「甘い」だけの女なんてまっぴら! でも「辛い」だけの女にもなりたくない。そうつぶやきながら甘いファッションと辛いファッションの両軸を行き来して半世紀。結論は、「どちらに転んでもいいのだ。だって毎日違う自分でいてもいいのだから」。甘い服と辛い服をMIXするのは楽しい作業。その日の気分で思いのままに調合しよう!
ロングからショートボブになったら、女度の高い服が似合うようになった 2/2
■髪を切って似合うようになったファッションとは
髪を短くして驚いたことがある。それは、50代になって避けてきた「女度の高いファッション」がすんなりと似合うようになったことだ。
ペンシルタイトスカートにハイヒール、身体に沿ったニットワンピース、透け感のあるブラウス、といった女度が高すぎて胸やけがしそうなスタイル。50代になり、そういった服はもうそろそろやめよう……と諦めていた矢先。
髪がキュッと短くコンパクトになったことで、首より上の糖度が減り、辛さがアップ。それにより、首から下に多少甘いものがだぶついても、上手くバランスが取れるようになったのだ。
そして、ロングのゆる巻き髪や夜会巻でアップにまとめていたときには、どうにもこうにも似合わなかった「トレンド寄りのカジュアル」。それも見事に似合うようになった。
私が思うに、「ロングヘアに似合うファッション」「ショートヘアに似合うファッション」という区分けは難しいし、できたとしてもあまり意味がないと思っている。
ボーイフレンドデニムにゆるめなボーダーのTシャツ、という男の子のようなファッションにショートカットだと、男か女かわからない雰囲気になる可能性がある。
逆に、ピンクの花柄のミニのワンピースにロングのゴージャスな巻髪は、糖度が高すぎてちょっと嫌味を感じるファッションになる危険がある。
以前の記事で「甘辛MIXのコーデとは、複数のアイテムで甘さと辛さのバランスを取ること」という内容を書かせていただいたが、髪型もファッションアイテムの一部と捉えれば、この髪型と服の「甘辛バランス」を取ること。これが「髪型に似合う服の考え方」なのではないかと思っている。
よく「ミディアムのボブヘアはどんな服でも似合うから、ファッションを選びやすい」と言われるが、それはミディアムのボブが甘くも辛くもない、「中性の性質」を持つからだ。
■服をどんなに買い替えても、ずっと同じ髪型だと旬な空気は出ない
おしゃれな友人が言う。
「髪型が何十年とまったく変わらない人って、どんなに洋服や小物を毎年たくさん買っていても、どこか古臭い感じがする。頑なな感じがする」と。
それって……もしかして私もそうだったのかも……? と思わず冷汗がでた。
服を買い替えるよりも、美容院にマメにいくこと。これが、女がいつも旬の空気をまとうコツなのかもしれない。
半年に一度という、ご無沙汰な美容院の通い方だった自分を反省し、これからは2カ月に一度は通おう。
また友人はこうも言う。
「年を取れば取るほど、いかに日常的にマメに美容院に行き、髪にお金と時間をかけているかで、その人の暮らしのゆとりと女度がわかる」と。
豊かな暮らしを送っている女性は間違いなく髪に気をつかっている、と言う。60代、70代になってからの方が、女としての志が髪に如実に現れるということ。
「もう、どうでもいいのよ」と思ったらそこで女は終わり。
潔くベリーショートにするもよし、白い髪を染めずにナチュラルな銀髪にするもよし。
けれど、「自分で考えて選び取り、愛情を持ってメンテナンスをしている髪型」を、自信を持って保っている女でありたいのだ。
私の場合、第一優先事項は「朝晩の髪をいじる時間が最小限で済む髪型であること」という条件。
今のところ、毎朝乾いた状態の髪に、大き目のホットカラーを数個巻き、すぐはずすだけ。
ふんわりナチュラルな内巻きのショートボブになりこれまた楽ちん。でもちゃんとスタイリングしたように見えるのが気に入っている。
「手間がかかった髪」に見えるように気を配ること。これほど女がまとう空気を良くするものはない。
流行の服より靴より高級ブランドのバッグより宝石より、手間暇かけた(かかったように見える)髪。
それはいつの時代でも女にとって最強。
「おしゃれな服ですね」と言われるよりも、「高そうなバッグですね」と言われるよりも(笑)、「髪、綺麗ですね」と言われる方が何倍も嬉しいはず。
髪はファッションの一部。バランスを取って髪型もどんどんアップデートしていこう!