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派遣法改正で、どうする?

皆さんの中には派遣で働いている人も少なくないと思いますが、今国会で、派遣社員の将来に大きな影響がある「労働者派遣法」の改正案が成立しそうです。これまで、通訳や秘書、ソフトウエアの開発など専門の26業務をのぞいて、企業が同じ職場で派遣労働者を使えるのは、「原則1年、最長3年」という制限がありました。改正後は、専門26業務も含めてすべての業務について、人が変わればずっと派遣社員で対応させることが可能になります。

派遣法改正で、どうする?

皆さんの中には派遣で働いている人も少なくないと思いますが、今国会で、派遣社員の将来に大きな影響がある「労働者派遣法」の改正案が成立しそうです。

これまで、通訳や秘書、ソフトウエアの開発など専門の26業務をのぞいて、企業が同じ職場で派遣労働者を使えるのは、「原則1年、最長3年」という制限がありました。改正後は、専門26業務も含めてすべての業務について、人が変わればずっと派遣社員で対応させることが可能になります。
これは派遣社員からみると、どんな業務であろうとも3年を超えて同じ職場で働けなくなるということ。ただし、同じ会社でも、営業課から総務課に移るなど、課が違っていればOKです。

そもそも、何故、派遣に対し、期限の制限があったかというと、派遣は「臨時的・一時的」が原則で、3年を超えて続く業務なら正社員などで対応すべきだ、という考え方がベースにあるのです。
30年前に派遣法ができた当時は、ごく限られた専門性の高い業務だけが対象でしたが、1999年の原則自由化を経て、対象となる業務が広がりました。

では、何故今改めて法律を改正するかというと、アベノミクスの成長戦略の一環。
業績に応じて、正社員であっても柔軟に解雇できる海外に比べて、日本は解雇に対し厳しい制限があり、それが日本企業の国際競争力を弱めているという見方があるのです。そこで、規制を緩めることで、企業活動を支援しようというのが国の狙い。今後企業は正社員を雇わなくなり、派遣の利用が進む可能性があるので、これは正社員にとっても関係のある話です。

とはいえ、一応、派遣で働く人を守ろうという配慮もあります。
改正案では、派遣元に対し
・派遣先の企業に派遣社員を直接雇用するよう依頼する
・新たな派遣先を提供する
・派遣元自体が無期限で雇用する
といった、雇用安定化の取り組みを義務付けています。

とはいえ、直接雇用を「依頼する」だけで受け入れられるかはわからないし、派遣元が派遣社員を無期雇用するにも限界がある。年齢が高くなれば、新たな派遣先もみつかりにくくなる……といったことで、本当に道が開けるかどうかは疑問。
それどころか、3年を超えると、直接雇用してと頼まれるので、3年未満での「雇止め」が増えるのではないかという懸念もあります。
もっと深刻なのは、26の専門業務の人たち。従来、同じ職場で期限なく働き続けることができていたのに、改正後は3年ごとに仕事を探さなければならなくなります。

現在の政治状況では、このまま参議院でも可決して、今国会中に成立する見通しだけど、一応、法律の施行後3年で見直しが検討されることになっているので、困ったことが起きたら、その都度大きな声をあげていきましょう。同時に、自分で自分を守るために、どこでも通用する高いスキルを身につけることも必要です。

そして、もうひとつ大切なポイント。
もし貴女が正社員への登用を望むなら、自分の仕事だけでなく、常にチームのことを考えて、周囲をフォローすることを心がけて! 企業は組織への貢献度が高い人を重んじるもの。日頃からみんなのために誠実に働いていれば、それを見ている上司が正社員に引き上げてくれるかもしれないし、同じ会社の他の部署へ紹介してもらえる可能性も高まるでしょう。

和泉 昭子

生活経済ジャーナリスト、ファイナンシャ ル・ プ ラ ン ナ ー 。大学卒業後、出版社・放送局を経て、フリーのキャスターに転身。現在は、メディア出演や講演活動、個人相談などを通じて、マネー、キャリア、コミュニケーションに関す...

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