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電車でマナーが悪い人にイラッとしたら「移動」する【大人の上手な怒り術#1】

怒りと上手く付き合うための心理トレーニング「アンガーマネジメント」。身につけると生きやすくなり、イライラするストレスから解消される効果も期待できます。一般社団法人日本アンガーマネジメント協会理事・戸田久実さんがお届けする本連載では、アンガーマネジメントのレッスンを毎月2回ご紹介します。

電車でマナーが悪い人にイラッとしたら「移動」する【大人の上手な怒り術#1】

怒りたくないのにどうしてもイライラしてしまう、怒るべき場面でもうまく怒れない……。自分自身の“怒りの感情”をうまく扱えなくて困っている、という人は少なくありません。

そんな悩める人々にぴったりなのが、1970年代にアメリカで開発された「アンガーマネジメント」です。

この「怒りと上手く付き合うための心理トレーニング」では、“怒ってはいけない”ということではなく、「あんな怒り方をしなければよかった!」「あのときにちゃんと怒っておけばよかった!」と怒りで後悔しないようになることを目指します。

アンガーマネジメントの考え方とテクニックを身につければ、怒る必要のあるときには適切に相手に伝え、ムダな怒りには振り回されない自分に近づくことができるでしょう。

■公共の場でのイライラをどうする?

「順番待ちで並んでいたのに割り込む人にイラッとする」
「歩きタバコやタバコのポイ捨てをする人が頭にくる!」

“どのような時にイラッとしますか?”という問いかけに対してよくあるのが、こういった「公共の場でのマナーが悪い人に対して」という回答です。皆さんも、そんな経験が少なからずあるのではないでしょうか。

その中でも、とくに多いのが電車内のマナーに関して。
「車内で化粧をしている人。リップくらいならまだしも、ファンデーションから塗り始める」
「荷物を横に置いて2席分とっている」
「携帯電話で大きな声で話している」 
「満員電車でもたれかかってくる」

挙げればキリがないくらい多くの事例を耳にします。
正義感が強い人、道徳心がある人ほど「なんでこんなことをするの!?」と苛立ちを感じるかもしれません。

あなたはこんなとき、どうしますか? 真っ向から「そんなことをしてはダメでしょう!」と注意しますか?

どのような選択をするのもあなたの自由です。ですが、アンガーマネジメントの考えでは、こういった場面でやってはいけないことがあります。それは、“怒りにまかせた行動”です。

いくら正義のためだと思っても、相手に暴言を吐いたり、感情的なものの言い方をしてしまったりすると、相手の感情も刺激してしまい、大きなトラブルに発展してしまうこともあります。なにより、“その行動を改めてほしい”という肝心の要求が相手には伝わりません。

■怒りにまかせた行動は避ける

このような、“怒りに任せた行動”を防ぐためには、「6秒の沈黙」が有効です。

というのは、怒りのピークは長くて6秒といわれています。少なくともその6秒をやり過ごせば、怒りに任せた衝動的な行動をしにくくなるということです。

ですから、イラッとしたら、深呼吸をしてゆっくりと6秒数えてみましょう。そうして、怒りに任せた衝動的な行動をしないよう6秒間をやり過ごし、次にどう行動するかを決めるのです。

さて、私はどうする?
公共マナーを守らない人に注意する? 注意しない?
どちらの選択をしたら自分は後悔しない?

こう自分に問いかけてみましょう。そのうえで“注意する”と決めたのであれば、落ち着いた声や言い方で、相手に伝えます。

その際、相手を責め立てるような言い方ではなく、「席を空けていただけますか」「恐れ入りますが、もたれかからないでいただけますか」など、お願いするような話し方をしましょう。そうすれば、トラブルになる可能性は低くなり、相手も素直に行動を改めやすくなります。

では、“注意しない”という選択をする場合はどうでしょう。

注意しても変わらないだろうし、逆切れされても困るから……など、さまざまな考えから、「何も言わない」という選択をする場合もありますよね。

でも、そう決めたにもかかわらず、やっぱり腹の虫が治まらずにイライラ。そして、それを暗に伝えるために、舌打ちをしたり、相手に聞こえるようにイヤなため息をついたり、相手を睨みつけたり……なんてことも。これは相手にストレートに要求を伝えるでもなく、自分のイライラをさらに募らせてずっと相手への怒りに振り回されることになる、不毛な行動です。

ですから、一度“注意しない”と決めたなら、これ以上、自分がイライラしないためには何ができるのか、を考えましょう。

■怒りに振り回されるのはもったいない!

「ま、いいか。他人だし、電車に乗っている時間もあと10分くらいだし」と割り切って考えるようにしたり、好きな音楽を聴いたり、窓の外を眺めて楽しいことを想像したり。自分なりに工夫して、気持ちを切り替えましょう。

もし、マナー違反をしている相手が目に入って、イライラする気持ちがおさまらないようであれば、自分の視界に入れないよう移動するのも選択のひとつです。もう、イライラの根元を見ないようにするのです。

でもそうなると、「公共マナーを守るのが当たり前! 私は正しいのに、ここで私が移動するなんて、なんだか負けた気がして悔しい!」という人もいるかもしれません。

たしかに、そう思う気持ちもわかります。しかし、本当に負けたことになるのか、ちょっと考えてみましょう。

相手から離れるということは、自分自身がイライラし続けるよりも、心おだやかな自分でいるほうがいい、そう決めたというだけのことなのです。相手と勝負したり、相手を裁くことに執着するのではなく、自分の感情にどう折り合いをつけるかが大事なこと。それがアンガーマネジメントの考え方です。

“怒り”というのは自然な感情であり、感じること自体は決して悪いことではありません。しかし、怒りに振り回されることに時間を使うのはもったいないことです。イライラし続けると自律神経のバランスを崩し、美容や健康にも悪いですよね。

怒るときはきちんと怒る、怒らないときは気持ちを切り替える、こうして、怒りに振り回されない選択ができるよう、皆さんもアンガーマネジメントを活用してみてください。

『いつも怒っている人も うまく怒れない人も 図解アンガーマネジメント』書籍情報

戸田 久実

日本アンガーマネジメント協会理事。「伝わるコミュニケーション」をテーマに大手民間企業・官公庁等で講師として研修、講演を実施。講師歴は26年、登壇数は3,000を超え、指導人数は10万人に及ぶ。著書は「アンガーマネジメント怒ら...

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