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わかりやすい写真は相手への思いやり。情報を伝える写真の撮り方

対面ではなくメールなどでコミュニケーションをとるとき、写真で意思の共有がスムーズにできれば、時短になってコスパが良くなります。仕事が進めやすくなるのです。イラストレーター/アートディレクターの兎村彩野さんの連載「家で働く。」第5回目では、写真をキレイに撮る方法を詳しく綴ります。

わかりやすい写真は相手への思いやり。情報を伝える写真の撮り方

スマートフォンに高スペックのカメラが搭載され、デジタル一眼もミラーレス一眼も手の届く価格帯で手に入れやすくなりました。世の中にある写真の解像度がすべて上がったと捉えると、とても面白い時代だなと思います。

「家で働く」をしていると、インターネットやSNSを介した仕事の依頼が増えたり、メールでやりとりをしたりする回数が自然と増えていきます。その中で、実はとても便利なツールが「写真」です。

百聞は一見にしかずと言うように、何度もメールで文言で説明するより、1枚の写真・1枚の図の方が早く確実に伝わることはあります。写真は実際に会わない人とイメージを共有するのに大変優れたツールです。「これね」というイメージの一致が早ければ、作業効率もUPします。

■キレイな写真は喜ばれる

写真がキレイで悲しむ人は少ない。これは仕事をしていく中で気づきました。そしてキレイに撮影した写真をメールすると「キレイに撮ってもらえて嬉しい!」と言ってもらえることもあります。

例:友人が作ってプレゼントしてくれたイヤリングをキレイに写真を撮ってSNSにアップしたら喜んでもらえた

実際に会えない人とイメージを共有する。これはデザインの仕事だけでなく、各種ECやminneのように、自分が作ったモノをインターネットを介して、他者に理解してもらうプロセスが必要なものは写真との相性が良いです。

実際に、仕事のコミュニケーション中、写真で意思の共有が早くできれば、時短になってコスパが上がります。写真がキレイでわかりやすいとECの売り上げが変わります。

「家で働く」を楽しみながら効率UPのために、写真をキレイに撮るという技術を習得するのはとてもオススメです。今回は私が実際にやっていることを具体的な事例でご紹介します。

「アートとして上手い写真、優れた写真」ではなく、「自分以外の人とコミュニケーションを取るために情報を伝える写真」という視点でお届けしています。ご了承ください。

1.写真の情報量を減らす

私の使っているInstagramのアカウント(@ayanousam)です。こちらにアップする写真は、なるべく白背景で撮影するようにしています。

スッキリしているのが好きというのもありますが、「情報を受け取って理解するのが楽な写真にしたい」「見る人の考える負担を減らしたい」と考えるうちに、画面を見たときに余計な情報が少ない写真になっていきました。

伝えるための写真に必要なのは、写真が上手いかどうかではなく「情報の量がちょうどいい写真」なのかなと思います。


お仕事で手帳の撮影依頼があり、そのときの担当さんとのやりとりを事例としてご紹介します。

(実際のやりとりから一部WEB掲載用に再編集しております。実際に登場するペンの番号や手帳で使った道具は一部実際とは違う部分があります。あくまで事例記事として読んでいただけると嬉しいです)

兎村が担当さんに伝えたかったこと
・どんな手帳を描いているか
・どんな道具で描いたか
・どれくらいのサイズ感か
・どんな色なのか

この4点を伝えたかったのですが、言葉で書くと長くなってしまうため、写真と言葉にまとめてメールでお伝えしました。

写真は手帳と使った道具のみを写し、メールには言葉やURLで使ったペンの詳細を書く。1回のメールで4点を伝えられました。

情報が少ない写真の例

情報が多い写真の例

メールの例

※「写真で伝える事例」の紹介なので、一部画面を再編成しています

情報が多い写真は「どこを見たらよいか」「何が言いたいか」を理解するのに、考える時間が必要になります。見る人が受け取って頭の中で情報を整理するからです。

情報が少ない写真は「どこを見たら良いかすぐわかる」「何を伝えたいのか受け取りやすい」と、伝える写真という機能として優秀です。

ちなみにちょっとしたテクですが、私は写真を撮る用にIKEAの白いマットのメラミン加工されたテーブル天板を使っています。

反射がなく、フラットでたわみがなく、テーブル天板なので、汚れたらさっと吹いて掃除ができ、価格も2000〜4000円くらいで手に入るので何年も愛用しています。

脚なしの天板のみで買えるため、床に置くと引いた写真も俯瞰写真も撮れます。

実際に私が愛用している天板。脚を付けずに板のままで使う

2.自然光の中で撮る

資料になる写真などは、極力、自然光で撮るようにしています。夜は電球の色で写真の色味が変化したり、自分や家具の影が入りやすかったりして、少し撮りにくい。

ライティング機材を用意してもいいのですが、手間がかかります。写真が必要なときは、前日の夜に欲しいカットをメモしておいて、起きたときに天気が良ければ一気に撮るようにしています。

自然の光は明るく、色も変化しにくいのでキレイに撮れます。

例:ダイニングテーブルを置いている壁はクロスがなく、塗りっぱなしの白壁なので簡易スタジオのように使っている

賃貸で家を借りるとき「写真が撮りやすいか」も「家で働く」をする上で欠かせないポイントでした。

現在の家は壁紙クロスのない白い壁と打ちっ放しのコンクリート壁があり、自然光の撮影ポイントも多いので、さっと写真を撮ってさっと資料を作れます。

撮影する場所にはあまり物を置かずに、作業しやすくしています。

3.家の中で撮影ポイントを押さえておく

「家で働く」をしていると、家にいる時間が長くなるので、いろいろな場所で写真を撮ってみて、一番キレイに撮れるポイントを見つけておきます。

「この時間のこの場所はキレイに撮れる」というポイントが決まっていれば、毎回そこで撮影すればいいので楽になります。

例:兎村の撮影ポイント。窓から光が入る場所に天板を用意して簡単撮影スポットを作っている

写真のように折りたたみ式のテーブルの脚が売っているので、普段はぺたんこに畳んでラックの横に収納しています。

ローテーブル用の脚を使うと、立ったまま写真が撮れるので楽です。

4.明るめに補正をする

ほとんどの仕事の写真は、パソコンやスマホのモニタ越しに見ます。

撮りっぱなしの写真は自分で光を発する画面(モニタなど)で見ると写真のまわりが白いことが多いので、白背景との差で写真が暗く感じることがあります。

気持ち少し明るめに補正をすると見やすい写真になります。

暗めの写真

例:撮影したままのオレンジパンの写真。周りの白い背景との差で思っているより暗く感じる

明るめの写真

例:明るく補正したオレンジパンの写真。周りの白い背景との差が減るので馴染む

デバイスの画面で見ると印象が変わる

SNSの投稿画面も写真の明るさの印象が変わる

例:Instagramに投稿すると写真のまわりが白く明るいので、暗い写真は白い背景との差でより暗く見える

SNSに投稿するときも、少し明るめに補正するのがオススメ。タイムラインの背景は白いことが多いので、白い背景との差も減って、画面全体が明るくなりキレイに感じます。

家で働く場合、カメラを持ち歩く負担が少ないので、スマートフォン以外にも、家に自分が撮りやすいと感じるデジカメラを用意すると良いと思います。

出しっ放しにしておいて、さっと撮るクセをつけるようにします。私もスマートフォンの写真よりもう少しニュアンスのある写真が好きなので、ミラーレス一眼を愛用していて、リビングに置きっぱなしです。

写真を少し意識して、手間を減らすために「情報が伝わりやすい写真をあえて撮る」というクセをつけていくと、自然と仕事が増えたり、資料の伝わるスピードが早くなって時短化できたり、ECの売り上げが上がったりします。暮らしの中だとメルカリやヤフオクなどにも応用できます。

理解しやすい写真は相手への優しさや気遣いでもあります。発信する写真を意識するようになると仕事が順調になるのは、気遣いされた側が嬉しいからなのかな、とも思います。

兎村彩野

Illustrator / Art Director

1980年東京生まれ、北海道育ち。高校在学中にプロのイラストレーターとして活動を開始する。17歳でフリーランスになる。シンプルな暮らしの絵が得意。愛用の画材はドイツの万年筆「LAMY safari」。

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