『100万回生きたねこ』を読んで、チェコで模索する自分と重ね合わせました
その時選ぶ「本」は、自分が必要としているものなのかもしれません。『100万回生きたねこ』を読んで、模索する今の自分と重ね合わせました。
先日、娘の誕生日でした。
娘のリクエストした絵本を一緒に読んで、模索する今の自分と重ね合わせました。
■『100万回生きた猫』を読んで
『100万回生きたねこ』という、絵本をご存知ですか?
名前ぐらいは聞いたことがあるかもしれませんね。
子どもから大人まで読める、とっても奥の深い絵本です。
1977年に出版された佐野洋子(さの・ようこ)さんの絵本で、その後、「絵本の名作」とも呼ばれ、ミュージカルやグッズ販売などから、世代を超えて多くの人たちに親しまれています。
私も、上の子どもたちが小さい時に子ども番組の中で親しんだ覚えがあります。そして今回、下の娘にも日本の絵本を紹介したくて、この本を選びました。
表紙には、印象的なトラ猫のイラスト。娘はこの表紙に一目ぼれ。
『100万回生きたねこ』のあらすじ~前半
主人公は「ねこ」。
ねこは100万回も生まれ変わりを繰り返していました。
あるときは、王様の飼い猫。
また、あるときは船乗りの飼い猫。
サーカス団の猫だったり、おばあさんや女の子、泥棒の飼い猫だったときもありました。
飼い主は皆、ねこが死んだとき、とても悲しんで泣きます。
だけどねこは、ただの一度も誰のことも好きにはならないのです。死ぬことだって怖くない。
『100万回生きたねこ』のあらすじ~後半
ねこはあるとき、誰のものではない、野良猫として生まれ変わります。
ねこは自分が大好きでした。
ですがあるとき、1匹の白い美しい猫と出会い、初めて自分から誰かのそばにいたいと思います。
2匹は結ばれ、子どもにも恵まれます。
ねこは、白い猫とたくさんの子猫を、自分より好きだと思います。やがて、子どもたちが旅立ち、年老いた白い猫が死に、ねこは初めて泣きます。
100万回も泣き続け、ついにはねこも死んでしまいます。
そして、二度と生まれ変わりませんでした。
■自分より大切だと思える家族に出会えたねこを見て
娘に読み聞かせながら、最後は涙が止まりませんでした。
5歳の娘は、白い猫が死んで悲しむねこ、そして最後には死んでしまうねこの姿に「可哀そう」という感想を持ったようです。私は、やっと「自分のこと以上に愛する存在がいる」ということを知ったねこに「良かったね」と胸をなでおろしました。
このお話は、読む年齢や自分がそのとき置かれている状況や環境によって、違った感想を持つことができるでしょう。そして現在の私は……。愛する家族を持ちながらこれからの自分の人生について模索中です。
家族を持っても自分らしく生きたい。だけど……自分だけの人生ではないのです。なかなか、突き進む勢いが持てません。ジレンマと葛藤。
ですがこの本を読み、猫が自分より大事だと思える家族を持ち、いつまでも一緒にいたいと思える相手と出会い、もう二度と生まれ変わることがなかった。それは、私が求めているものの答えのような気がしました。
■大人にもおすすめの一冊
この本は、生きること、愛すること、死ぬこと、という人生の中で起こるシンプルなテーマを扱っています。これらのテーマは、多くの人にとって難しい問題であるでしょう。
どれだけの人が、自分よりも大事だと思える相手に出会い、一緒に生きていきたいと願えることか。当たり前のようで、当たり前じゃない。普通って難しいですよね。
子どもの絵本ではありますが、ぜひ大人になった今、もう一度手を伸ばしてみてください。恋を、仕事を、人生を、模索しているあなたにこそ手に取って欲しい一冊です。