「SHOCHU MAKER’s」 2016 年 2 月 9 日(火)
(鹿児島県)小牧醸造、小正醸造、中村酒造場、長島研醸、村尾酒造、八千代伝酒造、大和桜酒造(宮崎県)黒木本店(大分県)四ツ谷酒造(高知県)無手無冠
≪CRAFT SAKE WEEK@六本木ヒルズ屋台村≫
日時:2016 年 2 月 5 日(金)~14(日) 12:00- 21:00
会場:六本木ヒルズアリーナ
参加費:3500 円(グラス・お猪口・お酒と食事用のコイン 6 枚分)
主催:JAPAN CRAFT SAKE COMPANY
【DRESS焼酎部yukiko 対談】中田英寿氏が語る、國酒を「ブーム」で終わらせないために―CRAFT SAKE WEEK@六本木ヒルズ屋台村
DRESS焼酎部 部長 yukiko(ユキコ) です。
中田英寿さん主催「CRAFT SAKE WEEK@六本木ヒルズ屋台村」の開催 5 日目。私 yukiko は、焼酎スタイリストとして焼酎チーム「SHOCHU MAKER’s」の取材とともに、イベントプロデユースをされた中田英寿さんご本人にもお話を伺うことができました。
サッカー日本代表のご経験を経て、世界各国を旅し、国内外から“日本”を見ている中田さん。現在は「JAPAN CRAFT SAKE COMPANY」を設立し、精力的に活動されています。
その一環として開催された「CRAFT SAKE WEEK@六本木ヒルズ屋台村」は、2 月 5 日(金)~14 日(金)の10 日間で、1 日 10 蔵、計 100 蔵の酒蔵が登場しました。中田さんご本人にイベントの取り組み、蔵元に託したい想い、そして全国の焼酎ファン、お酒ファンに伝えたい想いをお聞きしました。
「DRESS焼酎部」発信のスペシャル版!「CRAFT SAKE WEEK@六本木ヒルズ屋台村」特集 2 本立ての第 1弾です!
★中田英寿氏×「DRESS焼酎部」部長 yukiko 対談★
中田英寿氏が語る、國酒・本格焼酎を「ブーム」で終わらせないために......今、みんなで取り組みたいこと
「CRAFT SAKE WEEK@六本木ヒルズ屋台村」
(yukiko)「CRAFT SAKE WEEK@六本木ヒルズ屋台村」を含め、現在の活動のきっかけを教えてください。
(中田氏)6 年半かけて 47 都道府県をまわり、そのなかで自分自身が大変興味深く感じたのが伝統工芸品や農業、日本酒、焼酎、神社仏閣など「日本の文化」でした。実際に自分の目で見たこと、学んだことを活かして、「日本の文化」を国内外に発信していきたいと考え、それを活動のメインにしようと決めました。
なかでも、酒文化に注目しました。海外で日本食の関心は高まっているのにもかかわらず、お酒に対してきちんとしたブランディングがされていません。だから単なる“SAKE”で終わってしまっています。世界でのマーケットが広がっているのに、ブランドとして“お酒の銘柄”が呼ばれていない現状を見て、「情報」や「教育」という部分が遅れているのでは......と感じました。つまり、それはマーケットのチャンスを逃していることを意味します。さらに、国内の需要を見ても、焼酎も日本酒もまだまだ頑張らないといけない状況です。
(yukiko)日本のお酒「國酒」である焼酎や日本酒を、私たち日本人は以前より“飲まなくなった”とも言われていますよね。その点はどのように感じていますか?
(中田氏)人々がお酒を“飲まなくなった”のではなく“知らなくなった”のだと思います。お酒の飲み方を知らない。だから、きちんと教え伝えていくことで飲む人は増えると考えています。さらに、飲むことだけを勧めるのだけではなくて、きちんと「文化」として伝えていきたくて、今回「CRAFT SAKE WEEK@六本木ヒルズ屋台村」を企画しました。
(yukiko)焼酎や日本酒を「文化」として伝えるために、中田さんが今回のイベントにおいてこだわった部分は何ですか?
(中田氏)まずは六本木という場所です。日本の酒文化に興味のある外国人も多く、たくさんの人が集まる場所です。日本の冬はお祭りが少ないのですが、焼酎は秋から始まる製造期を経て新酒が楽しめる時期ですし、日本酒は今が酒づくりの最盛期。より多くの人にイメージ付けと発信ができる場所として選びました。
そして、本当に自分がいいと思うお酒を選びました。酒器もイベント用に私がすべてプロデュースをして、岐阜県の伝統工芸品・美濃焼を手掛ける仙太郎窯で焼いてもらいました。飲食店も普段なかなか予約が取れないところに出店をお願いしたり、毎日 DJ に出演いただいて会場を盛り上げたり。まずは“場をつくる”ということを非常に大事にしました。
(yukiko)お酒を飲み、知ってもらうための“場をつくる”というのが、今回のイベントのきっかけなのですね。では、「國酒」である日本酒と焼酎は、似ている部分と異なる部分があると思いますが、どのように捉えていますか?
(中田氏)似ている部分としては、芋・麦・米など原料は様々であったとしても、どちらも味覚の部分で“日本食と合うこと”をベースにつくられていますよね。食べるものを中心にお酒の味は決まるものですから。
(yukiko)異なる部分を挙げるとしたら?
(中田氏)一番の違いは、やはり醸造と蒸留、つまり製法の違いでしょうね。ワインやシャンパン、日本酒は“醸造酒”に属します。アルコール度数も 15 度くらいまでとそれほど高くはないので、そのままグラスに注いで食事と合わせられます。
一方、焼酎が属する“蒸留酒”はウイスキーやウォッカなど 40 度くらいあって、醸造酒と比べて度数が高い。
焼酎は一般的に 25 度ですが、ロックで飲むこともできますし、水やお湯で割ることによって日本酒やワインと同じくらいの度数になり、食事と合わせやすくなります。
そして、“蒸留酒”が浸透している国は世界中にたくさんあります。世界規模で考えると、ウイスキーやウォッカ、テキーラ、ラムなどいろいろあって競合は多い分、蒸留酒のマーケットはとても大きいんです。日本食が世界に浸透している現状を見ても、焼酎が世界に出ていけないことはないと思います。
ただそこには、きちんと「情報」や「教育」という意識を持って取り組む必要があります。以前の焼酎ブーム(2004年頃がピーク)は、焼酎が大量に求められて “モノ”としての価値だけで広まってしまった。きちんとした「文化」として世の中に浸透させるには“蔵のストーリー”や“銘柄”だったり、細部を伝える「教育」が必要だと思います。
(yukiko)その部分がしっかりしていないと、一時的な「ブーム」に乗るだけで終わってしまう......ということですね。
(中田氏)だから、今度はちゃんと「文化」として発信する必要があるんです。「文化」にきちんと乗せていくための「情報」や「教育」という部分を強化させて、しっかり発信しないと。私が設立した「JAPAN CRAFT SAKE COMPANY」でも、その観点から「國酒」である日本酒と焼酎を「日本の文化」として発展させるために活動をしています。
たとえば飲食店に入って、単に「焼酎を下さい」と頼むのではなく、やはり“銘柄”できちんと頼まなければ「文化」にはならない。料理や味付けによって合う銘柄も飲み方も変わります。選ぶ「情報」があれば、お酒を飲むことが楽しくなり、需要は高まっていくはずです。
お酒を飲む方々だけではなく、蔵元もエンドユーザーに対して、今以上に分かりやすく提示してあげる必要があります。そうしたら、皆さんが興味を持ちやすくなります。
(yukiko)たしかに「DRESS焼酎部」部員からも、選びにくいから飲んでこなかったという声をよく聞きます。
では、中田さんご自身は、銘柄や飲み方を知りたい時、どのように「情報」を得ているのですか?
(中田氏)私の場合は、蔵元にじかに聞きます(笑)。
(yukiko)その経験を踏まえたうえで、皆さんにおすすめの「情報収集」の仕方はありますか?
(中田氏)焼酎を知っている身近な人に聞くのもいいですし、今回イベント参加している焼酎 10 蔵「SHOCHU MAKER’s」や酒販店は、各メーカーでブログや SNS の発信をしているところも多い。私も現在、日本酒情報検索アプリ『Sakenomy』(サケノミー)を監修していますが、次は焼酎版をつくろうと考えています。こちらでも、焼酎蔵の情報を集約して発信できたらと。
(yukiko)今回のイベントは 1 日 10 蔵の入れ替え制ですよね。参加する蔵元にとっては 1 日限りの情報発信の場です。イベントをプロデュースする側として、蔵元に対してどのような期待を持っていますか?
(中田氏)このイベントでの発信のしかたは色々あると思います。焼酎といっても一般的に芋、麦、米があり、今回は栗焼酎も登場しています。他の蔵との違いをどのように出すのかや、六本木という土地柄を踏まえ海外の方へのアプローチの仕方もあると思います。なかなか予約が取れない飲食店が出す料理に対して、どのようなマリアージュでそれぞれの焼酎を提供するのか。
その層に合った提供の仕方があるはずです。それらを学ぶ場にして、今後に活かしてもらえたら嬉しいです。
これは蔵元だけではなく、サポートに入っている販売店、お客さま、私......会場にいるみんなに通じることだと思います。 “お互いに学べて、つながる場所”にできたらいいかなと。
(yukiko)ブームではなく「文化」にするためにも、みんなに必要な意識なのかもしれませんね。私たち「DRESS焼酎部」も、発足当初から「文化」として浸透させたいと思って活動をしています。そこで、焼酎に興味のある女性に向けて、中田さんのおすすめの楽しみ方を教えていただけますか?
(中田氏)やはり「食事とのマリアージュ」を楽しんでほしいですね。食事に合わせるために、アルコール度数25 度の焼酎をどのように合わせていくか。焼酎はロック、水割り、お湯割りなど楽しむためのバリエーションが豊富です。どんな料理と合わせるかを考えて銘柄や飲み方を決めると、お酒を飲むことが楽しくなりますよね。
お酒と料理の提案は、作り手である蔵元にも力を入れて発信してほしい「情報」です。「うちの焼酎は、この料理に合います」としっかり提案してもらえたらと思います。
(yukiko)実は、私たちエンドユーザーにとって、戸惑ってしまうのが「うちのお酒はどんな料理にでも合います」というコメントなんです。焼酎は食中酒なので、確かにどのような料理にでも合うのは理解していますが、焼酎に関する「情報」が少ない初心者さんほど、肉料理か魚料理かなど何を基準に選んでいいのか分からず“迷子”になるんです。
「DRESS焼酎部」部員も「何を飲んだらいいのか分からなくて、(焼酎部ができるまでは)未知の領域だった」と(笑)。蔵元が丹精込めてつくった焼酎だからこそ、私たちもちゃんと美味しい「情報」を知って、料理ごとにお酒を楽しんでいきたいと思っています。
(中田氏)「情報」の発信がまだ足りないんですよね。皆さんが知りたいと思っていらっしゃるにもかかわらず伝わっていない。この状況をどうするか。私は今、そこに力を注ごうと思って活動をしています。「分からない」をどうやって「分かってもらえる」ようにするか。そこから自分の好きな 1 本を選べる状況をつくるか。
(yukiko)たしかに、好きな銘柄を見つけたら、お酒を飲むことが楽しくなります。私たちももっと焼酎の銘柄や蔵元のことを知りたくなりますし、「國酒」として「日本の文化」として誇りも持てます。
(中田氏)これからは“モノ”を売るのではなく、「情報をどう伝えるか」を基本にして考えていかないといけないと思います。いくら“モノ”を売ったって相手の頭に記憶されなければ「ブーム」で終わってしまう。蔵元は、このイベントで吸収したことを次にどう活かすか。来場された方は、どの銘柄をどの料理と合わせるのか。
その意識を持ってみんなで取り組めば、焼酎も「文化」として定着します。私はそのための“環境づくり“をしていきたいのです。
(yukiko)中田さん、貴重なお話をありがとうございました。「DRESS焼酎部」も、焼酎が「日本の文化」として定着するような活動をしていきたいと思います!
※「CRAFT SAKE WEEK@六本木ヒルズ屋台」 特集 第 2 弾は、中田英寿さんの期待を受けた焼酎 10 蔵「SHOCHU MAKER’s」、私が会場で会った「DRESS焼酎部」“ほろよい女子”が続々と登場予定!どうぞお楽しみに♡
★ DRESS焼酎部 部長yukiko のおこぼれ話 ★
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DRESS焼酎部部長