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夫婦という人生の同僚 後編

夫婦という人生の同僚 後編

たまに友人や仕事先の方から「夫婦で仕事して喧嘩したらどうするんですか?」と聞かれることがあります。喧嘩をしたことはありません。驚かれますが、これからも喧嘩はしないと思います。理由はとても単純で「喧嘩をすると良い仕事ができなくなるから」です。お互いに仕事が大好きなので、その大好きなことができなくなるのは、あまり気持ちの良いことではありません。自然体でいつつ、喧嘩で仕事に支障が出ないようにしています。

喧嘩というのはどちらかに不満があるときに起こるのではないかなと思うのですが、私たちは常に話し合って日々の暮らし方を改善していくので、小さな不満をためたり、片方が我慢したりすることがありません。「だから喧嘩にならないのかな」と分析しています。



 

妥協や諦めとは違い<譲り合い>に近いです。「ここは私の意見を通してもらう代わりに、ここはアナタの意見を通しましょう。」や「ここは2人とも苦手なので辞めましょう」「2人とも欲しいなら買っちゃいましょう」「決まらないので少し保留にしましょう」のような会話をよくします。

<夫婦で一緒に働く>という、少し変わったライフスタイルを選んだ私たちは「一緒に働いて、一緒に生きていきましょう」と決めた日から、会話を大事にしています。

学生時代、親友とどんなコトでも、笑ったり真面目になったりしながら、通学時間・休み時間・放課後・寄り道のファミレス、本当によく話をしていたなぁと思います。あの感じにとても近いです。関係性に損得感情も上下もありません。「夫婦とはこうでなければならない」という学校で習った形や、誰かの噂にとらわれません。「私たちは私たちなのだ」としています。比べようがないのです。

「一緒に働いて、一緒に生きていく」という生き方にはコツがあります。箇条書きにしてみました。

●お互いに経済的・精神的・技術的に自立していること
●家族という他者でいること
●お金は各自でちゃんと管理すること
●困ったら助け合うこと
●常に確認すること
●思い込みかもしれないので相談すること
●お互いを信じること(任せること)
●がんばりすぎたり無理したり我慢したりしないこと
●お互いを1人の人間として尊重し続けること

それぞれの深い話は今後ゆっくり書いていこうと思います。

これらは最初から「ルール」として決めたわけではなく、話し合いながら暮らしやすいように改善していたら、自然と2人の間に生まれていました。2人暮らしから出てきた心地よさを、毎日確認して話し合っているので、言葉にすることができます。言葉にすることで、曖昧だけど大事な関係が作られていきました。「こう思っている・こう感じている」を言葉にして、お互いに確認する。「あぁ! なるほど! そういうことだね。それはいいね」。この感覚は夫婦だけではなく、仕事にも友人関係にも大切だと思っています。

この箇条書きを見ていて、一度目の結婚時代を思い出すと、ほとんどできていなかったので「そりゃ離婚するよなぁ」と思いました。失敗してよかったです。今、<夫婦>という集合体を、こうして客観的に眺めることができるようになりました。1つの成長です。



 

ちなみに。自由気ままにふらふら生きていたバツイチだった私が、今の夫と夫婦になりたいなと思ったのは、お蕎麦屋さんでの佇まいでした。

少し複雑な注文内容だったのですが、店員さんに丁寧に分かりやすく説明をしていました。

<説明が上手な人・的確に話の要点が言える人・誰に対しても丁寧な人>と家族になれたら、毎日色んなコトを話し合って決めていけるから、楽しそうだなとイメージできたのです。

「この人と夫婦になりたいな」という直感とイメージは今でも合っていたなと思います。他の誰とも違う2人だけの人生を、2人で話し合ってデザインしていく。人生をデザインすることには終わりがなく、死ぬまで楽める。なんて幸せな人生なんだろうと毎日思っています。お金や肩書きより、今、この暮らしが愛おしく幸福です。「一緒に働いて、一緒に生きていく」という人生がとても気に入っています。

前編はこちらから

夫婦という人生の同僚 前編
https://p-dress.jp/articles/1365

兎村彩野さんの記事一覧

兎村彩野

Illustrator / Art Director

1980年東京生まれ、北海道育ち。高校在学中にプロのイラストレーターとして活動を開始する。17歳でフリーランスになる。シンプルな暮らしの絵が得意。愛用の画材はドイツの万年筆「LAMY safari」。

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