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家事代行サービスを頼むときの参考に。フィリピン人メイドとの生活

2017年より、東京や神奈川、大阪など一部の地域でフィリピン人による家事代行サービスが始まり、今後ますます増えていくと言われています。マレーシアで働いている筆者は、仕事と家事、育児を両立するために、また新しいライフスタイルを模索するために、清水寺から飛び降りる覚悟で住み込みのメイドを雇うことにしました。

家事代行サービスを頼むときの参考に。フィリピン人メイドとの生活

マレーシアで出産し2ヶ月の産休を経て復職した私は、フィリピン人の住み込みメイドを雇い、家事と育児を助けてもらう生活を始めました。

産休中の「平日の昼間はワンオペ」だったときと比べると、メイドがいるおかげで時間・体力・心のゆとりが持て、些細なことでイライラすることもなくなり、生活がものすごく落ち着きました。

一方で、メイドの予想外の(本人にとってはなんでもない)言動に驚かされる日々です。

今回は、メイドとの共同生活で実際に驚いた出来事と、それを踏まえた上での「雇い主の心構え」を綴ります。

皆さんが、異文化の中で暮らしてきた相手に家事代行を頼む機会があれば、参考にしていただけると幸いです。

■まずは簡単に我が家のメイドについて

我が家のメイド、仮に「リサ」としましょう。リサはフィリピン出身の27歳の既婚女性で、メトロマニラの都心部にあるコンドミニアムで清掃員をやっている夫と、小学校1年生の息子との3人家族です。

リサによると、メイドとして働いていた彼女と清掃員の夫の稼ぎでは、子どもの文房具や通学用バッグ、制服などの購入がままならないのと、いずれは持ち家が欲しいという理由から、彼女が海外に出稼ぎに出ることになりました。

フィリピン国内では住み込みでもせいぜい1〜2万円しか稼げない彼女ですが、東南アジア近隣諸国に出稼ぎに出るとその2〜5倍は稼げるようになります。

見ず知らずの国で、これまた見ず知らずの雇い主の家で住み込みで働くのはよほどの決断だと思いますが、夫もお子さんも「いっぱい稼いできてね!」と大手を振って送り出してくれたそうです。小学生のお子さんは、「お母さんはお金持ちになって帰ってくるんだ」と楽しみにしているとのこと。

そんな彼女、縁あって我が家に来ることになり、2018年5月から2年間、一緒に生活することになりました。

■レシピがハイコンテクストすぎて伝わらない

リサが我が家にやってきて数日後、「炒めたり茹でたりするくらいならできる」とのことで、簡単そうなメニューを探して英訳し、作ってもらうことにしました。

ところで、レシピ本やレシピサイトにある「料理できる人が書いたレシピ」って、かなりハイコンテクストなんですね。ひとつの工程にあれこれ詰め込まれているんです。

例えば……

「ジャガイモを一口大に切って、塩を入れて茹でる」

恐らく料理ができる人は、この一文だけでちゃっちゃとできるんです。

ただし、これをそのまま英訳してリサに渡したら、彼女にはわからないことだらけでした。

・一口大とはどれくらいの大きさですか?
・塩はどれくらい入れますか?
・水はどれくらい入れますか?
・茹でるのは何分ですか?

かつ、工程に書かれていない「ジャガイモの皮をむく・芽を取る・水につける」という作業が抜けそうになりました。

私自身、料理しなかった頃はこの手のハイコンテクストなレシピに悩まされたクチなので、彼女の問いにハッとさせられました。

■ハイコンテクストなレシピを分解するとこうなる

「ジャガイモを一口大に切って、塩を入れて茹でる」を、再現性の高いレシピにしてみます。例なので、水や茹でる時間は適当です。ご了承ください。

材料
・水 500ml(洗う用)
・水 1000ml(茹でる用)
・ジャガイモ ひとつ
・塩  大さじ1

作り方
1.ピーラーでジャガイモの皮をむく。
2.ピーラーの隅で芽を取る。
3.一口大にカットする(絵を描いて見せる)。
4.小さいボールに水500mlを入れ、カットしたジャガイモを5分つける。
5.鍋に水1000mlを入れ、ジャガイモ、塩を入れて強火でゆでる。
6.沸騰したら中火にし、5分後に火を止める

ここまで書いてやっと、工程に抜け漏れがなくなります。

一見細かすぎるように見えるかもしれませんが、こうすることでレシピの再現性が高くなり、リサに再度同じものをお願いしても、同じ味に仕上がるようになりました。

■ミロを節約するための、驚きの飲み方

リサのためにインスタントのミロの粉を買いましたが、ある日ふと開けてみたら中身が全然減っていません。

もしや遠慮しているのかと思い、彼女に聞いてみました。

私:ミロ飲んでる?
リサ:はい、飲んでますよ。
私:それならいいんだけど、全然減ってない気がして。
リサ:あっ!
私:えっ?
リサ:あの、ミロがもったいないんで、ミロを少なめにしてその分砂糖を入れて飲んでるんです! ミロの節約になるし、砂糖のおかげで甘くなるし、一石二鳥じゃないですか!!
私:えー!

彼女のコスト意識はありがたいのですが、それよりもミロは美味しく飲んでほしいので、「遠慮せずに入れていいから」と伝えたところ、やっとミロが減るようになりました。

■食器用洗剤の色がどんどん薄くなる

食べ終わった食器を洗うのはリサの仕事なので、平日は食器を洗うことがなくなりました。自分たちで洗うのは、彼女の休みの日である日曜日だけです。

そんなある日曜日、食器を洗おうと久々に台所に立ったら、緑色だったはずの食器用洗剤が、かなり薄い色に……。リサが気遣いから、薄めているのですね。

たくさん出せば泡立つため、今のところ問題視はしませんが、日に日に薄くなって、いつかは水になるかもしれません。

■まとめに変えて、雇い主としての心構え

日本人家庭でのメイドを数年経験しているリサと、フィリピンで4年以上暮らしていた私。

特にカルチャーギャップを感じることはないだろうと思っていましたが、そんなことはありませんでした。国や文化、育った環境が違うので、ギャップがあって当然ですね。

彼女の雇い主として、今では次の3点を意識しています。

・理想の成果物・結果を得るためには、相手に伝わるような指示を出す。
(レシピはわかりやすく書く)

・自分の常識が相手の常識とは限らない。
(ミロの飲み方)

・相手のやり方も受け入れる。
(食器用洗剤の薄め方)

この先も、予想もつかないカルチャーギャップが出てくるかもしれませんが、そこで学んだこともまた皆さんにご紹介したいと思います。

suni

海外で働いています。1979年生まれ、千葉県出身。自称バリキャリからの33歳で無職→語学留学→34歳でフィリピン就職→35歳でインドネシアで働く日本人と交際開始→36歳で結婚し夫がインドネシアからフィリピンに移住→37歳で夫...

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