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女を磨く離婚道 #番外編 ソロ離婚式に出席して。

DRESS世代の女性が執り行った「ソロ離婚式」に出席して気づいたのは、意思を持って決意した女は強く、しなやかで、美しい――そういうシンプルな法則だった。

女を磨く離婚道 #番外編 ソロ離婚式に出席して。

週末、離婚式に出席した。

離婚式とは「これから離婚をされる御夫婦または、既に離婚をされた旧郎様・旧婦様を対象にしたサービスで、ご家族やご友人の前で『再出発の決意』を誓い合う前向きなセレモニー」(オフィシャルサイトより引用)のこと。結婚式の対極にある式だ。

今回出席したのは、離婚式のソロVer.となるソロ離婚式(通称ソロリ)である。その名称の通り、一人で執り行う離婚式だ。式の主役である旧婦(妻)は43歳。25年前に結婚した4歳上の旧郎(夫)との間に、20歳・16歳・2歳の3人の子どもがいる。

出席者は旧婦の十年来の親友たち。シックな色合いの着物に身を包んだ旧婦が入場するシーンから静かに見守っていた。はじめに、離婚式プランナー・寺井広樹さんが、夫婦の離婚の経緯を説明する。その間、旧婦は凛とした佇まいで、ときどき目をうるませるものの、そこには強い光が宿っていた。

第二子誕生から8ヶ月経った頃に発覚した夫の女性問題。それに追い打ちをかけるかのように、仕事を転々とし始めた夫との間で諍いが増え、結婚の意義を見失ってしまう。とはいえ、幼い子どもたちを抱える身で、そう簡単に別れることはできない。旧婦が耐えてきた25年間は、わずか2年余で離婚した私の想像を絶する、長くつらい日々だっただろう。

式中盤では、旧郎署名済の離婚届(2月29日、円満離婚の日に提出)に、真剣な面持ちで署名する旧婦。口元を硬く結び、表情からは決意のほどがうかがえる。続いて、思い出の写真を処分する儀式に移る。夫婦と第一子で撮影した家族写真を出席者に見せながら、ハサミで2枚に断ち切る。ここまでが約15分に及ぶ前半。

軽食タイムを挟んで、後半ではスライドショーが上映される。出会いから交際・結婚を経て、子どもを授かる――そんなどこにでもいる一家の人生を、出席者は30年近く昔の写真を通して疑似体験し、思いを馳せる。最後に「受け取った人は円満離婚できる」というブーケトスをして、約1時間で式は終了した。

結婚の意味とは何だろう。添い遂げる夫婦と途中で離脱する夫婦は何が違うのか。後者の場合、何がどう変なふうに絡まって、当時想像しようもなかった離婚へと、駒を進めてしまうのか……。帰り道、何ともいえないモヤモヤした思いが体に出てしまったのか、視線の先が定まらなくなり、すこしの間、道路にへたり込んでしまった。

当然、各夫婦によって事情は様々である。夫婦が10組いれば、離婚理由は10パターンだ。それと同様に決断する時期も、各自の状況によるところが大きい。人によっては1年未満で終わることも、今回のように25年で締めることもある。

ただ、「終わりにしよう」と決めて動き出したすべての女性に共通するのは、覚悟を持って前だけを見て、過去と訣別しようとする中で、もともと持っている強さが磨かれることだろう。

躊躇いや迷い、モヤッとした思いなどを完璧に断捨離したかのような、旧婦のさっぱりした表情は忘れられない。決意した女は強く、しなやかで、美しい。スライドショーに写った過去のどの写真よりも、彼女はきれいで、輝きを放っていたからだ。

池田 園子

DRESS編集長(2016年1月〜2020年1月)。

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