女を磨く離婚道 #5 離婚は「大好き」が「嫌い」に振れて起きること。

女を磨く離婚道 #5 離婚は「大好き」が「嫌い」に振れて起きること。

離婚というお題を受けて考え込んでいた兎村彩野さん。「結婚とはとても好きになった人と家族になるコト。離婚とはとても好きだった人が嫌いな人になったので家族をやめるコト」。彼女が辿り着いたのは、これほどまでにシンプルな考えでした。


このコラムの依頼が来たとき、過去に記憶がタイムスリップしました。「はて、私にとって離婚とはなんであったのだろうか?」と。

が、どうも思い出そうとすると、どこを切り取って、どう話したらよいのだろうと迷走してしまい、迷走すればするほど、本当の言葉から遠ざかっていくような気がしました。

それならばと、バツイチの友人に連絡をしていろいろな人に会ってきました。だいたい夜にお酒を飲みながら「離婚って何だったんだろうね?」と昔話。皆、離婚して数年、年齢は私と同じくらいか私より上、現在は独身という人々です。

面白いなと思ったのが、どの人と話しても、お酒は美味しく笑って話せること。離婚したときは笑い方すら忘れてしまうほど、全然笑えなかったはずなのに、数年でケロッとして、みんないい笑顔になっていました。たくさん話して、笑って、真剣にうなずいて、そしてグルッとまわって「はて、離婚とはなんであったのだろうか?」に話題が戻ります。

約1ヶ月、たくさんの離婚話を聞きました。その「聞く」という行動の過程で、私の中のぼんやりしていた「はて、離婚とはなんであったのだろうか?」が縁日の型抜きのように、はっきりくっきり見えてきて、このコラムを書く少し前の、ある日の電車の中でついに「あ! そういうことか!」とやっと自分の中の言葉に辿り着きました。

■離婚=大好きだった人が嫌いになったから家族をやめること

「離婚とはなんぞや?」と「結婚とはなんぞや?」とは、実はとても簡単なコトでした。難しく語ったり、上手いこと言おうとしたりすればするほど「本当」から遠ざかるので見失っていただけでした。

結婚とはとても好きになった人と家族になるコト。
離婚とはとても好きだった人が嫌いな人になったので家族をやめるコト。

ただこれだけのすごくシンプルなものだと気づきました。人は皆、誰かを大好きになって結婚します。離婚したくて結婚する人はいないはず。離婚した人たちは皆、最初は相手のことを好きだったんです。でもいつの間にか「大好き」が「嫌い」になっていた。

「大好き」と「嫌い」の間を行ったり来たりしながら、ある日なにかの拍子にぷつんとつながりの糸が切れてしまう。それは我慢の糸だったり、愛情の糸だったり、嘘の糸だったり。どんな糸のつながりかは人によるけれど、ある日、2人の間にあったはずの糸に日々たまったテンション(負荷)が最大値になり切れてしまった。

たぶんこれが離婚の本当の姿なんじゃないかなと思いました。

すごくすごく好きな人がいて、その人と両思いなら、結婚して家族になりたいと思うことは心と身体にとって自然体なこと。なので、好きな人と結婚するのは間違いではないのだと思います。

■結婚で失敗するのは悪いことじゃない

だからといって、結婚は絶対に失敗してはいけないもの、ではないはずです。失敗しても、なにか罰則があるわけでもないですし(いろいろと手続きがあって面倒はあるかも知れませんが)。失敗から学んで次は上手くいくことなんて、世の中にたくさんあるので、2度目の結婚で大きな幸せに気づく人もいる。案外毎回楽しみながら何回も何回も結婚する人もいる。

どれも正解で、どれでもいい。実は、それが結婚なのかもしれません。夫婦の数だけ糸の種類があるんです。「私、この糸が好き」とサラリと言えれば、それは最高の幸せ。結局、自分が糸を好きだなと思うのは自由で、相手が糸を本当に好きかどうかなんてわからないので、私が私の幸せのために「私、この糸が好き」と言い切ってしまうくらいの肩の力の抜け感でよいのだろうなと思います。

ただ、気をつけるポイントはあります。この「すごくすごく好きになる」ときに、損得勘定や欲が入ると、少しずつ好きに歪みが出て、つながる糸に最初からテンションがかかった状態でスタートすることになります。すると、ちょっとした力でも、もともと歪んでいる箇所があるので、どんどん変なテンションがかかり、糸は簡単に切れてしまいます。切れやすい糸を好きだと言い続けるには少し体力がいるので、疲れてしまうかも知れません。

■好きと嫌いは表裏一体。いつだって危うい未来がつきまとう

誰かを好きになるとき。好きと同じ量だけ嫌いになるかもしれない可能性がもれなくセットでついてきます。「絶対に嫌いにならないもん!」と心にロックをかけて無理をするより、好きという気持ちにはいつだって同じ量の嫌いになるかもしれない未来も一緒についてくる。そう思っていると、案外、無理せず好きでいられるのかも知れません。

好きになった人を嫌いになってはダメというルールも実はこの世界にはないので、嫌いになって傷ついてしまったら、とことん嫌いになってもいいし、多分、恨んでも憎んでも悪口言ってもいいんです。誰かのきれいごとなんか忘れちゃいましょう。その人の言葉は強がったカッコいい言葉です。いいんです。すごく嫌いになったということは、ずっと昔にちゃんとすごく誰かを好きだった自分がこの世界にいたという証拠なんですから。素敵なんです。好きも嫌いも。結局はどっちも心が動いたことで起こる変化で、右と左、どっちに振れたかの違いくらいで、根は同じなんです。


この1ヶ月ずっとこの「離婚」のお話を考えていました。きっと書けば離婚笑い話もドロドロ話も出せばいくらでもあるのですが、6回も(!)このコラムを書き直しているうちに全部消してしまいました。まさに難しく余計なことを言ったところで、それは全部すごく好きだった人が嫌いになっただけのことなのです。

嫌いは悪いことじゃない。同じく好きが全部いいことってわけでもない。「嫌い」に「離婚」という言葉を入れて「好き」に「結婚」という言葉を入れてみると、意外とふふふと笑えてしまうのかも。

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この記事のライター

Illustrator / Art Director

1980年東京生まれ、北海道育ち。高校在学中にプロのイラストレーターとして活動を開始する。17歳でフリーランスになる。子ども向けの絵(NHKおかあさんといっしょの「黒ネコダンス」や「ながぐっちゃん」など)や女性向けの絵、アウ...

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