくましい背中だと見てとれる)がいて、彼の動きが本当に手慣れたものというか、神業レベルに素早くて、選手がいない瞬間は彼の動きに見惚れてしまうほどだった。腕を回転させてかき集めた紙テープはリングの下にそっと押し込むことも知った。なんだか見るべきポイントがありすぎて飽きさせない。

4つめの驚きは戦う場所はリングの上だけではないし、いろいろな戦いかたがあるということ。有名な男色ディーノ選手が登場した第二試合では、各選手らが会場内の任意の場所で戦い始める。客席の間で戦う選手たちもいた。メインイベントとなるKO-D無差別級選手権試合では、ベテラン・佐々木大輔選手と若手・竹下幸之介選手が戦う(休憩時間にDDT公式サイトを見ながら、前半に登場した選手の復習と後半に登場する選手の予習をした)。リング外、観客席の椅子に座らされた竹下選手の上へ、リングから佐々木選手が技をキメるシーンも。その間、観客はリングアナウンサーの「移動してください」要請でよけたり、移動したりする。そのぶんかなり間近で試合を見ることができるのだ。

ちなみに今回、何一つ予習せずにいきなりプロレスを観にいったわけではない。TBSラジオ「荻上チキ・Session-22.」に『プロレスという生き方』を上梓した三田佐代子さんが登場されていて、そのトークを聞いて「プロレス、おもしろそう!」と思い、早々に著書を買って予習したのがきっかけだった。分量や取り扱いテーマ、わかりやすい説明は、プロレスの知識ゼロの女性が「入門書」として読むのに最適だと思う。読了後、ふつふつと興味がわいていたし、プロレス団体にも音楽業界のようにメジャーとインディーがあると知り、中でもDDTという団体の興行を見たくなり、足を運ぶにいたった。

まだたった一回しか見ていないし、一団体の興行しか見ていない。ほとんど何も知らないに等しい。それでもまたDDTの興行を見たいし、他団体のも見てみたい。初めて見たプロレスがエンタテインメント性、ストーリー性あふれるものだったから、またそこにふれてみたいと思えるのだろうし、試合後丸1日経ったのにあのときのワクワク感が持続しているのだろう。

プロレスラー特有の隆々とした筋肉でおおわれた分厚い体や、動きによって筋肉の盛り上がりかたや見えかたが変わる面白さ、それを「美しい」「優美」と感じるのも大きい。

映像と音楽、リアルでの戦い、その場をつくり出す観客の反応……すべてが融合されて生まれるコンテンツがあると知った。それがプロレスなのだ。初めて見たDDTプロレスはそうだった。

現地に行ってみなければ見えないこと、わからないこと、感じられないことはたくさんある。そこに行ったから発見がある。だから、次の週も、わたしはまだ見ぬ世界にふれるため、外に出ていくと思う。

写真提供:株式会社DDTプロレスリング

池田 園子

DRESS編集長(2016年1月〜2020年1月)。

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