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「女は女優」は、どんな私でも愛でるチャンスがあると教えてくれる言葉

自分を丸ごと好きになるのは難しいし、そこまで目指す必要はないと思います。でも、自分のある部分だけでも、好きでいられたらぐっと生きやすくなります。自分にはいろいろな顔があって、そのひとつだけでも好きになる方法は――。エルメスさんが心がけていることを綴ります。

「女は女優」は、どんな私でも愛でるチャンスがあると教えてくれる言葉

■「自分を好きになれない」コンプレックスを抱える女性たち

私のツイッターには、悩める女性たちから日々たくさんのDMが届きます。

中でも圧倒的に多い相談ごとが、「自分を好きになれない」というもの。

自分を好きになれない理由はさまざまで、コンプレックスがあるから、毎日が楽しめないから、容姿や内面が好きじゃないから……など、実に人それぞれです。

30代で、まだまだ人生経験の浅い私が言うのも恐縮なすが、「女はこうあるべき」「男はこうあるべき」といった「べき論」が好きではありません。それもあって、「自分のことを好きになるべき!」と全員に押し付けるのも、少し違います。

ですが、私は「自分を嫌いでいる時間はもったいないな」と感じながら生きてきました。

自分を好きでいるということは、毎日を幸せに過ごすためのひとつの方法。もちろん、それが唯一の方法というわけではありません。

だからこそ、今回は自分を好きになる方法について、あくまで私なりの考え方になりますが、お伝えさせてください。

■「自分にはいろんな顔がある」と思ってる

私が好きな言葉のひとつに「女は女優」があります。

さまざまな捉え方ができますが、私は「女にはいろんな顔がある」という意味で捉えています。

私はこの言葉の中に、自分を好きになるヒントが隠されているような気がするのです。

自分を好きになれないことで、つらい思いをしている女性を見てきましたが、彼女たちの多くに「自分との対話がきちんとできていないかもしれない」という印象を抱きました。

自分がどんな性格で、何がやりたいのか、何が好きなのか、何が嫌いなのか。何をしているとき、どんな状態のときの自分が好きなのか、または嫌いなのか――まずは自分と向き合って、自分を把握することが自分を好きになることへのファーストステップになります。

紙に書くと本音が出るのでとてもオススメです。もちろん、自分を丸ごと好きになる必要はありません。

「◯◯しているときの自分なら好きになれそうだな」

「もう少し◯◯になった自分だと好きになれそうな気がする」

そうやって自分のことが見えてきたら、あとは簡単。努力し、その過程を楽しむこと。

努力すること=苦しいこと、大変なことと思いがちですが、課題を小さく切り分けて、一つひとつクリアしていく度に自分を褒めたり、誇りを持つようにしたりすると、自分のことがどんどん好きになっていけます。

大きな課題ばかり積み上げると、それこそクリアできなくて、自己嫌悪に陥りやすくもなる。

自分を好きになる秘訣……それは小さな成功体験を積み上げていくこと。これが一番やりやすいメソッドだと思います。

私自身はと言うと、毎日きちんとルーティンを作って働くこと自体がハードルなので(笑)、日々のルーティンをこなせたら自分を褒めるようにしています。

簡単なことでいいんです。今日は早く起きることができたとか、仕事の作業時間の設計がうまくできた、集中できた、など。

まず大きな目標を設定して、中間ポイントに簡単な目標を置く。マラソンと一緒ですね。

それらを細かく達成しているうちに、いつしか大きな目標数値を達成していることが多くありました。

■課題をクリアしながら、自分を認めてあげる

自分を好きになるには小さな成功体験を積むことが必須と言いましたが、その大前提は努力を厭わないこと。小さな成功体験を積み上げている人は、間違いなく努力している人です。

とはいえ、もちろん努力することだけが重要ではありません。努力を昇華させ、自信につなげることが大事です。

その過程で、細かく分解した課題を一つひとつクリアしながら、自分を認めてあげることが大事です。


私も20代の頃、管理職になったばかりの時期に、負のループに陥ったことがあります。

管理職になったばかりのプレッシャー、目標数値、それらを達成するための理想の上司とは? といったことひたすら考え、見合う人格を作って仕事にあたっていたのですが、人格を作るだけで満足してしまい、目標がなかなか達成しないときがありました。

本当に大事なのは、目標を達成しやすい人格を作ることではなく、最終的にそういう人物になるような過程の設計でした。

努力したつもり、がやはり一番怖いものです。

人は努力していない人が嫌いです。それは自分にも当てはまります。努力していない自分を好きになれないですし、しっくりこない感覚。

自分は今までどんな努力をしてきたのか、深く考えてみましょう。

■ささいなきっかけで人は自分を好きになれる

昔、自分のことが嫌いでした。周りから「多くのものを努力なしで持っている人」と思われることが多く、それに甘んじてキャラクターを演じている自分が嫌だったのです。

人生が人の敷いたレールの上にあるように感じ、そのウサを晴らすかのように、飲み会ばかりしたり、自分と向き合わないこともありました。

そんな私が変わるきっかけは、幼い頃から描いていた「書き手になる」という自分の夢の先端を掴んだことでした。具体的には、作家になるか、ファッション雑誌の編集部で働くか。

自分の足を動かし、出版社にアタックしまくって、まずはライターとして働けるようになったことが、人生の岐路だったように思えます。私が初めて努力し、掴めたチャンスを生かした瞬間でした。

今思うと小さな努力、小さなスタートでしたが、初めて自分を誇らしく思えたのは覚えています。

あれから十何年経ち、ファッション誌からは離れ、会社を立ち上げ、結婚もし、環境も激変している中にありますが、自分をめいっぱい好きでいることができています。そんな自分に愛情や友情を示してくれる周りの方たちのことも。

自分を好きでいられると、どんな小さなことにも感謝することができ、穏やかな心、平和な精神を手に入れられるので、総じて私は毎日が幸せです。

小さなことが人生を変えるきっかけになります。そのための努力を苦しいこととして遠ざけるのではなく、自分を好きになるスタート地点に立つためのことだと思っていただけたら嬉しいです。

1月特集「私の好きな、私と生きる」

エルメス

ホラー映画、おしゃれとハイブランド、漫画とコスメリップをこよなく愛するハーフの30代。長年ファッション誌で勤務。現在は起業家。

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