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友達って、どんな人……? 大人の心をあたためてくれる絵本たち

「ともだちって かぜがうつっても へいきだって いってくれるひと」「ともだちって いっしょに かえりたくなるひと」……あなたが思う「友達」って、どんな人? どんなときに「友達」を思い、自分がどんな「友達」でいたいと思うのでしょう。友達がほしいとき、なかなおりしたいとき、あなたの友になってくれる絵本を紹介します。

友達って、どんな人……? 大人の心をあたためてくれる絵本たち

新年おめでとうございます。島本薫です。

2018年のスタートはいかがでしたか?

年の初めにはメールやLINEで、電話で、もちろん顔を合わせて、友人と「あけましておめでとう」を言い合ったことでしょう。

年賀状を見て、遠くの友の暮らしに思いを馳せたりしたかもしれませんね。

さあ、今年はどんな新しい友達に出会えるでしょうか。

本日は、ひとりのときもそっと心によりそってくれる「友達」の絵本の話をお届けしましょう。

■「ともだちって かぜがうつっても へいきだって いってくれるひと」

『ともだち』
作: 谷川 俊太郎
絵: 和田 誠
出版社: 玉川大学出版部(2002年11月)

「ともだちって かぜがうつっても へいきだって いってくれるひと」

そんな言葉で始まるのは、詩人の谷川俊太郎さんの『ともだち』という絵本。

「ともだちって みんなが いっちゃったあとも まっててくれるひと」
「ともだちって そばにいないときにも いま どうしてるかなって おもいだすひと」


冬の夕暮れに、ひとりパラパラめくってみたくなる絵本です。

「ひとりでは とどかない せなかも ともだちがいれば かいてくれる」

シンプルな言葉を彩る和田誠さんの絵が、ときにユーモラスにときにストレートに、「ともだち」の世界を広げてくれます。

けんかをしたときのこと。
友達のために、何ができるだろうと考えること。

大人になっても、何も変わらない。

「すきなものが ちがっても ともだちは ともだち」

■「ぼくのちいさなともだち、だいすきだよ……」

“Dear Little Fish”
作:アンドレ・ダーハン
(『ぼくのちいさなともだち』
 文:きたやま ようこ
 出版社:講談社(2000年12月))

満月に照らされて唇をよせる猫と魚の絵を、どこかでご覧になった方も多いでしょう。見るだけで心があたたかくなる(そしてちょっぴりせつなくなる)絵本です。

一匹の猫と、小さな魚の物語。
やわらかな色彩で紡がれる、大切な人との日々と時の流れ。

時と共に変わるものがあり。変わらないものがある。

日本語版の『ぼくのちいさなともだち』には文章がありますが、実は原作の“Dear Little Fish”にテキストはありません。どんなかたちで味わってもいいのです。

子どもや恋人、大切な誰かに思いをはせながら、絵だけでつづられた原作の絵本をながめてもいい。

同じくダーハンの「字のない絵本」、“My Friend the Moon”もおすすめです。

“My Friend the Moon”
作:アンドレ・ダーハン
(『ぼくのともだちおつきさま』
 文:きたやま ようこ
 出版社:講談社(1999年8月))

■「えー、ともだちやです。ともだちは いりませんか」

『ともだちや』
作:内田 麟太郎
絵:降矢 なな
出版社:偕成社(1998年1月)

友達がほしくてさびしい人に、1時間100円で「友達」になってくれるビジネス(!)を始めたキツネ。

「ともだちはいりませんか さびしいひとはいませんか」

――なんて声がしたら、大人だって思わず振り向いてしまうかも……?

そう、絵本はいくつになっても友達です。

たとえ子どものときに出会えなくても、大人だっていろんな楽しみ方ができるもの。この「ともだちや」というアイディアはもちろん、森の動物たちの表情にくすくす笑ってしまうこと請け合いです。

「おれたち、ともだち」というシリーズになっているので、さまざまな楽しみ方ができるのもうれしいところ。

友達がほしいとき、友達になりたい人がいるとき、手に取ってみるのもいいかもしれません。
しみじみと読みたいときは、その名もずばり『ともだちになって』というイギリスの絵本をどうぞ。

『ともだちになって』
作・絵:アレクシス・ディーコン
訳:いずむらまり
出版社:徳間書店(2004年1月)

■「あやまると いいきもちになりました」

『なかなおり』
作:シャーロット・ゾロトウ
絵:アーノルド・ローベル
訳:みらい なな
出版社:童話屋(2008年3月)

憂鬱な雨の日の、ちょっとした出来事。

誰かの心にまかれたイライラの種がむくっと育ち、次の人に飛び火して、また次の人に広がって……。

どんどん広がる不機嫌の輪。そんなときは、どうしたらいい? どうしたら、この嫌な連鎖をとめられる?

大人になっても覚えがある、どこか身につまされるような物語。そして、大人になっても忘れたくない小さな勇気をつたえてくれる物語です。

「ごめんね」

なかなおりしたい誰かへの、なかなおりしたい誰かがいる自分への、贈りものになる一冊ですね。

■「いいともだちにであって、こいつは最高の夜かもしんねえす」

『あらしのよるに』
作:きむら ゆういち
絵:あべ 弘士
出版社:講談社(1994年10月)

大人になると、なかなか友達ができない、友達をつくれない……。そんな話はよく聞くもの。

でも恋と同じく、友達との出会いだって、どこに転がっているかはわかりません。たとえばこんな、嵐の夜に……。

「ひどいあらしで最悪の夜だと思ってたんすけど、いいともだちにであって、こいつは最高の夜かもしんねえす」

大勢の読者の心をとらえ、アニメにもなり映画にもなり、歌舞伎にもなった絵本『あらしのよるに』。

オオカミとヤギ、本来は「食うものと食われるもの」の偶然の出会いと友情を描いたこの絵本には、“絵本の楽しさ”がぎゅうーーーーっとつまっています。

どきどきしたい!

大笑いしたい!

絵本の楽しさを、とことん味わいたい!!

そんなときに、ぜひ手に取ってほしい絵本。おまけに、食べるって、生きるって、友情って何だろう?と考えさせてくれるシリーズ絵本なのです。

読者の声に応えて書き継がれ、とうとう7冊の絵本からなる大きな物語になった『あらしのよるに』。

一気に物語を楽しみたい人には、完全版『あらしのよるに』をどうぞ。

「子ども向けの絵本だと思ってたんすけど、いい物語にであって、こいつは最高の夜かもしんねえす」

読み終わったときには、そうしみじみつぶやきたくなるかもしれません。

島本 薫

もの書き、翻訳家、ときどきカウンセラー、セラピスト。 大切にしている言葉は “I love you, because you are you.” 共感覚・直観像記憶と、立体視不全・一種の難読症を併せ持ち、自分に見えて...

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